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目まぐるしい話

あの男は、一旦精神疾患専門病院に入るという。たとえ裁判となっても執行猶予なしで実刑となるだろうとの事。ドアは直ぐに修繕され、室内もリフォームされた。費用は男の親族が払った。みっちゃんにも、治療費が支払われた。ここあさんは、たっくんの保育園の盆休みが明けるまで帰ってこさせなかった。みっちゃんはここあさんにではなく、ここあさんが離婚時に世話になった弁護士に直接連絡し、男の弁護士や警察とのやり取りもその人に任せたらしい。ここあさんが気にしないで済むよう淡々と話を進めたのだとか。一応、自分も被害者だが、何かされた訳でないし、親に連絡されるのが後々面倒な問題になるのでフェードアウト。全ては、自分の預かり知らぬ所で話が済んでいた。

神社の夏祭りは、朋ちゃんと行った。リンダは男同士で行く約束をしていたが、結果、クラスの大半が神社で集まったから約束もくそもなかった。浴衣を着た朋ちゃんは可愛い、そしてほのかに色っぽい。自分は、いつものウィッグに、Tシャツジーンズ。ああ、“(こう)”の姿なら朋ちゃんの隣を歩いても様になったのに。「いや、悔しがるとこ、そこか?」幽霊が突っ込みをいれたが気にしない。

ゆり子さんも里で採れた夏野菜をどっさりと土産に帰ってきた。色白の肌が少し焼けていた。「孫や、甥姪の子と遊ぶのも生きる張り合いだわ。」と。

夏休みも終わり、二学期が始まる。

「ちゅーかんてーすーとー。」担任が、開口一番言ったのは、皆、忘れていたい単語。「一学期、期末テストがすこぶる悪いやつが複数名、しかも、夏休みの宿題があまりにもひどい有り様のやつもいる。このままでは、進級が危うい上に…」なにやら不穏な空気が…。「二学期のメインイベント、文化祭にて、クラス全員、清掃作業員として働いてもらいます。」「「「えぇーーっ!!」」」うるさっ。


「…やべぇ、俺…マジでやべぇ。」(しかばね)の声が聞こえる。「あんた、何で宿題終わらさなかったのさ。」「…頑張って…終わらなかった。」「くそがっ!」

朋ちゃんは、心の底から吐き捨てた。「別にいいけどね。清掃。劇や模擬店に比べたら楽じゃん。設置したゴミ箱のゴミ袋、集める位で済むでしょ?」わざわざゴミをぶちまけるような事をしたら、「生徒指導の井上先生が飛んで来るよ。スキップして。」「うわぁ、想像に易い。」「ふつーに叱られらより怖ぇえもんな。」笑顔の井上。御歳62才のベテラン教諭は、いかなる校則違反も見逃さない。そしてそれは懇切丁寧に笑顔で、なぜ校則違反に至ったのかを聞き出し、結果を考えたか、自分や保護者の責任云々を説明する。そりゃうんざりするほどに。逃げようものなら、マスターズクラスの短距離走で過去優勝する程の健脚で追いかけ、追い詰め、最初から説明をやり直し聞かされる。

「けど、やっぱり高校入ってさぁ、ライブとか模擬店とかしたいじゃん。私の中学、文化祭って合唱か劇だったんだー。」朋ちゃんは菓子パンを噛みちぎりながら話す。「あー地域によるよな。俺んとこ、体育祭と年ごとに交互にあった。」「体育祭は毎年あったよ。文化祭は、文化部の発表会みたいな感じかな?」「へー。全然想像つかねー。」なんて話していたが、「ちょっと。」聞き慣れない声に三人同時にそちらを向くと、「あれ、島崎さん。どうしたの?」朋ちゃん、さすがのコミュニケーション機能搭載。たしか、クラス委員だ。「どうしたのじゃないよ。文化祭の前に中間テスト、頑張らないと。鈴田君、岸田君、中岡君。陸部の三人が三人共、補習じゃん。マネージャーの川田さん、しっかり手綱牽いてよ!」「ヴッ!で、でも、陸部と勉強は別だし「杉本さんも!」「うぇっ?!」おかずのイカリングが噛みきれず苦戦している時に、名前を呼ばれるなんて滅多にない事だ。「いつも一緒にいてるんだから手伝ってあげて。」「は、はひ!」言うだけ言って、クラス委員の島崎さんは、教室を出て行った。「よっぽど文化祭、楽しみなんかな。こりゃ気合い入れないとね。」「頑張って赤点回避しないとな。」イカリングを噛みながら、リンダと朋ちゃんをみる。今のを悪意と取らない二人はなんだかやる気を出しているが。改めていい(やつ)らと知り合ったと思った。

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