放課後ミニ四駆レース
風を切り、コースを駆け抜ける小さなマシン――それが僕たちの誇りだ。
タイヤの回転音、軸のきしみ、微調整の手応え。
ミニ四駆はただのプラスチックの模型じゃない。
夢と挑戦、そして仲間との絆が詰まった、僕たちの分身だ。
満開小学校の放課後。
そこには、勝負をかける少年少女たちの熱気と笑顔が溢れている。
この物語は、そんな彼らが出会い、競い、時にぶつかり合いながらも、
自分たちの小さな世界を駆け抜けていく姿を描く。
さあ、一緒にスタートラインに立とう。
君の心も、きっと加速していくはずだから。
放課後の満開小学校の校庭は、子どもたちの歓声で満ちていた。
ミニ四駆コースを囲むようにして、さまざまなクラスの児童たちが集まっている。
「よーし!今日は俺の新マシンで絶対に勝つぞ!」
梁 晴翔は、自慢のミニ四駆を高く掲げ、輝く笑顔を見せた。彼の黒い短髪は夕陽を浴びて一層輝く。
「甘く見ないでくれよ、蓮!」
対する氷川 蓮は、いつもの眼鏡をきちんとかけ直し、集中した様子でマシンの調整をしている。冷静に部品の動きを確認しながら、最後の微調整を済ませた。
「みんな、準備はいい?」
藤原 詩織がコース脇で声を張り上げた。黒髪のストレートロングを揺らし、しっかりとした口調で進行を取り仕切る。彼女はクラスでも頼れる存在で、ミニ四駆クラブのまとめ役でもあった。
「スタート!」
スタートボタンが押されると、ミニ四駆たちは轟音をあげて加速し、一斉にコースを駆け抜けた。
「おおっ、晴翔のマシン速い!」
「蓮のマシンも負けてないぞ!」
コースには大小のカーブやジャンプ台、スピードゾーンが設置されている。
観客の子どもたちは目を輝かせて声援を送る。
だが、レースの中盤、トラブルが起きた。
「うわっ、何か引っかかる!」
梁のマシンがジャンプ台で不自然に止まったのだ。
「どうしたんだ?」
「……糸みたいなものが張ってある!」
蓮が近づき、その糸の正体を確かめた。
「これは……細い釣り糸か何か?悪戯か?」
しかし、昨日起きた保健室の謎と何か関係がある気がしてならなかった。
「昨日の保健室の電話の声、“返して”って言ってたよね……」
詩織が言葉を継いだ。
「もしかしたら、誰かが何かを隠そうとしているのかも」
三人は顔を見合わせ、レースの一時中断を告げた。
「放課後に、保健室へ調べに行こう」
放課後の校舎は静まり返り、夕暮れの光が廊下をオレンジ色に染めていた。
保健室の扉を開けると、あの時の奇妙な音は消えていたが、薬棚の鏡に何かが映っている。
「見て!」
詩織が指差す先には、薄く霧のような人影が揺れていた。
「やっぱり、これはただの悪戯じゃない……」
蓮はノートを取り出し、細かく状況をメモし始めた。
「誰かのメッセージかもしれない」
その時、ふとした拍子に、薬棚の隙間から小さな箱が見えた。
蓮が手に取ると、古びたミニ四駆のパーツがぎっしり詰まっていた。
「これは……?」
「このパーツ、見覚えある」
晴翔が呟く。
「昔、俺のおじいちゃんが作ってたミニ四駆のパーツに似てる……」
三人の冒険は、保健室の謎から、満開小学校の歴史、そしてミニ四駆の秘密へと繋がっていく。
⸻
完
好きなミニ四駆
1. スーパーアスチュート(Super Astute)
細身で流線型のボディが特徴。スピードと安定性のバランスが良く、初心者から上級者まで幅広く人気。カスタムパーツも多いよ。
2. エアロアバンテ(Aero Avante)
ミニ四駆の王道モデル。軽量で空気抵抗を抑えた設計がレースで強い。シャープなデザインで見た目もかっこいい!
3. トライダガーXX(Tri-Dagger XX)
攻撃的なフォルムと高いカスタム性が特徴。特にジャンプやテクニカルコース向きのセッティングが楽しめるよ。
4. ビートマグナム(Beat Magnum)
バランスの良い性能と個性的なデザインでファンが多い。コースアウトしにくく、安定した走りが魅力。




