一服
ベランダに出てタバコに火をつける。
タバコを吸っている時間は、俺にとっては何にも束縛されない自由な時間だ。
俺はタバコを吸っている時、静かに祈りを捧げている。
まぁ、お線香の代わりみたいなものだ。
俺を取り巻く環境が平和である事の感謝。
俺が生きている事に対するご先祖様への感謝。
今は亡き、祖父、祖母、知人の冥福。
疎遠になっている友人・知人達の幸福。
実家の両親の幸福。
おっと、祈っている間にタバコを吸い終わってしまった。
新しいタバコに火をつけて祈りの続きをしなきゃ……。
カミさんには禁煙するように言われているが、俺は祈るためにタバコを吸い続ける。
これが俺の禁煙しない理由だ。