ノーフェイス
シオンが剣術で押され始めて動揺を隠せなかった。
「まさかシオンが押されている!?」
「これは僕も驚いたね。本気じゃないとはいえ、シオンが打ち合いで負けているよ」
二人の打ち合いを見ながらアッシュとルビーも戸惑いを隠せなかった。
激しく打ち合いをしながらシオンは冷静に相手の動きを見ていた。
『こいつの剣術は、王国のどの流派でもない。いったいどこの流派だ?」
「ほらっ!考えことなんて余裕あるのかな?」
キンッとシオンの手から剣が飛ばされた。
「アハハハ、このてい───!?」
シオンの拳が仮面にヒットして吹き飛ばした。
「別に剣術勝負とは言ってないぜっ?」
わざと剣を飛ばさせて、油断を誘ったのだ。かなりのクリティカルの様で、思った以上に吹き飛んでいった。
「ぐっ、このぐらいで…………」
起き上がろうとするがノーフェイスの仮面にヒビが入っていた。
「なにっ!?この特別製の仮面にヒビが入るとは…………シオンの事を甘く見過ぎていたか?」
手で仮面を押さえながらシオンを睨みつけた。
「なんだ?素顔を見られるのは嫌なのか?なら次は完全に壊してやるぜっ!」
シオンがノーフェイスに詰め寄るが───
「遊びはここまでです!」
ブワッと腕を振ると業火の壁が天井まで舞い上がった。
「少し実力をみる程度でしたが、予想以上ですね。今日の所はここまでにしましょう」
「逃げるのかっ!」
ノーフェイスの地面に魔法陣が浮かび上がった。
「ええ、ここは退散させて頂きます。それと僕の仲間が、黒の宝珠を無効化された事で怒っています。精々、気を付けることです」
「待てっ!」
シオンが魔弾を撃とうとしたが───
「通路で待ち構えているお仲間に気付いていないとでも?」
!?
「それではご機嫌よう」
丁寧に手を胸に当ててお辞儀をしながらノーフェイスは消えていった。
「……………最後まで喰えないヤツだったな」
マリンが大広間にやってきて、ルビーと共に閉じ込められているクラスメイトを助け出した。
「シオン大丈夫だったか?」
「ああ、油断できないヤツだったな」
わざととはいえ、剣を弾かれた事にモヤッとした感情が芽生えていた。
「帰ったら剣術の訓練に付き合うぜ?」
軽口を叩くアッシュに、頼むとシオンは言うのだった。
「シオン君!ありがとう!」
「助かったよ!」
クラスメイトからの感謝の言葉を受け取り、体力のある生徒に先生を呼びに行かせた。
「取り敢えず脱出するぞ!奥にいる先生にも呼びにいけ!」
こうして始めてのダンジョン授業は散々な状態で終わったのだった。
あれから調査隊が組まれ調べて見ると、奥で待っていた教師の二人は眠らされており、怪我はなかったが、侵入者により警備が強化される事になった。




