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君を愛する気はない! まぁ素敵!私やりたいことがありますの

作者: とと
掲載日:2026/01/09

読んでいただきありがとうございます。

よくあるセリフへ、ヒロインが傷つくことなく自分がやったことは自分に返ってくるよに書きたくて書いてみました。



「結婚してそうそうにすまないが、私はこの先、君を愛する気はない……...。」


私の、旦那様になるラジク様は、私が夫婦の寝室に入るなり、勢いよく振り返り、大きな声で、そう宣言し、なぜか表情が、驚いた顔のまま硬まった。



✿ ✿ ✿



私は、デイビス侯爵家の9人兄妹の、4女に産まれ、今年18歳になるが婚約者も居なかっ。もうすぐ貴族学院を卒業する、そんな末娘の私には、元々ちゃんとした嫁ぎ先が、回ってくるなんて、思っていなかったから、自分の好きな事で、生きて行こうと決めていた。


幸いにも、我が侯爵家は裕福で、兄妹がいっぱいいても、ちゃんと兄妹同じ様に、教育もしてもらったし好きな魔道具作りにも、手を貸して貰えて幸せだった。


だから、ほっておいてくれて、大丈夫だったのに、父はなんだか、頑張って私の嫁入り先を決めてきた。


これで………私の夢を、断念しなければならないのか……と落胆したが、まだ人生は長い。

落ち着いてから、チャレンジしても遅くないはず、貴族の務め!果たしてやろうじゃないのよ!と、私は結婚することにした。


父の決めてきた嫁ぎ先は、なんとトマス公爵家、顔合わせもしないまま、結婚話はどんどん話は進み、婚約期間は、残りの学生生活2ヵ月のみ、婚約者のラジク・トマス次期公爵様と、初めてちゃんと顔を合わせたのは、結婚式当日だった。


がっしりした体格、金髪のくせ毛を、きれいに短髪にしていて、透き通るような青い瞳、なかなかの美丈夫だが、私のタイプではない。


夫となるラジク様は、結婚式の間も、私を見る事がなくて、なんだか感じの悪い人。


そんなこんなで、冒頭に戻る。



「結婚してそうそうにすまないが、私はこの先君を愛する気はない。」


なぜか、表情が硬まったままのラジク様に私は、感じが悪いなんて、思ったことを心の中で謝り、キラキラの笑顔で答える。


「嬉しいです~。私、やりたいことがありまして! ラジク様には、他に思われる方がいるのですか?」


「あぁ……」


「でわでわ♪ その方との思いが、成就できる様にいたしませんとね!そうなると、白い結婚がいいですね。3年、白い結婚を継続すれば、この結婚そのものを、白紙にできますわよね。もちろん!

その3年間は、わたくし、ちゃんと公爵夫人としての務めは、行いますから、空いた時間を、私の好きな様に過ごさせていただいていいですか? ちゃんとちゃんと、家令に確認をしながら、ラジク様の邪魔にならないようにしますから」


私は、一気にしゃべり終わり、パチンと両手を合わせた。


「早速!お互い、同意であることの確認のため、直ちに契約書を作成しますね。あと、家令や侍女長には、白い結婚であることをお話しして、協力していただいた方が、私も過ごしやすいですから、今すぐお呼びしてもいいですかね~」


「いや。おい。ちょっと!オーレリアま……!」


ラジク様の声は、私がドアを、大きく開く音にかき消される。


廊下には、突然に開いた、扉の音に驚いた、お目当ての家令と、侍女長が立っていた。


「あら♪ ちょうどよかった 今、呼びに行こうと思っていた所なの、私とラジク様は、ラジク様の強~い希望で♪白い結婚で、3年後には、結婚が白紙とする事に決まりました~。 これからわたくし、契約書を作りますので、こんな時間に申し訳ないのですが、使っていいお部屋に、案内をお願いできるかしら。あと、寝室はもちろん、ラジク様の邪魔にならない様、別にしますので、私が暮らしていい部屋、もしくは別棟の使用を、お願いできるとありがたいのだけれど」


「オーレリア!」


「まあラジク様!まだ起きてたんですか? 今日はお疲れでしょ、顔が赤いですよ!熱が出ては大変!早くお休みくださいませ」


私は、なんだか、もごもご言っている、ラジク様を部屋に戻し扉を閉めた。


「では参りましょう。 家令の、お名前は、ディランでよかったかしら?」


私はにっこり微笑んだ。


私には夢がある。

あの日、出会ったグリフィン様に、また会いたい。できたら私も、グリフィンをゲットして、お友達になり、乗せてもらいたい!




✿ ✿ ✿




グリフィンとの出会いは、10歳の時、領地での夏季休暇を終えて、馬車で王都の邸宅に戻る途中、うとうと眠ってしまった私は、突然の揺れに眼が覚めた。


「ララどうしたの?」


侍女のララが、慌てて私を抱きしめる。


「お嬢様、このまま動かずに」


窓の外を見ると、護衛の騎士と、ワーグウルフ数匹が、対峙している。


私は、初めて見るワーグウルフの、美しさやら恐怖やらで、戦いから眼を離せずにいた。


「キュルル。 キュルー」


鳥のような鳴き声と共に、一頭のグリフィンが舞い降りて、ワーグウルフを追い払う。


グリフィンの羽先は、天色に青く輝き、シルバーの羽と体が、青さをさらに引き立てている。


「きれい。」


思わず、状況を忘れてつぶやいた。


よく見ると、グリフィンの背中には、グリフィンと同じ、きれいなシルバーの髪を、後ろでひとつにまとめ、髪とは対照的に、吸い込まれそうな黒い瞳の少年が、乗っている。


「はあ~きれい……」


少年は、騎士と何か話すと手を挙げた。


「ま!待って下さい」


慌てて馬車を降りようと、ララを振り払い、扉を開けた。


グリフィンと少年は、もう空の高いところにいて、叫ぶ私に、手を振り去って行ってしまった。


私は、グリフィンに一瞬で、心を奪われた。


「はぁ……。  私も欲しい」


その日から、グリフィンをゲットするため、猛勉強した。


グリフィンの事はもとより、文句を言われないように、勉強もダンスも、マナーも完璧に。


グリフィンと共に、暮らすお家を購入するため、以前から興味のあった、魔道具の作成と研究、できのいいものは、お父様の力を借りて、売り出して自己資産も貯めた。


ただ……。お父様は、グリフィンを見つけに行く事だけは、許してくれなかった。




✿ ✿ ✿




結婚して2日目、ラジク様と私は、ディランに立ち会ってもらい、契約書の内容を確認した。


3年後には、貴族院に白い結婚を認めてもらい、結婚を白紙にすること。


後継者を産む以外の、公爵夫人の務めを果たすこと。


お互いの生活には、干渉しないことなどを、盛り込んだ契約書に、ラジク様は想い人である、ベラ・カーク子爵令嬢に接触しないこと。


3年間は、カーク子爵令嬢との間には、子供を設けないことを追加した。


お二人の幸せを、祈っていますのに、邪魔なんかしませんわぁ、ベラ様は、ラジク様に、愛されていますわね♪


私は、精力的に、公爵家の仕事と、魔道具販売を行い、数ヵ月で軌道に乗せ、週に2日のグリフィン捜索の、時間を手に入れた。




✿ ✿ ✿



ラジク 視点


ベラは、父の仕事の取引先の娘で、私より5歳年下、小さなころは会うたびに、私の後についてきて、兄妹のいない私は、妹の様にかわいがっていた。


何時のころからか、男女の関係になったが、子爵家の娘では、父に受け入れてもらえず、数年が立ち………俺は、子沢山な、デイビス侯爵家の末娘を、お飾りの妻に迎え、数年後に離縁して、ベラを後妻に迎える計画を立てた。


ベラは、お飾りの妻にも嫉妬するため、顔合わせもろくにしないまま、結婚式当日を迎えた、どうせ数年先に離婚する妻だ、情を持たれて、離婚したくないと言われても面倒だ。


初夜に、関係性をはっきりさせるため「結婚してそうそうにすまないが私はこの先、君を愛する気はない!」と宣言し、振り返った。


初めて、オーレリアをちゃんと見た俺は、衝撃を受けた。


明るいオレンジ色の、ふわふわした髪に、新緑の様な、グリーンの瞳。ローゼンセマムの様に、愛らしい唇。小柄でいて、メリハリのあるスタイル!


むちゃくちゃタイプ!


直ぐに、発言を修正しようとしたが、満面の笑みの、オーレリアに押し切られ、初夜は何もなく終わった。


次の日、意気揚々と、綿密な契約書を提示するオーレリアに、昨日の言葉を撤回できず。


嫉妬深いベラから、オーレリアを守るため、ベラ・カーク子爵令嬢に接触しないこと、間違ってベラとの間に子供ができない様に、3年間は、カーク子爵令嬢との間には、子供設けないことを、契約書に追加した。


計画は、父上の知るところとなり、直ぐに廃嫡されそうになるったが、オーレリアに好意があり、この3年で、ちゃんと夫婦となるとを誓い、チャンスを貰った。


真の夫になるため、オーレリアに接触を試みるが、邸宅で見かけても、オレンジ色のウサギが、跳ねる様に、声をかける間もなく居なくなる。


使用人たちは、予定も教えてくれない。


オーレリアの住まいは、敷地内の離れになり、俺は離れに入れても貰えない。


なんとしても、オーレリアを振り向かせないと。



✿ ✿ ✿




「なかなか見つからないわね~」


自由時間を、ゲットしてから私は、移動や防御、攻撃の魔道具を背負い、あちこちの森をめぐり、グリフィン探しに時間を費やしている。


今日は、あの森に行ってみよう。


最初に私が、襲われたあの街道近くの森へ。



「きゃあぁぁぁ~」


私は森に到着するなり、またもワーグウルフに襲われていた。


そして今、慌てて防御結界の、魔道具を作動させ、固いカプセルのような、結界の中で、ワーグウルフと睨み合っている。


もぉー。私のバカバカ! 炎を噴射できる魔道具も、持ってたのに、私が、シミュレーションしてたのと、全然違う!慌てて作動できたのは、結界だけ…………結界越しには、攻撃もできないし!


…………………… ✿


睨み合う事 一時間……。


私とワーグウルフの間に、風を切り、あの時のグリフィン様が、舞い降りた。


「ギュルル~」


大きな鳴き声と、前足を持ち上げ、グロブリン様が、ワーグウルフを威嚇すると、ワーグウルフは、尾尻を巻いて逃げていく。


「きゃあ♪ ついに会えた♪グリフィン様」


あまりの喜びに飛び出すと、結界に、勢いよくぶつかり、尻もちをつく。


「大丈夫?」


結界を解くと、大きな手が差し出された。


見上げると、シルバーのきらめく長い髪を、後ろでひとつに結い、漆黒の瞳の美丈夫が、私を見つめている。


「ありがとうございます」


私は、彼の手を取り立ち上がった。


「あなたの瞳、よく見ると、中心は深い青色なんですね。きれい」


お礼も言わずに、つい美しい瞳に吸い込まれた私に、彼は急に手を離して、慌てたようにそっぽを向いた。


「こんなところに、ご令嬢が一人で何をしているんだい?」


少し低めの声で、耳を赤くしている。


…………怒ってるのかしら?


「助けていただき、ありがとうございます、重ねて10年前にも、助けていただきました。その際は、ちゃんとお礼もできなくて、すみません」


「この森は、ライアンの、生まれ故郷なんだ……。だから時々訪れる」


「まあ♪ ラ ライアン様というんですか?あの時、一目で、恋に落ちましたの」


「私は、ライアンでは……」


彼の後ろにいる、ライアン様の眼を見つめて、話しかける。


「素敵な天色ですね。触れてもいいですか?」


ライアン様は「きゅ~」とかわいらしく鳴き、羽を広げた。


きゃあああ。OKですの?


私は、ライアン様の羽と、体の間に潜り込み、ふさふさの毛を、撫でさせてもらった。


あー。しあわせ~。



「お顔にも、触れさせていただいていいですか?」


ライアン様が、私の顔にすりすりと頭を擦り付ける。


「他の人間に、なつくなんて……」


私はその言葉で、我に返った。


「は! すみません、私としたことが、嬉しさに我を忘れました。わたくし、トマス公爵家のオーレリアと申します」


「私はアレン・カークだ、アレンでいい」


「まあ。カーク侯爵家のご子息様でしたか、わたくしもともとは、デイビス侯爵家の末娘です。アレン様は、オリバー兄さまと、同じ学年ですよね、あの日助けていただいた少年が、こんなに近くにいたなんて」


「ああ。オリバーの妹君か、今は、トマス公爵に嫁いだのか?私は社交に疎くて、済まない」


「でも白い結婚ですの♪社交に疎いのは、私もですわ、命の恩人のアレン様。あと2年後には、白紙になる予定ですが、それまでは、ご内密にお願いします」


「それより、わたくし、10年前のあの日に、ライアン様に一目惚れしましたの♪それ以来、グリフィンと友達になりたくて、乗せていただきたくて、いっぱいいっぱい頑張りました」


「アレン様は、ライアン様とは、どんな出会いで?」


それから私達は、グリフィンの話題で大いに盛り上がり、時間を忘れて語りつくした。


「もうこんな時間だ。ライアンで、邸まで送ろう」


「本当ですか!載せていただけるのですか?嬉しすぎます」


ライアン様を、モフモフする。



✿ ✿ ✿



「わー。高い、気持ちいいですね♪」


「ライアンに、他の人を乗せることが、出来る日が来るとは思わなかった、小さなころから、警戒心が強くて、私がずっと面倒を見ていたからな」


初めての空と、ライアン様の背中を楽しんでいると、遠くにふらふらと飛ぶ、グリフィンの影が見えた。


「アレン様、あそこにいるのは、グリフィンではないですか、なんだかふらふらしていませんか?」


「ケガでもしているのか?行ってみよう」


近づくと、羽先の色が私の髪と同じ、オレンジ色の、ライアン様よりひと回り小さな、メスのグリフィンが、左の足から血を流し飛んでいた。


人気のない、丘の上に降りて、足の応急手当をする。


「送っている途中にすまないが、先に、ライアンの獣舎に行ってもいいだろうか?この子の処置を、優先したい」

アレン様は、優しくメスのグリフィンの頭を撫でる。


「もちろんですわ、急ぎましょう」


私達は獣舎に戻り、適切な処置をすることが出来た。


メスのグリフィンは、シエナと名付け、怪我が治るまで、アレン様が面倒を見る事になった。


それからの毎日は順調で、私は自由時間のすべてえを、ライアン様と、シエナとの時間につぎ込み、幸せな時間を過す。


なんだか、ラジク様が時々私の周りを、うろうろしていたが、かまっている暇なんてない。


ディランとの、仕事の割り振りも順調で、公爵夫人の仕事もうまく回せている。



そして、季節はあっという間に流れ、3年目の結婚記念日。


朝一番で、契約の終了を確認し、トマスのお父様に、婚姻の白紙が、認められたことを確認していただき、私のトマス公爵家での暮らしは、終わりを迎えた。


なんだかラジク様が、考え直してくれと言い出したが、家令のディランに、がっちり肩をつかまれ、連れていかれた。


見送りはお断りして、私は一人、門前までの広い庭園を歩いて出ていく。


「はー。なんだかすっきりした」


私は、清々しい気持ちで、トマス公爵家の門をくぐり、一度振り返る。


「いろいろお世話になりました」




「きゅる~」「きゅるー」


かわいらしい声に、空を見上げると、ライアン様に乗ったアレン様と、今日からは私の相棒となる、シエナが翼を広げ、滑空しながら降りてきた。


「シエナ~。自由になったよ♪これからは毎日一緒よ」


私は、シエナにしがみ付き、両手でわしわしと体を撫でた。


「キュル!」


ライアン様が、私に頭をスリスリする。


「ライアン様も、改めてよろしくお願いします」


2頭のグリフィンに挟まれて、はしゃぐ私の前に、アレン様がすっと手を差し出した。


「オーレリア!」


ビックリするほどの、大きな声に、慌てて返事をする。


「はい!!」


「あの、あのだな、ライアンと、シエナは番になることになったようだ……」


嬉しくて、ライアン様とシエナにぎゅっと抱きつく。


「わー。二人ともおめでとう!」


「だからだな、その、オーレリア!」


「はい!!」


「私と、結婚してください!」


「は!!」


かたまる私に、アレン様が近づく。


「返事は?」


「はい!! 喜んで」


私は、アレン様の手を取った。


~ 終わり ~


 ラジク様は、あの後すっぱり公爵に廃嫡され、平民となりました。

ベラも家族に縁を切られ、生きては出る事ができないと噂の修道院に送られました。

いつも誤字脱字ありがとうございます。

評価やリアクションいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
うわ〜好きですこれ。「君を愛する気はない!」を“被ダメ0で即・契約書化”に変換する発想が爽快で、オーレリアの「やりたいこと」が最初からブレないのが強い。白い結婚を“悲劇”じゃなく“自由時間の獲得手段”…
> ベラは、ラジクと共に、オーレリアをお飾りにすることを計画していた設定でしたが、厳しすぎましたね。 ご返信ありがとうございます。なるほどですね! お飾りとか白い結婚とか、勝手にされた方はたまったも…
王子が廃嫡される理由はまだわかるのですが、ベラはそもそも誰とも接触していないのでは? 修道院送りになる理由がわかりません
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