異世界と魔法
小さく呟いた俺は、手を掲げた。
「御坊ちゃま!?」
近くにいたメイドが駆け寄ってくるが、全然平気だ。
お皿が手に当たると…
「んなっ!?」
兄の方へ跳ね返った。
そちらは間一髪で執事がキャッチしていた。
「…樹由坊ちゃま、冗談では済まないところでしたよ。」
「兄貴が先に手を出して来たから、いいだろう?」
「それはそうですが…」
渋る執事の様子。
どうやらこっちの世界でも長男の方が大切らしい。
腐るところは同じなのかと、おもわず笑ってしまう。
「そっか、兄貴の方が大事なんだ…ご馳走さま、俺は幼稚園に行くよ。」
「賢参りました。」
俺専属の執事が速やかに準備を始める。
「そういえばお前、いつから俺様を兄貴って言うようになった!?あと、口調がなんたかいつもと違うじゃねぇか!」
「今更かよ…どれだけ観察眼がないんだ…?」
呆れて溜息がでる。
頭がいいというのはデマではないかと思ったが、残念な感じになるのは俺限定だからなんともいえない。
あと、モテるしなぁ…こんなんなのに
「はぁ…」
「お兄様の言う通り、今日は変ですよ?何も言いませんし…なんだか黒くなっていません?」
この執事優秀かよ。
「気にするな。俺も成長したんだ」
「その歳でその口調はかなり違和感が…」
「ぐっ…」
確かに俺の見た目は可愛い系だ。
もっと小さい頃は女の子と間違えられることもあったらしい。
「き、気にするな。」
「…そうでございますか」
「セバスチャン」
「何でございましょう?」
「お前も何か変わってないか?」
「それこそ気のせいでございましょう。私はいつも通りでございます。」
「お前なあ…」
俺の記憶では、セバスチャンは無口な冗談を言わない執事だぞ。明らかにおかしいだろう。
俺が変わったからか?
…ないな
「とりあえず行くか。」
「分かりました。」
車に乗り、都内の大学付属の幼稚園へと向かう。
「はぁ…年相応だった頃はいいが、今となっては行くのが嫌になるな…」
俺は幼稚園の奴らを思い出し、憂鬱な気分になる。
アイツらはガキらしく、我儘な奴しかいないからだ。




