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蝶は蜜を求めて異世界に舞う  作者: おりょ?
第1章 始まりの森
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5話 狩る者、狩られるもの

 ペタペタと触れてみます。反発はありませんが、まったく破れる気がしません。

 「何でこんな所に結界があるんだろう?」

 この先に何かがあるのでしょうか?疑問に思った私は、この結界を調べてみることにしました。結界に沿って周りを歩いてみることにします。

 今いる場所に印を付けて、出発です。


 半日程経った時、同じ場所へと戻って来ました。衝撃の事実がわかりました。

 この結界が囲っている何かは、()()()()()()()

 閉じ込められているのです。この結界の大きさはよくわかりませんが、半日で1周できる程など高が知れています。

 「いったいどういうことなんだろう…?」

 この森って、もしかするとヤバいのでしょうか。実は、禁断の地だったりして…。

 「う〜む…よし。寝るか」

 考えても埒が明かないので、今日は寝ます。明日、もっと探索するとしましょう。地面に飛び出た木の根に体を預け、私は眠りに就きました。


 そして、翌朝。

 すっと目が覚めた私は、初めに外周部のさらに内側を探索することにしました。新たな発見があると嬉しいです。

 こっそり見つけていた『プロンス』で、朝ご飯を済まし、気分をハイにしてから出発しました。


 中心の方に何かあるのでしょうか?依然と木ばかりですが、内側の方が草花の種類が多いです。

 と言うことで、時刻は15時頃、獲物を発見しました。

 岩の陰、ひっそりと紫色の花『リラン』はありました。見た目はリンドウですね。

 「ふっふっふ。見〜つけたっ!」

 目を細め、頰は上気し、うっすらと笑みを浮かべて近づく。完全にヤバい人ですね。

 舌舐めずりして、『抽出』を発動。

 透明度のある紫色の蜜を手の器に溜めます。

 「おっと…」

 今回は『プロンス』と違い、粘性はほとんどなく、気を抜いたら溢してしまいそうです。

 その前に、全部飲まなくては!チュー…コクッコクッ。


 「あっ……好き…」

 少し飲んだだけで、ふわっと風が体を吹き抜けるようでした。

 紅茶を飲んでいるみたい…ほのかな甘さが優しく染み渡っていく……。

 体の芯から痺れるような甘さとは違いますが、気持ちが穏やかになっていくようです。

 チュー…コクッ。……チュー…コクッ。ゆっくりと、ゆっくりと飲みます。急いで飲もうとする心は消え、殊更ゆっくりと飲み干します。


 「ふぅ……美味しかった…」

 花の種類によって変わる蜜の味。もっとたくさんの花に出会うためにも、結界の謎を解かないといけないね。

 さぁ、行こう。

ーーー

 『紫蜜の奇跡』が解放されました。現在、使用可能な効果:毒,精神強化。

ーーー



 歩くこと約1時間。突如、森は途切れ、大きな窪地が現れます。

 その窪地の中心には若木が1つ。カマキリ1匹。

 あの時の、フェロス・マンティスです。なぜ、こんなところに?

 不思議なことに、私は疑問に思っても、驚きはしませんでした。精神強化のおかげでしょうか?

 相手のHPは元々は3480あったのが、今は2846。

 まさに、真実へと辿り着くための試練ですね。

 私のステータスにほとんど変化はありませんが、あの時と違って『赤蜜の奇跡』,『紫蜜の奇跡』があります。


 正直、怖くはあります。怖いに決まってます。一度、殺されかけているのですから。

 「でも…ここまで来たんだから、頑張らないとね」

 あのカマキリには悪いけど、先に進ませてもらおう。



 しっかりと意識して、『紫蜜の奇跡』の精神強化を使います。ふぅ、落ち着いてきました。

 森を出て、窪地に1歩踏み込みます。もちろん、背後から。

 聴覚器官を潰していたおかげで、気づかれていません。

 あと、30m。…25m。…20、15、10。

 『赤蜜の奇跡』で、バレーボールサイズの火球を生み出すと、狙いをつけて、頭へと打ち出します。消費MPは200です。

 「グシャァァァァァ!!」

 完全に不意打ちとなった一撃は、目も触覚も燃やし、傷つける。HPは大きく削れ、1422。

 しかし、フェロス・マンティスはこちらへと鎌を振り回しながら近づいてきます。火球が飛んで来た方向に私がいると考えたのでしょう。

 ですが、私は動きません。フェロス・マンティスはもう目の前です。

 ガキンッ!鎌を障壁で受け止めます。

 次々に打ち込まれる攻撃を、障壁で防ぎながら、ゆっくりと近づきます。

 そして、


 「ごめんね」


 手を聴覚器官へと差し込み、そのまま火球を発動。

 グジュゥ〜と肉は焼け、臓物は致死のダメージを受ける。辺りには嫌な匂いが広がる。踠き苦しむ体は、徐々に動かなくなっていく。


 どのくらい経ったのか、亡骸が1つ転がっていました。

 「…………」

 いざ、殺してみると、思った以上に罪悪感はありませんでした。蚊や蟻を殺すのと同じ感じです。これは、私が魔物だからでしょうか?

 ただ、気分は良いものではありませんでした。

ーーー

 〜ステータス〜

 名前:リン

 種族:イリュージョン・バタフライ(変異種)

 性別:雌

 年齢:2歳

 Lv:36(+28)

 HP:1000(+700)

 MP:4020(+3020)

 STR:38(+26)

 VIT:45(+35)

 INT:2044(+1144)

 MND:810(+440)

 AGI:68(+38)

 〜スキル〜

 蜜の奇跡(Lv.10);『白蜜の奇跡』,『赤蜜の奇跡』,『紫蜜の奇跡』 鱗粉(Lv.3) 飛行(Lv.1) 幻惑(Lv.5) 言語理解(Lv.5) 鑑定(Lv.6) 抽出(Lv.8) 隠蔽(Lv.2)

 〜称号〜

 転生者 

ーーー

 

初めての殺し合い

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