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明日から突然サバイバル生活!  作者: ELS
(第4章)無人島でサバイバル!

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無人島サバイバル二日目(後半)

無人島サバイバル二日目(後半)


海岸沿いをしばらく歩いてみたが、砂浜が島を一周している訳ではなく、崖や岩場になっている部分がいくらもあるようだ。


今は岩場を探索しているのだが……。


ギザギザの岩肌は、手を着くと切ってしまいそうだ。

さて今は干潮なのだろうか、岩の間に海水が残っている。いわゆる潮溜まり(タイドプール)だな。


こういう場所には取り残された生き物が居たりするものだが、上手く隠れているのかすんなりとは見つからない。


生き物を捕獲できれば、食べる事が出来るだろうか。


種類不明の小さな貝はいくらか見つかったが、その場で生で食べるのは気がひける。

上着のポケットに入れて置いた。

水がある程度手に入ったら、もう一度火を起こす方法を考えるべきだな。


石をひっくり返してみたり、窪みを覗き込んだりして探すと、蛇のような生き物が飛び出してきた!


「うぉあっ!」


びっくりして距離を取ると、それは物凄い勢いで巣穴へと逃げ込んでいった。


ウツボ、いやウミヘビ?

あんな生き物までいるのか。



……



大小様々な潮溜まりを探索しているうちに、気がつくと日が沈みかけていた。

茜色に色付いた海が綺麗だ、同じような現象なのだろうが、朝焼けとはまた違った趣がある。

夕焼けの方がより鮮やかな赤の気がするな。


「さて……」


手元には、20cm少し足りない程度の大きさの魚。海水が少ない潮溜まりで、干上がりかけていたものを捉えたのだ。


素手で捕獲できたのは幸運だった。何の魚かはわからないが、シルエットはスズメダイに近いだろうか。


ワイルドな刺身だと思ったら、生で食べられるんじゃないか?

そう考えた俺は、安易な気持ちで、そのままかじる事にした。


手近な石でウロコを剥ぎ、ヒレをちぎった。

そして、ほとんどシルエットを変えていないそれに背中から噛り付いた。


めりめりと背中の身を髄液ごと頂く。


「……うん、美味い(クソ不味い)」


生臭いし、皮だかウロコだかが口に残るし最悪だ。食性がわからないので、念のため内臓は指で穿り出して捨てる。


あとは皮や骨を除いて、血も脳みそも全て飲んだ。水分も栄養もありそうなので、残さずしっかり吸い出した。少しでも水分補給になればと良いのだが。


最高に新鮮な、ジャパニーズサシミだった。


貴重な栄養素を補給することができた。

こんなものでも、お腹に入れば落ち着いた気持ちになる。人体は本当に不思議だ。



……



夕暮れの砂浜を歩いて、ビニールで作った蒸留装置を見に行く。上手くいっていれば、真水が手に入るはずだが。


「あ……」


しかし、そこにあったのは波に侵食された装置の残骸だった。黒いビニールは紛失され、大きな貝殻だけが残っていた。


どうやら潮が満ちてきて、ここまで海水が来てしまったようだ。もう少し海から離して、装置を作るべきだった。


寂しそうに残った貝殻を拾い上げ、岩肌の水場に向かう事にした。



……



どうやら、こちらは上手くいったようだ。貝殻の器に水が溜まっている。200ml程だろうか、おおよそ缶コーヒー一本分位だ。


その命の水を、慎重に、一滴も零さないように大事に飲む。


ごくり


乾いた身体に染み渡っていくような感覚。

美味いと表現すれば良いのだろうか、この幸福感は。なんとも言葉にできないものだった。


貴重な水は、すぐに無くなってしまう。

名残惜しいが、また集まるように貝殻の器を再び設置した。


一日に必要な水分は3リットルだと聞いた事があるが、全く足りていない気がする。



日も暮れてきた。


今日はここまでだ、地面をある程度整地して、休む事にした。


魚のような生き物を捕らえるのは良いアイデアかもしれない。水分と栄養を同時に摂取することができる。


寄生虫だとか感染症だとかに気をつけないといけないのはそうだが、もはや極限状態だ。

渇きで今日死ぬよりは、少しでも長生きできるだろう。


生き血だろうが泥水だろうが、何でも啜って生き延びてやる。そうだ、生きるのだ。


明日の朝まで命が繋がっているよう、そう祈りながら目を閉じた。

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