表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

00.プロローグ(始)


 ふと目が覚める……。


 知らない天井だ………………、なんて事は無く。


 どこまでも続く暗闇が目の前を覆う……。


 不意に女性の声が届く……。


 「ヤッホーッ!元気してた~!」


 そして眩いばかりの、容姿端麗な美少女が視界に入る。


 「誰?」


 「何それ、冷たい反応ね~。」


 「と言うか、ここ何処?」


 「まあ戸惑うのも分かるわ……。ここは死後の世界って言った方が分かり易いわね。そして私は女神クルト。よろしくね。」


 この軽いノリの女性は女神さまらしいが……。


 「って事は俺死んだのか?」


 「ぶっちゃけ言うとその通り!」 


 「えぇ~っと……。」


 「まあ死ぬ間際の記憶が曖昧になるのはしょうがないわ。一気に生存の記憶が流れるから。」


 走馬燈ってそういう理屈なのか?


 「で、あなたには別の世界に転生してほしいのよ。」


 なっ……!異世界転生か?


 「私の担当してる世界になんだけど、魔王がいるの……。そのお蔭でマナも安定しないし、人口も減り続けてるわ。そこで魂が過剰になっている地球人の魂を流用って事になって、声かけてるんだけども……、ダメ……かな?」


 いきなり上目遣い……どこで覚えた……。 


 「地球人ってこういうの好きなんでしょ。アキバで覚えたわ!」


 「って、心読むのかよ!」


 「それでどうする?一応、そのままって訳じゃ無く、スキルとか与えるつもりなんだけど……。」


 「でも行き成り過ぎだろ!どうして死んだのかすら分からないんだぞ!」


 「ああそれね、あなたの乗ってたバスが事故ってポックリよ……。」 


 「説明、簡単過ぎだ!……でも、帰省の為高速バスに乗ってたのは思い出した。」


 「良かったわね、お蔭で今日は疲れたわ……。あなたと一緒に34人も死んじゃったんだもの、忙しかったのよ……。ふぅ~!あなたで最後よ……。う~~~ん!」


 背伸びをする女神さま……。 


 「何だそのやり切った感は!まだ仕事残ってるだろ!」


 「はっ!そうだったわ!」


 コホン!


 「それでは改めまして、大門文人(だいもんふみと)さん!あなたは享年28歳の若さでこの世を去りました。つきましては、地球とは違う異世界アールエフで新たなる人生を送って頂きたく、女神クルトの名に置いてお願いします。」


 「ちょっと待て!改めて丁寧に言い直しても、説明不足は変わらない!」


 「え~!もういいでしょ。いい加減、帰りたいのよ!もう定時過ぎてるの!」


 「本当にぶっちゃけやがったよ!この女神!」


 「まったく……。」


 「こっちが言いたいわ!さっさと説明してくれよ!」


 「簡単に言うとアールエフは剣と魔法の世界、あなた方の世界でゲームの世界と言えば分かり易いでしょ。」


 「うぉ~!本気(まじ)か!行きたい!」


 「最初からそう言えばいいのよ!で、そこには色んな種族が暮らしているの……。その中で魔王が暴れまわって困ってるから倒して頂戴!って事までは望まないけど、普通に生活してくれればいいわ。」


 「特に目的が無いと言う事でいいのか?」


 「ええ、問題ないわ……。強いて言えば生き延びろって事かしら?何なら魔王討伐してくれてもいいけど……。多少暴れまわっていても問題ないわね。」


 「ハッ、ハーレム作っても良いのか?」


 「お好きにどうぞ……。国によっては合法よ、多種族ハーレムとか作っている者も居るわね。」


 「よっしゃ~、来た――――!」


 「で、次に恩恵なんだけど……。」


 これって女神さまが欲しいとか、言っても良いのかな?

  

 「なっ!いっ、いきなり初対面でそんな告白されても、わっ、私はなびかないんだからね。安く見ないで頂戴!」


 顔を真っ赤にして、所々噛みながら女神様が答える。


 ちょっと可愛い~。


 「だから……。褒めても何も出ないって、可愛いのはもとからだからね!」


 あっ、そうか!思ったこと全部筒抜けか……。


 「今頃分かったの!」


 「すいません。でも本心で思った事なので、何かサービスして下さい……。」


 「くっ!あなたって人は……まあ良いでしょう。私が可愛くて綺麗なのは紛れもない事実、信者にサービスするのもまた一興です。」


 そう言うと女神様が、端末を出す。


 どう見ても、ノートパソコンなのだが……。


 「こっ、これは?」


 「まあキャラクター設定してくださいって事です。人によっては本だったり、タブレット型だったりしますが、人それぞれがイメージしやすい物に見える筈。あなたはノート型パソコンに見えてるようですね!テンプレート一式がインストールされています。」

  

 「何でこんな事になってるんだ?もっと女神様様的な祝福って感じじゃないのか?」


 女神様の目が虚ろになり、口を開く。


 「アールエフ担当の先代の女神なんですが……。今さっき、あなたが思った事を実行され連れて行かれました。その前に女神の力が欲しいと言われ長年与え続けた結果、抵抗できなかったようです……。」


 「馬鹿なんですか……先代は?」


 「良く言えば、ただのお人好しです。悪く言うと思考の足りない馬鹿です……。」


 「………………。」


 「ちょっと聞いてくださいよ……。いきなりですよ、いきなり!こんな辺境の世界の担当にされたの……信じられませんよ。私にだって予定が有ったんです。見習いとしてもっと大きな世界を見ていて、その世界はうまく機能していて、その世界を任される予定だったんです。それがこんな……。」


 これはあれと同じか……、本社勤務で昇進確定していたのに、地方で馬鹿やらかした奴の尻拭いに、昇進と引き換えに左遷され永年転属が確定してしまったって感じの……。


 「女神様の世界も大変だな……。」


 クルト様は出来る女って感じだから、こんな田舎じゃ駄目なんだろうな……。


 「で、出来る女って……。女神ですけど……。」


 「あっ!またやっちゃったか……。でもあれだろ、この世界をどうにかすれば、また戻れるんじゃないのか?」


 「そうなんですけど……。魔王倒すだけじゃ駄目なんですよね。マナの安定サイクルも構築しないと駄目ですし、そのためには人口の安定も図らないと駄目なんです……。」


 「と言うか、そんな裏話俺にしちゃっていいの?」


 「ああ、そうでした……。内密にお願いします。サービスしますので……。」


 「何か最初の印象と全然違うな……こっちの方がしっくりくる。結構無理してたみたいだな、俺も出来る限り手を貸すよ。」


 「あっ!ありがとうございます。それじゃ、キャラクターポイントにボーナス付けて置きますね。それと初心者セットも付けますよ。」


 「えっ!何だか分からないけどありがとう!」


 「それじゃ取りあえず初期画面開いてください。」


 「えぇ~っと、これでいいのか?」


 ノートパソコンに向かい初期画面開く。


 種族:人


 名前:大門文人(だいもんふみと) 


 性別:男 


 属性:樹


 スキル:初心者セット(鑑定 言語互換 収納(空))


 祝福:クルトの愚痴 


 CP:250


 「へ~……中々。前世で徳、貯めこんでいたようですね。」


 「徳?」


 「ええ、あの人徳とかの徳です。CP(キャラクターポイント)に反映されるんですよ。」


 「そうなの?ところで祝福に()()()()()()てあるのは……。」


 「あっ!付いちゃった………………。まっ、いっか!」


 「おい!」


 「たまには聞いて下さいって事で……。」


 「それ位なら構わないが………………もしかして、マーキングされたのか?何時でも愚痴をこぼせる相手とかって……。」


 女神クルトが目を反らし、どこかを向く……。


 「………………。」 


 「まあ、いい……。こっちからも意見言えるんだろ?」


 「それは、はい!」


 変な物も付いていたが、これが俺の初期設定らしい……。 


 そしてCP(キャラクターポイント)を使い、設定を改変して行く事で生命力を上げて行けるとの事。


 初期CP(キャラクターポイント)はこの場だけの物らしいので、使い切りが基本。


 転生後は熟練度により、スキルを覚える。


 魔法は属性が有る物のみ習得可、ただし無属性は洩れる事無く全員が習得できる。


 種族による特性も有るので、一概にどれが良いとも言い切れない。 


 一応、転生後は現在の記憶は消える事になるが、覚醒する事により記憶が甦る事がある。


 基本、この世界を楽しんでほしいとの、女神クルトの意向らしい。


 そしてこのシステムは3か月前に女神クルトが作った物で、現魔王は先代女神の伴侶との事……。


 やはり女神クルトは有能と言う事か……。


 それにしても、先代は……。     


 不安と共に俺はキャラクター設定を始めた……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ