校庭の大木の暗号事件
前書き — 校庭の不思議 —
春の陽気が校庭を包み込む季節、第一満開小学校の子どもたちは今日も元気いっぱいに遊んでいた。
でも、そんな日常の中にひそむ小さな「不思議」に気づく者は、まだほんの少しだけだった。
砂場の中に埋まった何か、風に揺れる桜の枝の陰に隠された謎…。
それは、放課後探偵倶楽部の新たな冒険の始まりだった。
誰も気づかなかった、小さな秘密を解き明かすために。
友達と協力し、頭を使い、心を合わせて。
今日もまた、放課後の校庭に不思議が舞い降りる。
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放課後の校庭。桜の木が満開の季節だった。
さくらはふと、大きな木の根元で紙切れが揺れているのに気づいた。
「これ、なんだろう?」
拾い上げてみると、そこには数字がずらりと並んでいた。
「14・3・7・1・20・5…?」
ケンタも近づいてきて、紙を覗き込む。
「数字ばかりだな。これは暗号かも!」
ローラはニコリと笑い、持っていたノートを取り出す。
「アルファベットの番号に対応してるのよ。Aが1で、Bが2っていう風に。」
みんなで声を合わせて数字をアルファベットに直していく。
「えぬ、しー、じー、えー、てぃー、いー…NCGATE?“NCゲート”?」
「それから…ブルース、キー、ヒドゥン?」
「NCゲートの青い鍵が隠されているってことか!」
さくらの目が輝いた。
「じゃあ、校門のところを調べてみよう!」
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放課後の校門。周囲をくまなく探すと、青いペイントが塗られた小さな箱が木の陰に隠れているのを見つけた。
「これだ!」
八重歯氏くんがそっと箱を開けると、中には錆びた鍵と紙切れが入っていた。
「“次のヒントは旧校舎の地下室。青いドアの向こうに秘密がある。”って書いてあるよ。」
その瞬間、後ろから物音がした。
「誰かいる…?」
振り返ると、用務員の川島さんがこちらをじっと見ていた。
「…何か困ってるのかい?」
川島さんの目には、どこか寂しげな光が宿っていた。
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川島さんは昔、放課後探偵倶楽部の初代メンバーだったことを明かす。
「翔くんの遺した謎を守ってきたんだ。君たちがそれを解こうとしているのを見て…胸が熱くなったよ。」
さくらたちは、新たな冒険の扉が開いたことを確信した。
「さあ、次は旧校舎の地下だ!」
みんなの胸に期待が膨らんだ。
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完―。
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後書き — 校庭の不思議 —
謎がひとつ解けて、また新しい扉が開く。
放課後探偵倶楽部の冒険は、いつだって終わりのない物語だ。
今回の校庭の不思議は、ただの砂場の中の小さな秘密かもしれない。
けれど、それを見つけ、解き明かそうとした君たちの勇気と好奇心は、何よりも輝いている。
これからも、小さな謎や大きな謎に立ち向かっていこう。
友達と一緒なら、きっとどんなことも乗り越えられるから。
次の放課後も、また新しい冒険が待っている。
それでは、また会おう!




