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学生だけの特権

高校入学から慌ただしく毎日が過ぎ、あっというまに夏休み目前となった。その前の期末では、「ぷいぷい」の“じんさん”が勉強をみてくれたおかげで、安心出来る点数を取れた。進学は考えてないから、親が呼び出されないように注意するだけだ。

「夏休み、どうする?」昼休み、隣の席の朋ちゃんが弁当と椅子を持ってこちらに移動しながら聞いてくる。「実家帰る?」「ムリムリ。帰っても布団もないよ。バイトかなぁ。」「私も短期バイトの面接受けたー。今日、連絡くるんだ。」「俺、盆休み以外は部活と補習。」リンダが、購買のパンとペットボトルのジュースを持って帰ってきた。「あんた、男子同士で食べなよ。」陸部のマネージャーの朋ちゃんが幾人かの男子生徒のあだ名を挙げ、「あいつらと仲良いじゃん。」「んー、けど昼飯はここって決まってんだよ。俺の中で。」そう言ってソーセージパンをがぶりとかじった。別に気まずい思いをする事もない。リンダの話じゃあ、とりあえず決着がついたらしい。ここあさんに対しても、二人共に接近禁止令が出た。親が慰謝料というか迷惑料を包んだが、ここあさんは受け取らなかった。自身も、過去とは言えきっかけとなる事をしての今回だったのだから、反省している。幸い自分には怪我も無かったから、これで手打ちとしましょう。と、話は終わったらしい。そして、兄貴夫婦は離婚をしなかった。起訴もせず、事故として処理した。怪我の治療で入院した兄貴に、嫁さんは寄り添い、兄貴は兄貴で目が覚めていた。二人で話したらしい。兄貴は筆談だが。それぞれが結婚という特別なイベントに舞い上がり、“自分の理想”を作り上げ、相手に押し付けた。拒否しようにも、自分にも“理想”がある。だからお互いにその“理想”を飲むべきだ。ってな具合に。そりゃ上手くいく訳がない。今回、入院して話して、初めて互いの思いを包み隠さず話せたらしい。これ以上悪くなる事はないと思ったら、怖いもの無しだったのも理由だろう。そして、一からやり直そうと相成った。その上で、やはり上手くいかなければすっきりと別れましょう。と、誓約書なるものを書いたのだとか。

色々な夫婦の形があるものだ。

「幸ちゃん、バイト、夏休みずっとって訳じゃないんでしょ?どっかで遊び行かない?」朋ちゃんがおかずの唐揚げを頬張りながら提案してきた。「リンダも、練習は熱中症対策で夕方か早朝だし、補習は決まった時間数受けた後は行かなくていいじゃん?。」丸一日遊ばなくても、(あいだ)の2~3時間で出来る遊びをしようと。なにせこの三人、放課後にしろ休日にしろ一緒に遊びに行く事がない。「結構仲良くつるんでるのに、意外。」とは、朋ちゃんの、自分とは反対側に座る女子生徒の言葉。朋ちゃんは、人脈が広い。リンダも部活仲間や何人かのクラスメイトと仲良くしている。自分も、話題に入って話しをするし、別に嫌われている節はない。(と、思いたい。)しかし、時間に余裕がない。自分の食い扶持を稼ぎ、社会人になる為の努力を怠る事が出来ない。死活問題だ。そんな理由(わけ)で、プラトニックな関係だったのだが高校生らしい時間を過ごしましょう。とのお誘いだ。

「来年はクラス変わるかもだし。もし、リンダや他の部員が全国大会なんて出ちゃったら、ますます時間ないよ。」今年は、一年生は予選敗退。二年生に本選へ行く選手がいるが、予算の都合上応援に行くのは二年生の部員とマネージャーだけ。三年生は、昨年、問題を起こして出場出来ない。

だから「チャンスがある内に!」と、最後の卵焼きを一口に放り込んで朋ちゃんは締めくくった。まぁ、たまにはなぁ。「そうだね、チャンスがある内に出来る事はしたいよね。」「俺、補習頑張って、部活も残されない様にする。」「あんた、推薦だからって勉強しなさすぎなんよ。」小さくてコロコロした朋ちゃんが倍以上も体躯のあるリンダにズバズバ言う様が、なんとも微笑ましかった。

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