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魚釣りの話 エサを準備します。

駅から電車で10分。「ここのうどんが美味しいの♪」と、みっちゃんは個人営業のうどん屋に入っていく。「もう、みっちゃんは。」はぁっとため息を吐くたくやさん。腹の虫がお出汁の匂いに、ぐぅぐう鳴ってたまらない。中に入ると「お客様、お二階どうぞ!」と、すぐさま案内される。二階?「こっち。」とたくやさんが引っ張る。お客さん用のトイレの向こうに続く廊下の先の階段を上がると小さな座敷があった。すでにみっちゃんは靴を脱ぎ、座敷に据えられた長テーブルにさっさと座っている。自分も習って席についた。「ほんと、みっちゃんは嫌がる事、得意だよね。」座るなり、たくやさんが、じとっとみっちゃんを見る。「やだぁ、そんなつもりないのにぃ。」ぶりっ子をするみっちゃん。二頭筋が盛り上がる。注文しなくていいのかな。なんて思っていると、ビーっと機械音が鳴る。たくやさんが立ち上がり、向かう先には銀の上下に開く扉。開けると中には、うどんのどんぶりが3つ。「あ、手伝います。」と、受け取りにいく。「熱いから気をつけて。」盆にのったうどんを運ぶ。たくやさんが、扉を閉めて横のボタンを押すと中の台が下がる仕組みのようだ。「待ってました!」座って待っていたみっちゃんは、すでに割りばしを割って待っていた。

「みっちゃんは肉うどん。僕はワカメ。このキツネは(こう)君ね。」たくやさんが配膳してくれる。「あの、注文してなかったんですが。」「あら、(ゆき)ちゃん、気づかなかったの?」「いいから、食べなさい。」頭に“はてな”を浮かべながら「頂きます。」と、うどんをすする。関西風で、お(つゆ)が薄いキツネ色だ。一口飲むとかつおと昆布の香り。少し甘口なのは揚げの味つけが甘いから。うどんも柔らかいのにもちもちとして優しい。「美味しい…!」空きっ腹には、たまらん!「でしょー?飲んだ後なんか、最高なんだからぁ。」なんでみっちゃんが自慢気なのかはさておき。階段を上がってくる足音と「ちょっとー。」と、文句を含むこの声は。「じんさん。」「なに?え、どうしたの?みんな、路線変更したの?」作務衣に鉢巻き姿のじんさんだ。「職人みたいです。」「職人なのよ。(こう)君。」素で返された。「いきなり、皆で来るなんて。しかも、昼営業が終わるギリギリだったわよ。」「ちょっと、協力して欲しくてさ。」みっちゃんは、ずずっと汁を飲み干してゲップをすると、(汚ねぇ、と二人から睨まれているけど。)「火種が大きくなる前に消したいのよ。」ニヤリと笑うみっちゃんは、女装の時も迫力があったが、イケメンな今も、極悪で怖い。「たくや、あんたも手伝ってんの?」「なんか、成り行き。」「もー、あんたは女装してないと覇気がないわね!」そう話していると、女性が階段下から顔だけだして、「いらっしゃい。ちょっとじん!私達、先に休むからね。」「おう。」女性は返事の前に階段を降りていく。「元気ねぇ。なぎさちゃん。」「まぁ、店を切り盛りするには、あれぐらいじゃないとね。」「奥さんですか?」「っんっな訳ないでしょ!姉よ!」「ここは、じんさんの実家で、今は姉夫婦が主体でやってんだよ。」たくやさんが短く説明してくれた。他に妹さんがいて、看護学生だそう。「夜に「ぷいぷい」で働けるのは、妹が私の代わりに入るからなの。」なるほどな、仲いいな、だから、うどんが美味しいんだろうな。最後の汁を一息で飲み干した。


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