現在進行の話 大きな声では言えませんが小さな声では聞こえません。
昨晩、風呂屋から帰ってきたゆり子さんは先にたっくんを寝かしつけてから、みっちゃんの部屋に来た。正人さんの弁当は、みっちゃんが置きにいったが、その弁当を持って正人さんもほぼ同じ位にみっちゃんの部屋へと来た。自分は意識が飛びかけていたが、チャイムの音でなんとか引き戻す事ができた。で、ここあさんが見つかった事。殺人未遂事件に巻き込まれ、とりあえず、一時帰宅になるとの事を伝えた。「まぁ、大変な事になってたのねえ。」正人さんの湯飲みにお茶を注ぎながらゆり子さんは言った。「殺人事件なんて、恐ろしい。」「あ、まだ死んでないんで“未遂”っす。」「目の前で人が殺されるなんて、恐怖ですよ。僕もムリです。」「殺されてないっす、未遂っす。」正人さんは大きなおにぎりに齧り付きながら、「けど。」と疑問を口にする。「原因でもあるって事なら、やっぱり男女トラブル、痴情のもつれ、てやつか。」「それはまだ、解りませんが。」「ここあちゃん、大丈夫かしら。ちゃんとご飯、食べれたかしら。」ふぅーっとため息が三人分重なった。
「まぁ何にせよ、みっちゃんが帰ってきて、ここあさんの顔を見るまでは安心出来ませんよね。」正人さんは、弁当のジャーを洗いながら話を続ける。しかし迎えに行ってから、既に1時間半は過ぎている。もう、自分も限界だ。「さっ…こう君も寝なきゃね。明日もバイトでしょ?」「っす。なので、すみませんがお先、失礼します。」おやすみ、おやすみなさいの声を聞きつつ眠気でふらふらしながら、部屋を出た。と、幽霊がいた。「おう、帰ってきたか。」小声で話す。階段を上り自室へ。入ったとたん、「マジで凄かった。修羅場修羅場っ!」と興奮気味に話だす幽霊。だが、「駄目だ。」と、手で制止をうながす。「なんやねん。これ」「限界。」「はっ?」バタンとベッドに倒れて直ぐ、寝入った。「はぁー…ほんま、こいつ。」幽霊はガシガシと右手で頭をかく。ったく、自分が頼んだんやないか。やのに話も聞かんと寝くさって。ちぃっとイタズラしたろか。と、寝てる顔を覗いたが、「…半目で白目むいとる…。」っかぁー色気も糞もねぇ、これが花のJKか?あかん、ち○こも立たんわ。出て行こっ。幽霊は、一人大騒ぎして消えていった。だが、耳だけ働いていた自分に、これらの独り言が聞かれていたとは、お釈迦様でも気がつきめぇ。
何とか遅刻せずにバイトに向かう。寝不足で不機嫌MAXの顔にオーナー夫人は、「今日はバックヤード。」と、親指で裏を指差した。はい、すんません。




