表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

1.04.第3の刺客


 ――第2の刺客………。


 ――じゃなくて、第3の刺客!


 それはどう見ても弱者!芋虫よりも体格的に劣る……。


 ただ問題は質より量!


 ――アブラムシかよ!


 ――油なんて名前つけやがって……、油……ヌルヌル……、今日からお前は、ヌル春川!通称ヌル!


 ――すっごい滑るよ!と言うか、テントウムシとか居ないのかよ!


 大量のヌル!対処に困る……。


 ――どうしようか……。取りあえず……。


 俺は唯一の毒?辛み成分配合、粘液をトラップ以外の部分からじわじわと噴き出させる……。

 

 ――そう言えば、唐辛子にも毒性が有った筈だな……確か、火病と呼ばれる精神疾患を誘発するとか……。

 

 ――まあどうでも良いか……。


 流石は辛み成分!ヌル達が毒を嫌い面白いように誘導されていく……。


 そして、ウツボカズラ型、二枚型の罠に自ら望んで入って行く。


 罠の内部には毒性(辛み)の無い粘液を大量に噴出!生物の弱点……、窒息を狙う!


 ヌルは所狭しと罠の中、入ってしまえば外に出るのは困難、そして徐々に溜まって行く粘液! 


 ――勇気だけは認めてやるが、俺の敵に回った事を後悔するがいい!く~くっく!


 「な~にそれ?ダーリン何してるの?」


 ――うぉっ!ビックリした。ハニーか……。


 ハニーこと、クルト様より言葉が届く……。


 「随分楽しそうだったわよ……。ダーリン。」


 ――今の見てたの?


 「ダーリンの事はいつも見てるわよ。」


 ――何、ちょっと恥ずかしいんだけど……。


 「それで何してたの?まさか………………浮気!」


 ――あ~はっはっはっ!冗談!俺が浮気するとでも……?それに見てたんだろ、ハニー?


 「ごめんなさい、分かってたんだけど……。ダーリンが楽しそうだったから、ちょっと意地悪してみたくなっちゃったの……。」


 ――いいさ、ハニー……。単身赴任みたいなもんだから、ワイフ()が寂しがるのも分かる。


 「ダ~~~リ~ン!」


 ――ただ俺も食物連鎖最下層からの出発だ……。時間も労力もかかる……。何より先駆者がいないから、試行錯誤の繰り返しだ。だが絶対、ハニーを顕現し卑猥で淫乱な夫婦生活を実現させる。しばらく寂しい思いをさせるが()っていてほしい……。

 

 「ダ~~~リ~ン!いいの!あなたが無事なら……。私の身体は永遠だから何時までも待ってるわ……。」

 

 ――ああ、俺も頑張るよ!


 「ところで良いの?ハ~レム?」


 ――えっ!だって俺にはハニーが……。


 「別に構わないは……。ダーリンの望みが私の望み!ハーレムの一つや二つ許容できない程、狭量(きょうりょう)じゃないわよ。」


 ――なるほど……。女神様は伊達じゃないって事か……。


 「でもダーリンが見初める娘は、紹介してほしいかな……?」


 ――ありがとう、ハニー……。どうなるかは分からないが、その時は紹介するよ……。


 女神様にハーレム容認して貰っちゃった……。


 「で話は戻るわよ……。何してたの?」


 ――敵を倒してた!元の世界のアブラムシに似た昆虫、通称ヌルだ!


 「アブラムシで間違いないわね……。なるほど今のダーリンの天敵に成り得るわね……。」


 ――でも大丈夫!対処法が見つかったし、美味しい餌に成り果てたよ。


 「流石ダーリン、処置が早いわ。こういうのは予防と初動対応が重要なのよね……。」


 ――だと思ったよ……。


 「でも気を付けてね……。これからもっと強い者が現れるわ。」


 ――ハニーは全ての生命に対して博愛主義じゃないんだね……?


 「何を言っているのか分からないわよ……。博愛主義は人が作り出した造語、私達女神は生命を作り送り出す、全て平等に……。それだけよ……。強いて言うなら、私はダーリン主義ね……。」


 ――それを聞けて安心したよ……。天罰なんて、受けたくないからね……。


 「まさかダーリンに天罰なんて起こらないわ……。そうね……起こるとしたら顕現が遅くなった分、纏めて子作りするくらいかしら……、生まれたての小鹿の様になるまで続けるから、それが天罰ね……。」


 ハニーがサラッと、とんでもない事を言う。


 むしろこちらも望む事ではあるのだが……。


 ハニーの体力には底が無い……。


 ――な、なるべく早く顕現出来る様……、善処します!


 「お願いね、ダーリン!この胸が締め付けられる感覚が、苦手なの……。」


 胸……。呪い……。いや恋か……。一種の呪いだな……。


 ――ハニー、俺も胸が苦しいよ……。だけどそれは、恋だと思う。


 「そうなの?初めての経験だから……。」


 ――そこで質問だけど、俺の生長ってどうかな?


 「そうね……。トレント種の生長は、約100年かけて成木になるわ……。それを考えると、凄いペースで生長しているわね……。1年位で若木に至るんじゃないかしら?」


 ――それじゃ問題ないんだね?比べる者が無いから全然わからないんだよ……。


 「問題ないわ……。心配性ね、ダーリン!それに、既に天敵との戦いに勝利してるのよ……。これからの生長も段違いに早くなるわ。」


 ――マナの搾取はやはり効果的なんだ?


 「体内で、生産するよりはずっと早いわ……。」


 ――ありがとう、ハニー。生長方針の確認が出来たよ……。


 「どういたしまして、夫を助けるのが妻の務め、気にしないで……。それじゃ、私も仕事に戻るから……。愛してるはダーリン……。」


 ――俺もだよ、ハニー……。


 そうして、ハニー女神クルトとの会話を終えた……。


 俺は、いつも通り生長する……。


 ――あれ?俺この世界に来て、生長と死闘の繰り返しだけだ……。


 もう直ぐひと月になろうとしているのに、それしかしていない……。


 まだ移動も出来ない俺は、それ以外にする事が無かった……。   

 

 ――なんだか若干悲しくなって来た。……。


 ――でもそれしか無いし……、もう少し生長したら大物でも狙うか……。ジャイアントキリングだ!

 

 ふと、某RPGでウネウネと根を這わせ、移動している草花のモンスターを思い浮かべる。


 ――あんな感じに移動出来ないのかな? 


 俺は根を動かそうとすると、魔力が消費されるのが分かった。


 ――だよな~……。


 そうすると、今度はタマネギの大化けを思い浮かべる……。


 ――いや……、あれは無しだ……。


 格好悪い……、球根に手足って……。


 ――うん?球根……。そうか……球根状にしてマナを貯めれば良いのか!


 そうして球根にマナを貯める事を思い付いた俺は、直ぐに実行に移す事にした。


 とは言ってもやる事は同じ、吸収→光合成→マナ蓄積→成長の繰り返し……。


 その過程で、蕾が開花……、蜂、蝶などに似た昆虫が寄って来るようになった。


 ――蜂が欲しいな……。


 俺は毒を持っている蜂を欲した……。


 蜂の毒が有れば、大物も倒せる。

 

 今のままでは、手詰まり感が半端ない……。


 花に寄って来るのは分かっている……。


 どうやって絡み取る……やはり4枚の花弁で抑え込むか?


 花蜜が有れば寄って来るだろうし……やっぱりウツボカズラ型が安全か……。


 そうして俺は少し大きめのウツボカズラ型トラップを作成した……。


 ――もしかして、ウツボカズラ対昆虫用装備としては有能過ぎなんじゃないか……。


 ――餌を入れれば勝手に入って来る……。


 ――あ~~でも蝶や蛾はダメかも……、鱗粉で無効化されそうだ……。


 ――……もっと作って置くか……。


 更に周りにウツボカズラ型トラップを作る……。


 そして俺の本体周りは、ウツボカズラの群生地帯となった……。


 それが新たなる火種となる事を、俺はまだ知らなかった……。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ