表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/162

焼き芋事件

秋の風が肌をなでる頃、校庭にほんのり甘い香りが漂い始めた。

季節はちょうど、みんなが楽しみにしている焼き芋の季節。


今年も保健室の森川先生が、放課後にみんなで焼き芋を囲む計画を立ててくれた。


友達と一緒に、笑いながら食べる焼き芋の時間は、いつも特別で温かい。


でも、今年はちょっとしたハプニングが待っているらしい。


それが「焼き芋事件」の始まりだった。


秋の風が心地よく吹くある放課後。

満開小学校の校庭の片隅で、子どもたちが集まって何やら騒いでいた。


「焼き芋やるって聞いたけど、本当?」

「うん、放課後に先生が焼き芋を作ってくれるって!」


4年3組の武も、友達の詩織や彩と一緒にワクワクしながらその場所へ向かった。


その日は、保健室の森川先生が特別に用意した焼き芋会。

校庭の隅に小さな焚き火が用意されていて、みんなで焼き芋を囲む予定だった。


ところが、準備が進むにつれて、ちょっとしたトラブルが起きた。

なんと、用意していたサツマイモが一袋まるまる行方不明になってしまったのだ。


「誰か、持って行っちゃったのかな?」と詩織が心配そうに言う。

「まさか、イタズラかな?」と彩も眉をひそめる。


武は探偵心に火がついた。

「これは俺たち探偵倶楽部の出番だ!」


三人はすぐに焼き芋事件の調査を始めた。


まずは、校庭の周りを見て回る。

落ち葉の上に不自然な足跡があることに気づいた。


「この足跡、靴の裏が特徴的だな…」

「うーん、誰のかな?」


校舎の隅にある駄菓子屋のおじさんにも聞いてみると、

「さっき、校庭の外で猫が袋をくわえて走っていったのを見たよ」と教えてくれた。


「まさか、猫がイモを…?」


武たちは駄菓子屋の近くの路地を探し始めた。

すると、古い段ボールの中に袋が隠されているのを見つけた。


「やっぱりここにあった!」


袋を開けると、中にはちゃんとサツマイモが無事に入っていた。

どうやら、猫がイタズラして袋を運んでしまったらしい。


森川先生も安心して、焚き火で焼き芋を再開。


子どもたちはほくほくの焼き芋をほおばりながら、事件の解決を喜んだ。


「焼き芋事件、めでたしめでたし!」と武が笑った。


秋の夕焼けが校庭を染める中、みんなの笑顔が輝いていた。



焼き芋の甘い香りが教室中に広がり、みんなの顔に自然と笑みがこぼれた。

一口頬張るたびに、ほくほくとした温かさが心までじんわりと染み渡る。


事件はちょっとしたハプニングだったけれど、だからこそみんなの絆は深まった。

みんなで協力して解決したからこそ、焼き芋の味はいつも以上に美味しく感じられたのだ。


秋の夕暮れと共に、温かな思い出がまたひとつ増えた。


これからも、みんなで笑い合い、時には謎を解きながら、楽しい日々を過ごしていこう。


そしてまた、あの甘い焼き芋の香りが漂う季節を楽しみにしている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
次の謎解きへ、ご一緒に。 この放課後にも、誰かの「ふしぎ」が、ひとつ解けました。 でも、謎はまだまだ尽きません――。  次のエピソードも、きっとあなたの好奇心をくす  感想・コメント・リアクション、大歓迎です! 「また明日、放課後に会おう。」 探偵倶楽部は、いつでもあなたを待っています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ