表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/20

現在進行の話 「つらい」と「からい」は同じ

授業中は、なんとかなった。視聴覚室での映像を観る授業は、クラスメイトほぼ全員という人数がゾンビの様にカクカク、または屍となっていて、担当教師ですら船を漕ぐ有り様。お疲れ様です。しっかりと睡眠を補う事が出来た。ただ、何やらリンダの顔色が悪い。「風邪引き?」「財布無くした?」「いや、スマホ無くしたんじゃね?」「失恋か?」「「「いや、それはない。」」」と、男女問わず、心配されていた。

リンダは人に好かれる男だ。何故か周りに人が集まる。


「なあ、ちょっと聞きたい事があんだけど。」帰り支度をしていた時、リンダが話しかけてきた。「…何?」「…時間ある?帰りの途中、どっか寄って話したい。」うーん。今日は“ぷいぷい”が休みだから、早く帰りたい。が、「解った「え、マック寄ってこ。お腹減ったし!」朋ちゃん…。「わりぃ、今日、ちょっと個人的な問題で杉本に聴きてぇ事あって…。」リンダは素直に説明する。朋ちゃんはきょとんとしていたが、ややあって「了解。」にかっと笑うとカバンを肩にかけ、颯爽と帰って行った。あんた、いい女だよ。


自転車を押して、商店街とは真逆の大型スーパーのテナントのカフェ。衝立があって隣の会話は気にならない。注文が届く間は何気ない話をした。飲み物がそれぞれの前に置かれる。今の時間ならブラックを飲んでも就寝時間に影響がないのでそのまま飲むと、「え、お前、ブラック飲めんの?すげぇ。」と謎の評価を貰い、リンダはクリームソーダのアイスを小さなスプーンでちまちま食べる。「…えっと、聞きたいのはさ、」昨晩の事。しかし、自分は眠気にやられて気がつけば朝だった。そして、バイト中、朝食中、通学中、授業中に幽霊が一人芝居を延々と見せてくれていた。それをかい摘まんで言うと、刺されたのはリンダの兄貴。刺したのは兄貴の嫁さん。つまり義姉さん。結婚前に、ここあさんと付き合っていたが数ヶ月で破局。その後は全く関わりはなかったのだが、弟の寮生活の為の引っ越しを手伝った時に入ったドラッグストアで、ここあさんと再会。この時、兄貴さんは入籍を済ませ、弟が春休みの間にと予定した挙式数日前だった。兄貴は舞い上がってしまった。まさか、ここで会えるなんて。一方、ここあさんは今はホドホド遊べる友人もいて充実した人間関係を築いていたので、過去の男など相手にしなかった。そこからは何度も擦られたドラマのネタ的な展開。しつこく粉をかける兄貴、相手にしないここあさん。式も挙げ、幸せな新婚生活が始まったばかりなのに様子がおかしい旦那に不安になる新妻。結果、拗れた。たっくんと保育園から帰ったここあさんは、アパートの自室のポストに不穏な手紙をみつける。他の住人に相談しようにもタイミング悪く部屋にいない。スマホは、バッテリーが赤ランプ。まぁ様子みるだけ、直ぐ帰れるだろう。と思ってたら。泣き叫ぶ新妻、目がイッちゃってる兄貴。蚊帳の外のここあさん。新妻は兄貴に貰った髪止めを外し、投げた。これが、まずかった。髪止めは簪が髪をまとめる革のベルトを貫く用なデザインで、この簪部分が、刺さった。兄貴の喉に。うまくタイミングが合ってしまった悲劇。その後は、動転した兄貴に、狼狽する新妻、救急車を呼ぶここあさん。

まぁ顛末はこんなしょっぱい話なのだ。で、「…聞いてた話より酷い…。」と、顔をおおうリンダ。大きな体が小さくなっている。「…頼む、誰にも言わないでくれ。」「言わないよ、こんなしょっぱい話。」コーヒーをずずっとすする。リンダは、情けない…と顔を上げられないようだ。「なんで自分が“知ってる”と思ったの?」と疑問をなげかけた。リンダはやっと顔を上げると、「俺達も警察署行ったんだ。迎えに。」で、ざっくり説明を受け、被害届け云々の説明を受けていると、入学式にみた人がいる。あ、杉本の保護者(?)じゃないか。相手の女性を迎えに来たのなら、杉本も関係者の知り合いか?となったらしい。一度見たら、忘れられないみっちゃんて、どんだけ強烈なんだよ…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ