消えたパンと吉田くんの秘密
名前:桜井 さくら(さくらい さくら)
学年:小学4年生
性格:冷静でまじめ、でも時々ムキになる。責任感が強い。
趣味:ミステリー小説を読むこと、お花見。
特技:観察力、論理的な推理
苦手:暗い場所、ホラー話
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満開小学校、四年三組。
今日はみんなが楽しみにしていた、コッペパンといちごジャムの日だった。
「やったー! 今日のパンは特大サイズだって!」
朝からクラス中がワクワクしていた。
でも……給食の時間になって、配膳当番が配膳室にパンを取りに行ったとき、事件は起こった。
「……ない! パンが、ない!!」
配膳室には、パンのかごがひとつもなかった。
誰もいない。扉もしっかり閉まっていた。
それなのに――肝心のパンだけ、 spっと消えていたのだ。
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「お、お化け……?」
「いや、もしかして……マジック……?」
そんな中、みんなの視線が向かったのは、マジック好きの佐々木くんだった。
「昼休みにトランプマジックやってたじゃん!」
「パンも消したんじゃないの?」
佐々木くんは慌てて言い返す。
「オレ、パンなんて消せないってば!」
だけどクラスの空気はすっかり「佐々木くんが犯人?」モードになっていた。
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そのとき、さくらが立ち上がった。
「人を疑う前に、ちゃんと調べようよ。」
彼女は「放課後探偵倶楽部」のリーダー。
困っている人を放っておけない性格なのだ。
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さくら、タクミ、ユウト、ミホの4人は、給食が終わったあと、放課後に配膳室を調べた。
「ここ、見て!」
ミホが指さしたのは、床に落ちた小さなパンくず。
「扉は閉まってた。でも、こっちの窓、ちょっとだけ開いてたよ。」
ユウトが言った。
「もしかして……誰かが、こっそり窓からパンを取ったんじゃ?」
タクミがつぶやく。
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夕暮れの教室。
そこに、こっそり帰ろうとしていたひとりの男子がいた。
「吉田くん!」
呼び止めたのは、さくらだった。
吉田くんは立ち止まり、しばらく黙ってからポツリと言った。
「……高橋に、あげようと思ったんだ。」
最近、高橋くんは朝ごはんを食べてこられなくて、昼前になるといつもお腹をおさえていた。
吉田くんはそれを見て、かわいそうだと思い、
「こっそりパンを持っていって、こっそり渡せばバレない」と考えたのだった。
「でも、ちゃんと先生に言えば、パンをわけてもらえたのに……」
さくらは、優しく言った。
吉田くんはうつむきながらも、静かにうなずいた。
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翌朝、クラスのみんなに吉田くんは謝った。
「ごめん。オレが勝手にパンを取ったんだ。でも、高橋に食べさせたかったんだ。」
佐々木くんはニッと笑って言った。
「やっぱりオレじゃなかったー! でも、パン消すマジックも覚えようっと!」
タクミは笑いながら言った。
「オレ、次は牛乳が消えるの見てみたいな。」
ユウトが冷静にツッコミを入れる。
「牛乳消えたら、さくらが本気で怒るよ。」
ミホはにこにこして言った。
「じゃあ今度、おかわりジャンケン、みんなでしよう!」
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こうして、「消えたパン事件」は、
友だちを思う優しさと、みんなの協力で無事に解決したのでした。
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【完】
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次回はどんな事件が待ち受けているのか?
楽しみ