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新生活の話 人それぞれの“理由”と“こじつけ”

今日も朝早くからバイトに向かい、朝食を食べ、弁当持って自室へ行く途中に正人さんの分の弁当を渡しに寄る。素っぴん状態でも正人さんは自分を“女性”と認識しなかった。すっかり“男の子”と認識してしまって多少の違和感には気付かなくなったのだろう。自分からは否定する勇気がない。

正人さんは、ゆり子さんやみっちゃんは大丈夫。ここあさんも、たっくんが一緒だとギリギリセーフ。しかし、ガールズバー用のメイクと服装のここあさん一人と対峙すると完全アウト、全身鳥肌で泡吹いて白目を向くのだとか。そんな状態で社会人やっていけるのか。それが、やっていけているのである。会社の方々が理解ある人達と言うのと、仕事柄そんな若いギャルと会う事もない。満員電車に乗る経験が皆無の田舎な上に、移動は社用車か、自前のバイク。途中のコンビニや個人店に寄るのも、若い女性のいない時間を把握していて、回避ルートを自分の中に作り上げているらしい。アレルギーというより「トラウマなのよ。」と、みっちゃんは仕事用のメイクを洗い落としながら言った。今日の弁当のおかずは、ゆり子さんが作ってくれていた。みっちゃんは、「ぷいぷい」が閉まる夜1時を過ぎても帰らない客に付き合い、そのまま店で寝てしまったらしい。バ先のコンビニで品出し中にジャージ姿の正人さんが来て、缶コーヒーと5枚切り食パン、菓子パンをいくつかレジに持ってきたので「あれ、珍しいっすね。」とレジ打ちしながら聞くと「みっちゃんがまだ帰って来てないんだ。ゆり子さんが弁当作ってくれてるけど、これ位はしなきゃね。」僕の独断と偏見で選んだから、好きなパンが無くても文句は受け付けないよ。と、いつもの笑顔と寝癖が相まって庇護欲掻き立てられる容貌にハートを撃ち抜かれたオーナー夫人は、去りゆく正人さんの背中をいつまでも見つめていた。御歳58。まだ胸がトキメくお年頃のようだ。

バイトを終え、みっちゃんの部屋に行くと正人さんは既に自室へ戻っていた。自分が部屋に入ると同時位にここあさんとたっくん親子も降りてくる。ゆり子さんは卵焼きと煮物を作ってくれた後、自身も仕事の為入れ違いに出て行った。正人さんが買ってきてくれたパンと自分で焼いた目玉焼きとベーコン(ここあさんとたっくんの分も含む)で朝食を取っていると、金髪ウェーブロングのウィッグを顔に張り付け、つけまは位置を移動させ、お気に入りの90年代物のボディコンスーツがしわしわになっているみっちゃんが「ただいまぁ~。」と、入ってきた。その姿に誰も返事が出来なかった。

弁当箱2つにおかずを詰めている横の洗面台で、みっちゃんが洗顔しながら喋る。上記の続きになる。

「もしかしたら、ゆきちゃんでトラウマ克服できるかも。」フゥーと息を吐きながらタオルで顔を拭きふき、自分のカップにティーバッグと湯を入れる。みっちゃんお気に入りのローズヒップティーの香りが漂う。「だから、しばらく付き合ってくんない?」この茶番劇に。「ついでに、“さっちゃん”て呼ぶようにするわ。」なんで?「ほら、学校行く格好の“ゆきちゃん”と、今の格好の“さっちゃん”、で男の格好の“こう君”。なんだか変身するヒロインみたいじゃない?」キャッキャと一人喜ぶみっちゃん。ここあさんとたっくんが、ここにいなくて良かった。ここあさんが居たらノリノリでもっと訳解んなくするだろう。慌てて、詰めた弁当を持って退室した。

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