迷宮サバイバル九日目〜
迷宮サバイバル九日目〜
あの日から、いくらかの時が過ぎた。
俺達は田中さんの家で生活している。
燃料や食料の備蓄も申し分なく、不便ながらも快適な毎日だ。
それぞれが、傷を癒しつつ自分にできる範囲の仕事をこなして、助け合って生きている。
林を歩き、狩猟や採集をする俺と田中さん。
調理や洗濯、薪割りなんかをやってくれている楓くんとゆみちゃん。
クロは殆どの時間を寝て過ごしている、犬というより猫のような行動パターンだ。
穏やかな日々。
どんどん髪が白くなっているのも心配だったが、右半分が染まった辺りでぴたりと止まった。安定して来たという事だろうか。
しかし、一つだけ気がかりになっている事がある。今日はそれを確かめて来ようと思う。
朝食が終わった時に、それを切り出した。
「今日、出発しようと思います」
「もう今から行くのか?」
「はい、あまり遅いと日が暮れるまでに帰れない可能性がありますから」
そう、俺が見たいのは。
「お兄さん、元の家を見に行くって?」
元の俺の家だ。ある日周りが雪山になっていたあの家。
今はどうなっているんだろうか、山があるのか。それとも違う何かになっているのか。
「うん、どうなっているのか気になるんだ。危ないようだったら途中で引き返すけどね」
「家に帰っちゃうんデスか?」
心配そうに話に入ってくる楓くん。ちゃんと伝わっていないのか、俺がずっと居なくなるように思っているらしい。
「いや、俺の家はここだと思っているよ。すぐに戻って来るから」
ぱっと彼の表情が明るくなる。
「はい、待ってマス」
ナイフにメタルマッチ、水筒とお弁当をリュックに入れて出発だ。
日帰りの遠足には重装備だが、今までの経験から考えると念には念を入れて置いた方が良いだろう。
「お兄さん、コーヒーあったら持ってきて!」
無茶を言うな。しかし無下にする訳にもいかないので同意する。
「うん、あったらね。じゃあ行ってきます」
彼らに手を振り、出発する。
……
林を抜け、あの場所を目指す。
ばっと広がった視界の先には、雄々しくそびえ立つ山々。
山頂は白い着物をまだ着ているようだったが、新緑に萌ゆるそれは、とても綺麗で眩しいくらいだ。
「へぇ」
ふぅわっと、暖かな風が頬を撫でる。
「しかし、これでは探すのは難しいな」
田中さんの家に戻ろう。
いや俺の、俺たちの家へ。
「明日から始まるサバイバル生活!」をご覧頂き、ありがとうございます。
これで第三章、完結となります。
総字数15万字程度で三章終了を考えていたので、おおよそ予定通りでしょうか。(没シナリオ分岐分を除く)
第四章の方も予定しています。プランを練っている段階でありますので、二章終了時にも取りましたが、良かったら活動報告のアンケートにご協力下さい。
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