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異世界と転生

けっこう無茶な設定になります。

「俺は…!お前らを仲間だと思って…!」


俺は地面に這い蹲っていた。

しかし腕力などもうない。

ふと下を向けば地面には夥しい量の血。だが、それを気にすることなく三人の人物は俺を見下ろす。


「まっさか、本気で思ってたわケェ?あまっちょれすぎてて反吐が出そう。」

「僕たちはお金だけが欲しいんですよ。」

「あとねー、王様からも頼まれてたんだよね、君の始末。」


何を言っているのか一瞬理解が出来なくて頭が真っ白になる。


「何、を…」

「えー?分からないの?本当に()()()?」

「教えなくてもいいでしょ。どうせ、死ぬんだし。」

「そうだ。ねえ、勇者様、僕の魔法で死ねるんだよ?嬉しいよね?」


どこが、と俺は言いたいが、そろそろこの体も限界。

意識が薄れる。少しでも何かやり返したい。この裏切りを許してたまるものか。絶対に許してはいけない。


そう思うだろ、もう一人の俺――?


指一つ動くのさえ困難な己の身体は手を突き出し、一つの呪文を唱える。

口元は今の状況には不自然なぐらいニヤリとつり上がる。

久しぶりだこの気持ち。誰かを本気で殺したいと思うこの殺意。


「“昇…上………天”」

「はぁ?」


訝しげな顔をするが、お前らの運命は決まった。


そう、絶対に生きては返さない…!

俺はそっと目を瞑る。僅かな生命力は使い切ってしまった。


直後、この辺り一帯が光で埋め尽くされた。


誰かが何かを叫んでいるが俺の耳には届かない。


…もう眠い。


死ぬ瞬間だというのに俺は睡眠要求しか最後に思うことはなかった。


***


「…っ!?」


ガバッと無意識に起き上がり、辺りを見渡す。

おかしな夢に身体中汗をかきまくった身体は、ヒンヤリとしている。

しかし、今の冬の時期では寒くなる一方。


「…ううん、おかしくない。あれは僕の…俺の記憶だ。…この部屋もどこもおかしくはない。だがなぜ違和感を感じるのだ?」


周りの景色はいつも通りの子供部屋。

ラジコンやゲーム機があちこちに置いてある。

だが、夜中にやるほどハマってはいない。

友人に話した時はとても妬まれたとどうでもいいことを思い出した。


六歳の年相応だった口調は、夢の記憶に引っ張られる。


「待て、そんなことを考えている場合ではないな…。あれは確かに俺だ。今まで何故忘れていたと言いたいが、どう考えても違う世界だし、ざっと見て二十代ぐらいだろ?そうなると前世の記憶か?俺は違う世界に転生したのか。」


時計を見ると五時半。おおよそ年長が起きる時間ではないが大丈夫だろう。

子供が掴みやすいように低く設計された扉を開け、長い廊下を進む。


だだっぴろいリビングには誰もいない。

ただ机に何かメモが置いてあるだけだ。


ふかふかのソファに体を沈め、頭痛がするほどの情報量を整理する。

部屋でも良かったのだが、子供部屋というのはなんとなく居心地が悪かった。


「一旦整理をしよう。まず、どういうわけか俺はこの世界に転生した。前世は魔法が存在する地球とは異なる世界。」


棚から使っていないノートを取り、思い出したことを書いていく。


まず、俺の前世は二十三の男。これは変わらないが、勇者だった。

剣と魔法の才があった俺は国王から勇者を命じられ、魔王討伐に出た。


しかし、奴の首を取った直後、一人の仲間に背中を斬られた。

その後は夢で見たとおり。散々蔑められ、せめて一矢報いろうと最上級魔法をブチ込んだ。

被害は考えたくもないが、どうせあっちの世界だから関係ないだろう。


今が良ければすべてよしとよく言うし。


「しかし、地球とあっちの世界の差は凄いな…あ、口調どうしよ。これ元には戻らないぞ。もどらないの…いや、やめておこう。自分に鳥肌しかたたない。…しかし、エリュー語が書けて助かったな。子供の手だから書きづらいものの、他のやつにバレる心配もないしな。…あとはこの世界のことでも思い出しておくか。」

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