表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/41

学生だけの特権 夏休み、あぁ夏休み、夏休み

夏休みの宿題をしているとLINEが鳴った。見ると“父”とある。マメにLINEをしてこない父親からの連絡を無視したら、ややこしい事が起こっていた場合、さらにややこしい事になる。見てみると、「夏休み帰ってくるのかな?」と、可愛いスタンプ付きで届いてた。うへぇ。

仕方なく帰らない旨を伝え、「新しい奥さんと旅行でも行っておいでよ。」と、伝えると「うん、○日から△日まで留守だから帰ってくる日とダブったらいけないと思って♪」旅行ありきかい。日取りも決まっとるんかい。とりあえず、バイバイと笑顔で手を振るレッサーパンダをスタンプしといた。

シャワーで汗を流し、寝間着に着替えてベッドに横たわる。クーラーはつけたままだ。仕方ない、寝てる間に湯だってしまう。明日も早朝からバイトだ。目を閉じると、すぐに記憶がなくなった。


「…おい、おいって。」「…うぁ?時間か?」「いや、まだ夜の11時やけど。」「…んーだよ、起こすなよ。」まじ、塩投げんぞ。「塩て。いや、思い出してん。」「何が。」「自分の事、ちょっとやけど。」忘れたら困るさかい、先に起こしたんや。聞いてくれ。必死に訴える幽霊に、さすがにちゃんと聞いてやらねばと思い、テーブルの上に出したままのシャーペンとルーズリーフを引き寄せる。「…で、何、思い出したん?」「俺が思い出したんはなぁ。」おぅ。「大事な事やねんけどなぁ。」だから何だ。「言うで。」はやく、言って。「関西出身やっちゅう事や!」はっ?「俺、めちゃくちゃ関西弁言うてるもんな!違和感ないやろ?」…もう、明日塩盛っとこ。無視して寝た。

今日は「ぷいぷい」の日で、みっちゃんから店の鍵を預かってきた。この時間だとさすがに、たくやさんもじんさんも都合がつかないらしい。クーラーをつけ、郵便物等をチェックし、昨日のゴミをまとめる。クーラーが効いてくるまでは、やはり汗が吹き出てくるので化粧はもう少し後にしよう。食洗機の中の皿を新しい布巾で消毒スプレーしながら拭いては食器棚へ戻していく。だいぶ涼しくなってきた。二階に上がる前に鍵を閉めておく。二階は蒸し風呂だった為、鏡とメイク道具を持って降りる。メイクを仕上げて服装や靴まで変え終えた時、店の前に人の気配を感じた。あ、鍵を閉めたからじんさんかたくやさんが、入れないのか。と、ドアノブに手を伸ばしかけたが「あかん!」と、幽霊に止められた。なんだ?お前居たのか。「いや、ちょっと危機感持ちぃや。」よくわからないまま、?と固まっていたらドアをドンっと叩かれた。その勢いに飛び上がってしまった。しばらくドアノブをガチャガチャしていたが、急にしずかになった。居なくなったらしい。身体が固まって動けなかったが、「おい、大丈夫か?」幽霊が肩に手を置いてきた。重さなんかない。けれど、触れられた瞬間、力が抜けて膝に手をついた。「…っはぁ~、びびった~。」さすがに肝が冷えた。「あかんで、確認してから開けやんと。ワケわからんヤバいやつもおんねんで。」くそっ、一番ワケわからん奴に助けられたっ。

実家のマンションは住人用入り口に管理人が常駐するタイプだし、自動ロックだった。今のアパートにしても電子ロックとモニターがついているから失念してた。

まだ始まったばかりの夏休みなのに、あぁ、身体と心の疲労がピークだ。

「働き過ぎやし、頑張り過ぎや。高校生やったらもっとええ加減に、気ぃ抜いてええんやで。張り詰めすぎや。」

…きっと優しさと本気で心配してくれた言葉だった。けれど、思ってしまった。こいつは、思っている事がわかる。悲しい顔して「すまん。」と言って消えた。

「…くそっ。」まだ、誰も来ない、くたびれたスナックの店内で、吐き捨てる様に発した言葉は自分に対してだ。

思ってしまった。

生きているから、頑張ってんだよ。

死んでる奴は、先の心配なんか無ぇだろ。お気楽で居られねえんだよ。

         …くそっ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ