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ちょっと先に進んだ話

なんとなく、書けたらいいな。ちょっと、楽しんで貰えたらいいな。の、気持ちで書いてますので、きついお言葉はNO THANK YOUでお願いします。

6月下旬、夜8時。

まだ、幼稚園児も寝る支度をするかしないかの時間に、ぐっすりと寝息を立てて“自分”は寝ていた。

まだエアコンをつけずに心地よく寝れる気候に、薄掛の布団を腹にかけ、しっかり寝ていたのだ。

その耳に、薄い壁の向こう。隣室に住まう幼児の声が届いた。

「…ずっ。…ママ…。」

寝ていた“自分”の体は、バネが弾けた様に起き上がり、部屋のドアを開け、階下に向かって声をかけた。

「みっちゃん!たっくん、部屋で泣いてる!」

言い終わる前には階下の玄関ドアが開き、ガコガコとヒールが鉄製の階段を踏み鳴らしていた。

上がってきた化粧途中の“みっちゃん”はマスターキーで隣室のドアを開けた。

「たっくん、入るわよ!」

入ってからそう言って、みっちゃんは部屋の奥に上がっていく。

この時には、“自分”もはっきり起きていたので、玄関の上がり框で様子をみていた。

店子、みな同じ8畳間の奥。ベランダ側の窓にかかった汚ねぇカーテンから、遠い車道の灯りが漏れていた。

その漏れた灯りの中でみっちゃんは、たっくんをぎゅっと抱きしめて座りこんでいた。

「もうっ!言ったでしょ!すぐに言いなさいって!」

口調は叱っていたが、抱きしめたその背中は母の様だった。…男だけど。

腕の隙間からは4歳児の丸い手が、みっちゃんのブラウスをしっかり掴んでいた。

ほっと胸を撫で下ろす前に、みっちゃんはいきなり立ち上がり、たっくんを抱き上げ、こちらに向かってきた。ビビって横に飛び退く自分に、「さっちゃん、ゴミ、簡単に片付けて置いて。」と、仕事を言い付けながら、ガコガコと階段を下りて行った。

ぼーぜん。とは、この事か。

改めて見た、隣室の中は、ドラマや映画のセットの様な、“汚部屋”だった。

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