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0-1 -プロローグ
白よりももっと白く、眩しい場所。
私以外誰も居ないのになぜか安心できる。
ほのかな暖かさと安らぎ、それに懐かしさまでもがここにはある。
私は水の中に漂う小さな人。
自分の力で動くことができず、この水にすべてを委ねて生きていくしかない。
私にとってこの水がすべて。
この場所に不安はない。むしろ安心感が私の全身を包み込む。
「あなたはこの安らぎにすべてを預け、そして人生を始める。けれどそれはあなた自身が望んで進める人生ではない」
私に話しかける声。
頭の中に直接語りかける優しい声の人物はどこにも見当たらない。
「私があなたの人生を決めることはできるかもしれないけど、それは私の仕事ではない。私よりももっと身近な人があなたを導く。最期まで」
この声はだれなのだろう?そんな疑問も浮かぶけれど、たぶんこれは神様なのだろう。
「だからそれまではこの場所で待っていてほしい。時期にやってくるから」
「その時まで」
私の空間はゆっくりと暗転。
次第に意識も遠のいて行く。
「おやすみなさい」
私は暗闇の中で消えていった。
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