第六話 いかつい恐竜イグアノドンと桃色の赤ん坊
岩場を危なげな足取りでヨチヨチ登り、広い草原に出たサイアマウラの赤ん坊ですが…。幸運なことに草原にはサイアマウラと同じ草食恐竜のイグアノドンの群れがいました。イグアノドンは、敵と闘う時はものすごい力強さで突進し、見た目もいかつくて恐そうです。しかし、それ以外は穏やかな性格の恐竜です。
イグアノドンの群れの一匹が赤ん坊に気づき、近づいてきました。サイアマウラの赤ん坊はつぶらな瞳でイグアノドンを見つめます。この子にとっては生まれてから初めて見るのが、イグアノドンです。イグアノドンはそんなサイアマウラの赤ん坊を見て、可愛いと思いました。赤ん坊の匂いを嗅ぐと、そっと口にくわえて群れの中へ連れて行きました。
一方、サイアマウラの群れの緑色のタマゴも殻を破り、赤ん坊が出てきました。サイアマウラの群れは、まだディプロドクスの森で平和に暮らしています。お父さんのサンヤとお母さんのマインは、出てきた可愛い赤ん坊の姿を幸せそうに目を細めて見ていましたが、テラノドンに連れ去られた桃色のタマゴの赤ん坊を思い胸が痛くなるのでした。緑のタマゴから生まれた赤ん坊の体も、タマゴと同じ緑色に光っています。群れの仲間からは、緑色に光る赤ん坊をかわるがわる見に来て祝福しました。群れの長老ソンは「この子は不思議な子だ、きっと何か変わった能力を持っているのかもしれないな」と言いながら、赤ん坊に口づけをして祝福しました。
サンヤは赤ん坊を見て「マイン、あの子が無事に生まれていれば、きっと桃色に光っているのだろうね。見つかれば、私たちの子供だと見分けられるよ。あきらめてはいけないね」と言い、親子はそっと寄り添いました。
イグアノドンの群れで育てられる桃色の赤ん坊と、サイアマウラの両親に育てられる緑色の赤ん坊はやがて、ソン長老の言葉どおりに不思議な能力を現すのです。




