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明日から突然サバイバル生活!  作者: ELS
(第3章)迷宮でサバイバル!

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迷宮サバイバル一日目(前半)

迷宮サバイバル一日目(前半)


あの事件、そう。

雪山での竜との戦いから、十日ほどが経った。


山ガール兼、女子高生の広山ゆみちゃんも元気だし。額のツノがチャームポイントの愛犬クロも歩けるまで回復した。


怪我が心配だったが、どうやら何ともなかったらしい。手狭なログハウス暮らしにも慣れ、俺たちは悠々自適な生活を送っていたんだ。


そんな、ある日の夜。



……



ゴゴゴゴゴ……


「地震?」

「みたいですね」


彼女も気がついたようだ。クロは呑気にまだ寝ている。

いつもの大きさなら問題は無いんだが。


グラグラグラッ!!


「大きいぞ!」

「きゃあ!」


がちゃがちゃとテーブルの上の物が滑って落ちる。こんなに大きい地震は久しぶりだ。


ガタガタガタガタ!!


「外に出よう!」


以前一度壊れてから立て付けの悪い玄関のドアが、開かなくなっても困る。リュックを背負って、玄関を飛び出した。


しかし


バッと玄関のドアを開けると、そこは完全な黒の空間だった。踏み込んだ右足が空を切る。


「なっ!?」


転落、身体が重力の鎖から解き放たれたような、ふわりとした感覚。直後、何も見えない空間に俺は落ちていったのだった。


「お兄さーっん!」


遠くの方で聞こえる、ゆみちゃんの声。そしてそのまま俺の意識は闇の中へ。



……



どれくらい気を失っていたのだろうか。

カサカサと、草が風に揺れる音で目が覚めた。


草……?


(家の前は雪で、背の高い草など生えていなかったはずだ)


身体を起こして周囲を確かめる。


草だ、緑だ。

そして周りを、レンガで出来ているであろう建造物がぐるりと囲んでいる。


この構造は見覚えがある。


「中庭?」


建物の規模も大きく、およそ4、5階はありそうな高さだ。

およそと表現したのは、よく知る建造物と違い、窓の大きさや位置がバラバラで内部の構造が想像できないからだ。


また壁面自体も真っ直ぐではなく、出っ張っている所、凹んでいる所様々だ。

子供が、おもちゃのブロックを詰んで家を作ったらこんな感じだろうか。


「日本……じゃあないよなぁ、何処だ此処は」


およそ知る限りでは、こんな地震ですぐに崩落しそうな建物は聞いたことがない。

それに全く灯りがなく、人の気配が感じられないのも不気味だ。


とりあえず、動き出す前に状況を整理しよう。


リュックを確認する。これは何かあった時にすぐに逃げ出せるように準備していたものだ。


まずは厚手のナイフ、水筒、メタルマッチ、金属製のコップ(これは鍋の代用にもなる)。

それに缶詰がいくつか。


暑くなって来たため、上着を脱いでリュックに入れた。

この気候であれば、凍死の心配は無さそうだ。


必要最低限の物資は揃っているな。


さて、何処かはわからないが、家に帰りたい。生きて脱出する方法を考えよう。


経験上、極端な気候で無ければ水の確保が重要になってくる。


中庭の中をぐるりと見回す。


枯れた噴水のような構造物があるだけで、水の気配はない。それ以外ではポツンと木が一本生えているのみだ。


木を調べてみるが、朽ちているようだ。

少し引っ張るだけで木の皮がベリベリと剥がれて来た。


火を起こす時の焚付けになるかもしれない。

いくらか剥ぎ取っておこう。


「うわっ!」


足元に15cmはあろうかという、大きなナメクジを発見した。

緑色と茶色の体で、生理的に気持ちの悪い形だ、それがもごもごと蠢いている。

非常に緩慢な動作で、捕らえるのは簡単だがどうするべきか。


今は食料に困っていないこともあり、触るのは止めておこう。


「毒があるかも知れないしな」


見かけに騙されて負傷したら目も当てられない。不要なリスクは避けるべきだろう。


あとちょっと、見た目が嫌だし。


さて中庭の探索を終え、建物に入ってみようと思ったが、問題が一つあった。


(入り口が無い)


どんな設計だ、中庭があって、出入り口が無いとは。


窓も手が届きそうな位置には無いようだ。

さて、どうしようか。



……



しばらく壁面を眺めながら考えたが、ここから出るには登るしかなさそうだ。

二階?にあたるのだろうか、少し高い位置の窓から入ろう。


幸いにも何箇所か登れそうな場所を見つけた。壁面に足がかりになりそうな凹凸がある場所だ。またツタが伸びており足場に使えるかもしれない。


「やってみるか。」


そう呟いて、心を決めた。

第三章開始です!

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