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腹違いの姉に不細工といじめられ、亡き母までも馬鹿にされ、父は私を無視する。こんな人生はもう嫌だ。なので、手に職をつけて独立しよう! と思った瞬間、お姉さまが狙っていた王太子の婚約者に選ばれて?しかし…

作者: あかり

「どうしてあんたみたいなのが私の妹なのよ!」


 私はお姉さまに今日も平手打ちをされています。

 私は、男爵であった後妻の母から生まれた子供。伯爵のご令嬢であった前妻とは身分が違いました。


 うちは侯爵、どうして男爵の娘の母が後妻にきたのかというと。

 前妻の作った借金を持参金で肩代わりしたからです。


 美貌で知られた前妻の死後、借金がわかり困った父が結婚したのはいきおくれの母。

 母は顔にあざがあり、相手が決まらなかったのです。


 醜い母親なんて認めない! 醜いと姉は怒り狂い、妹の私もいじめました。


「ああ醜い、醜いわ!」


 お姉さまは美しいですが、性格は悪いです。

 お父様はお姉さまを甘やかし、あざがある私の母を嫌いました。

 持参金目当てだったのは間違いないですが、娘である私のことも無視でした。


 母は姉のいじめのせいで死んでしまい、私は家の女主人の役目をしない姉に代わり家の用事をして。

 しかし、父には相変わらず無視されていました。

 私は手に職つけて独立しようと、母が好んだ刺繍などを練習していたのですが……。


 年頃になり、私が殿下の婚約者に選ばれ、姉が怒り狂い、その時だけ、私に婚約者を辞退しろと話しかけたのです。


 そんなことは嫌だと私は断り、婚約を受けました。



 殿下は私を見て、あああざがないだけましか、不細工だがと言っただけです。

 母のあざが遺伝していないかだけを気にしていたらしいです。


 私は殿下にそう言われた瞬間、心が凍り付きました。


 でも、私はなんとか殿下に認めてもらおうと努力しましたが、彼は私を父のように無視するだけでした。


「お前と婚約破棄する。お前みたいな性悪女と婚約なんて嫌だ。すぐ出ていけ!」


 私は殿下にこう宣言されたのです。私は何を? と聞くと、お前は借金を作って死んだ前妻を母に持つ姉などはいらないなどといって姉をいじめたそうだなと言います。

 知りませんそんなことしていませんわ。といっても聞いてもらえず、私は家に送り返されました。



「ミーディアが殿下の婚約者にえらばれた、お前の持参金を出す金もないから家から出ていけ」


 お父様にこう言われて、お姉さまが婚約者になったといわれて家から私は追い出されました。


「……しかしめちゃくちゃな家だね」


「ええ、まあ」


 私は実は家を出ようとして刺繍を習っていたお師匠様がいて、彼女のところへ身を寄せることにしました。

 母の親戚にあたるお師匠様はレースの刺繍の達人なのですわ。


「あんたの刺繍は美しい、貴族の間でも評判だ。これ身を立てられるから安心しな」


「それならいいですが」


 私は貴族向け以外にレースのハンカチなどを庶民向けに作り売り出しました。

 銀貨1枚程度なら1日程度の給金で大金ではありますが、手に入らない金額ではない。

 恋人へプレゼント、自分用などでかなり売れました。


「商売になるねこれは」


「……小さいレースの歯切れみたいなものでも人によっては手に入れたいものですし、捨てるのはもったいないかなと」


 貴族のドレス用に捨てていたレースを使い、私はハンカチや小物入れなどを作り上げました。


 人を雇い、工房を作り、手広く広げるようになると、お師匠様から独立し、かなりの金額も入ってくるようになっておりました。


「……そういえばあんたのお姉さま、かなりの浪費家らしいね」


「ええうちの家ももうおしまいのところまで来ているそうで」


 お姉さまの浪費で、かなり赤字だったのですが、王家への支度でますますお姉さまがこれほしいあれほしいと言い出し、お金がますますないようだというのはうちの使用人の手紙で知っていました。

 私の味方も数人ほどはいましたのよ。


 王家に入ってもやりたい放題のお姉さま、浪費家の王太子の婚約者として下町でも評判でした。


「……そういえば婚約式のドレス作りうけたのかい?」


「ええ」


 私はにやりと笑いました。ドレスを仕立てるということは王宮に出入りできるということ。

 私以外の人で採寸を担当したとしてもです。


 私はある計画を立てていました。そして婚約式当日。


「きゃ、きゃああ!」


 お姉さまのドレスがばらけ、みなの前で座り込むお姉さま、私はそれを見てにやりと笑います。

 お姉さまは後ろに引っ込み、ドレスを作った人間を呼べ! と怒髪天をつく勢いで怒ります。


「私ですが」


「あ、あんた!」


「あんたがドレスに細工を!」


「してませんわ、王妃様も最終確認していただきましたし」


「ええ、私、きちんと確認をしましたわ」


 王妃様が出てきて、確実にドレスに細工などしていませんでしたと言います。

 そんなはずない! とお姉さまは王妃様にまで食って掛かり、王妃様が私が嘘をついているとでも? というとそうよ! と言い返し。


「わかりました、あなたがそういうのならこちらにも考えがあります」


 王妃様はふうとため息をついて、婚約式は中止ですとみなに言いました。

 お姉さまの性格は知っていますから、こうくるのは予想がついていました……。


 そして、


「王妃を嘘つき呼ばわりする女を王太子妃にはできぬ、婚約を解消させる」

 

 陛下がお姉さまと殿下に宣言し、お姉さまのドレスに細工が! というのは、王妃が調べて何もなかったし、誰も出入りはできなかった。と陛下が一喝しました。


 お姉さまは不敬罪で辺境行き、殿下は廃嫡です。


「お前のおかげで助かったアデリシア、あれには手を焼いていてな」


「あんなのが王太子妃なんて頭が痛かったのよ」


 私は陛下と王妃様と笑いあいます。実は王宮に出入りして王妃様にお会いする場を作ってもらい、この計画をお話ししたのです。

 婚約式を中止させたいのはお二人ともだったので、計画はすぐ通りました。

 ドレスは細工してあったのですわよねえ……。

 まああんたが細工しただろうと姉が言い出すのはほぼ100%わかっていたので、切り返しは苦労しませんでしたが。


 私は手に職つけて、レース職人の総元締めになり、うちの家は姉の連座で取り潰し、お父様が私のところに助けてくれとやってきたのですが、私はあんたなんか知らないと追い出してやりましたわ!

読了ありがとうございました!

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