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明日から突然サバイバル生活!  作者: ELS
(第1章)北の山林でサバイバル!
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人は異世界で生き残ることはできるのか

初日


昨日が遠い日のようだ。日曜日だったことは覚えている。

その日は季節外れの台風が上陸するということで、戸締りをすませ、通り過ぎるのを待っていた。


たしかに我が家はボロ家だが、台風でどうにかなってしまうなんて考えもしなかった。幸いなことに、それまで天災で被害を被ったこともなく「何かあった時のために」なんて、備えをすることもなかった。


その夜に考えていたことは、月曜日は一週間で一番嫌い日だから、明日も日曜日が続けば良いのになんてことだった。


なのに、今朝目覚めてみるとこれだ。

電気はつかない。目覚まし時計代わりの携帯電話は真っ黒だ。今何時だ?時計は全部12時で止まっている。洗面所の水は出ない、歯ブラシがあっても歯磨きもできやしない。


停電に断水なんて、すごいことになったな。会社にどうやっていこうか、なんて考えながら玄関のドアを開けてみるともっと凄い世界が広がっていた。


向かいの家がないんだ、隣の家もだ。正確には我が家以外、誰の家もなかった。茶色い大地が広がっている。昨日核戦争でも起こったのか?その割には風が雨戸を叩く音以外は聞こえなかったようだが。


家の周りを一回りしてみるが窓も割れてはいないし、何も問題は無さそうだった、家の後ろも荒地だった、遠くの方に林が見える。いや、この状況自体が問題なのだが。とりあえず家に入って考えよう。この状況と、これからどうするかを。


「ガスは出ない、水は出ない、電気はつかない。冷蔵庫の中は…うわっ。」


当たり前だが、冷蔵庫にも電気は来ていない。冷蔵にはダメになるようなものは入っていないが、冷凍庫が問題だ。アイスは全て溶けてしまっているし、レンジで解凍するタイプの冷凍食品がいくつかあったが、袋の上からでも溶けかけているのがわかる。


勿体ないので、今日の昼食は自然解凍されてしまった炒飯にしよう。

時計が止まってしまっているので正確な時間はわからないが日の高さからするとお昼過ぎだろう。


「冷たいな」


やはり温めていない炒飯は冷たくて、食べるのが辛かった。味は良かった次は最高の状態の物を食べたい。さっと食べてしまったあとは、食器は水が出ない洗い場に放り込んでおいた。


満腹になったら色々な事を考えた。

連絡手段が何もない。電話は通じないしテレビはつかない、情報が無さすぎる。これからどうするべきか、どこかから救助が来るのか?現実感がなさすぎて割と楽観的に考えていたが、もしこれが夢の世界でないのであれば、かなり絶望的な状況ではないだろうか。


最悪の展開を考えて、夜になる前に家にある役に立ちそうなものを集めておくことにした。

まずは食料と水だ、2Lのお茶のペットボトルが1本、缶コーヒー1本。ツナ缶2個、冷凍庫には溶けたアイスと溶けたパスタ、これはお気に入りの和風味だ。

棚には袋ラーメンが1つ、後はいくらかの調味料があった。

気ままな一人暮らしの俺は、気の利いた保存食や水なんてものは備蓄してはいなかったんだ。


他に役に立ちそうなものにはロウソクとライターがあった。タバコは吸わないが、引き出しにライターが入っていたのは幸運だった。これでガスがなくても火が使えると思うと安心だ。


家にある雑誌なんかを整理していると日が沈んできたので、ロウソクに火を灯して、夕食にした。

夕食は溶けてしまった冷凍パスタだ。皿にラップをして食べると洗い物を減らす事ができると雑誌で見かけたので、その通りにして食器は片付けた。


しかし、この調子だと数日で食べるものがなくなってしまうだろう、何か対策を考えないといけない。


家族や友人のことなど心配事もあるが、一日経つと異常な現実に慣れきている。人間の適応力というのはすごい。


明日は家の外を調べに行ってみよう。


初日です。

食料があり、水があり、家がある。

この状況では彼に困難は無さそうです。


彼がこの世界の洗礼を受けるのは、もう少し後のお話になります。

予想される困難を、どう乗り越えていくのか。


是非もう暫く、お付き合い下さい。

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