プロローグ
冒険の始まり ― スプリング茂吉、冒険者登録す
気が付けば、義春は年金生活の軍人になっていた。
退役後の生活は退屈で、日がな一日、錬成作業や古い戦術書を読み返すだけ。
だがある日、ふとしたきっかけで彼は決めた。
「もう一度、前線に立ってみるか」
手元に残ったのは、金貨1枚と磨き抜かれたスキルだけ。
武器作りも、装備作りもスキルレベルはMAX。
魔法知識LV9の頭脳もまだ健在。
義春は仲間を募った。
前衛は、石人間の盾職・スト盾と、剣士・スト剣。無口で硬いが信頼できるヤツら。
後衛は、四属性魔法銃士・キプリングと、連続ボウガン使い・オルヴァー。遠距離から確実に獲物を狙うプロフェッショナルたち。
補助役には薬品作成LV3のライル。まだまだ下級ポーションしか作れないが、伸びしろはある。
そして義春自身がリーダーとしてチームを率いる。
パーティー名:スプリング茂吉
どこか間抜けな響きだが、それが逆に印象に残る。
冒険者ギルドに登録を済ませると、最初の依頼が舞い込んだ。
「盗賊団の討伐。街道沿いの拠点を急襲せよ」
年金でぬくぬく生きるはずだった男が、再び剣を取る。
――こうして、スプリング茂吉の戦いが始まった。