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明日から突然サバイバル生活!  作者: ELS
(第4章)無人島でサバイバル!

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無人島サバイバル六日目(前半)

無人島サバイバル六日目(前半)


ぱたたた……


ぽたり、と顔に何かが触れて眼が覚めた。


「ん……うぅん」


顔を伝うものを拭う。

薄暗い木の葉の天井を、パラパラパラと水滴が抜けてくる。勿体ねぇな、こんなに溢して貴重な水を……。


そうか、雨が降ってきたのか。


ザザザザッ!


もやもやとした頭の中を切り裂くように、一瞬で雨足が強くなる。これは。ばっと背中のバネを使って跳ね起きる!火は、火は無事か!?


「ええい、急げよっ……」


ぐずぐずと燻っている火を、シェルター内に引っ越しさせた。どうやらまだ熱は生きているようだが。この火は生命線だ、消す訳にはいかない。


なるべく乾いた薪を、焚べて炎を大きくする。同時にタープが燃えないように、高く持ち上げてかけ直した。びっくりするくらいの手際の良さで、テキパキと体が動いた。


少し雨漏りはするが、炎は無事安定を取り戻す。集めていた薪も、雨に濡れないよう近くで乾かして準備しておく事にした。



突然の雨の対策が終わり一段落。

さあ次は、この恵みを享受する番だ!


ぼたぼたぼたと、勢い良く地面を叩く水滴を集めよう。傾斜をつけた天井のお手製タープから、流れてくる水をポリタンクに集まるように設置する。


貝殻、ペットボトルにも雨水が溜まるように工夫した。とにかく、水はいくらあっても困りはしないんだ。


やる事はやった、後は。


ばっと服を脱ぎ捨てて、雨の中に躍り出る。キシキシの髪を、髭だらけの顔を大きな雨粒が叩く。


「はっはっはははっ!」


乾季のサバンナのようなヒビ割れた肌が、恵みの雨を受けて喜んでいるようだ。泥と塩でぐしゃぐしゃになった身体が、洗い流されていく。


全ての細胞が、天からの水を歓迎しているのが実感としてわかる。


「ふぉーっ!」


器に溜まった雨水を飲み、頭にかけた。思わぬ天の恵みに興奮が止まらない。ここに来てテンションが最高潮だ。


あぁ、水だ!

最高だ、欲しかったモノが溢れる程ここにある!


両手を大きく広げて、空を見上げる。


陰鬱とした薄黒い雲が空を覆っているのが見えるが、今はそれすらも神々しい何かに見える。雨乞いをする気持ちが、少し分かったような気がする。



……



ぴちょん、ぴちょん。


あんなにも猛威を振るった大雨だったが、しばらくでそれは止み、代わっていつもの太陽が顔を見せた。


ぎらぎらとした、この空の主役だ。いつも以上に憎らしく輝いている。

雨の恵みは来るのも突然だったが、去るのも突然だ。そうだ自然はいつも突然で、偉大である。


ギュッと雨水で洗った服を絞る。じゃっと茶色い水が滴り落ちる。それが着衣の汚れを物語っていた。


ぱちぱちと煙を出す焚き火に当たって、身体と服を乾かしていく。シャワーをして汚れを落とすのは大切だが、濡れたままでは全く片手落ちだ。乾いた衣服と身体を保つ事は、それと同じように重要なのだ。


ゆっくり焚き火に当たりながら顎を撫でる。がさりと指の間から髭が覗くのを感じた、随分伸びたな。


両手で髪の毛に手をかける、ぼさりと指に反発する力を感じた。こちらもかなり伸びている。


裸で服と身体を焚き火で乾かしている、けむくじゃらの男となると、他所から見ると山男か、イエティか。まぁ、ろくなモノには見えないだろう。こんな所を探検家とかに見つかって、ユーマだ!なんてな。


「ふっ」


一人で考えて、一人で笑う。

随分、自己完結力が高くなった気がする。独り言選手権大会にでも出場するかな?そんなものがあれば、だけれど。



……



しっかり乾いた服と靴を身につける。うん、かなりさっぱりしたな。


特に気になるのが靴下だ。

たかが靴下、されど靴下。


すぐに濡れるし乾きにくいが、ここがしっかり乾燥して清潔に出来るか。これが不快感をかなり左右する事が分かった。


水虫対策にもなるしな。今一番欲しいのは、予備の靴下だ。


もし靴下をバカにする奴が居たら、濡れてジメジメした靴下を一日中履いて見るといい。足裏はムレるし、皮もふやけてくる拷問だ。日本に帰ったら、靴下の足の指が別れてるやつを三足位買おう。



漠然と、そんな事を考えていると、遠くの方に白い煙が上がっているのを見つけた。

以前とは別の方角である。


立ち上がって、そちらに目を凝らした。

ギラついた高い太陽が、煙の行方を伺うのを邪魔するので自然に目が細くなる。


さて煙の出所は、そんなに遠く離れてはなさそうだが。

行ってみるか。

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