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卑怯なスナイパーですがなにか?  作者: 墜ちた勇者
1/1

これが戦争

・プロローグ・


僕が構えているライフルのスコープにターゲットの頭が映る。

こちらの工作員の情報によるとターゲットは顔が45cm位らしいが身長や体重不明らしい、情報があやふやなので新人なんだと思った……

隣のスポッターの相棒に伝え、作戦のターゲットかどうか確認して指令本部に連絡した。もう一度ターゲットか確認した。

「目標11時。位置、黄色の車のバンパー裏」

「確認」

「ミル確認」

「0.5だ」

「ポイント0.5確認。距離……900m」

僕と相棒はミルを確認し合い、距離を見積もった。

「アップ11.5。ライト2.1……」

「撃て、撃て、撃て」

僕は焦る心を落ち着けて、トリガーを引いた。

大丈夫、訓練通りにすれば問題ない……


『バシッ』



・軍人への旅立ち・


僕は迷っていた。

憲兵隊に入るか、海兵隊に入るかを。

僕のお父さんは海兵隊員で、祖父は憲兵隊員。祖祖父は海兵隊員だった。

祖祖父は第二次世界大戦でノルマンディー上陸作戦に参加して、無事に帰って来たんだ。


要するに軍人家系なんだ。


だから僕もどっちかになろうと今まで頑張って来たんだ。でも、いざ選ぼうとすると迷う。

まず考えを整理しようと思う。


憲兵隊は軍隊内の秩序維持、交通整理を任務をする戦闘支援兵科で比較的安全。


一方、海兵隊は陸戦兵器の取り扱いを専門とした将兵から組織されている兵科。海が付いている通り海上勤務なんだ。


考えていると、

「よっ!元気か!」

っと、肩を叩いてきたのは僕の友達のカフ・フラスだ。

彼とは小さい頃、シカ狩りをしているときに出会った。僕と彼は大物を狩れるかを競った。

僕は、お父さんとその土地の草で作ったベリーハイドで息を潜めてライフルを構えていた。お父さんは、

「お前、スナイパーに向いてるかもなぁ~……」

「なんで?」

「おじいちゃんが、言ってたんだよ。ワシはM1903スプリングフィールドでドイツ軍を撃っていたって」

「そうなんだ……けどスナイパーは卑怯者なんでしょ?」

「確かにそうだなぁ……けどな、スナイパーは狩りのように一発の弾丸で人を仕留めるんだ。スコープ越しで倒れる所を見るんだ。お父さんには耐えられない」

「そうなんだ…でも……」

……………、……


こんなこと話してたなぁ……

そうだ。海兵隊に入って、偵察部隊に入ろう。

「おいおい、無視はねぇーだろ……」

「あっ、ごめんごめん……あのさ、偵察部隊に入らない?」

「おっ!なんだ、お前はスナイパーになるのか?」

「そうなんだ。スナイパーになったらあまり任務に行かなくて済むだろうし、それに……」

「それに?」

「あまり人と接しなくていいからねぇ」

「はぁ……確かにお前は小さい頃からそうだったなぁ~…………」

彼は少し考えて、満面の笑みでこう答えた。

「いいだろう。だけど、お前がスナイパーだ。俺はスポッターだ。」

「えっ!?君がスポッター?」

「お前、小さい頃のシカ狩り覚えてないのか?」

「覚えてるけど、君の勝ちだったろ?」

「ばっか!お前が勝ったんだ!」

言われてみれば確かにそうだった。

「あはは…ごめん忘れてた」

「まぁ、狙撃はお前が上手いんだ。自信持て」

「ありがとう」

「なら、海兵隊に入るか」

「だね」


僕達の新しい扉が今開いた。



・訓練・


「ほらほらどうした!!貴様らクズどもは根性は無いのか!?」

「「あります!!」」

「なら、このホースからの噴水をありがたく受け取れ!!」

「「イェッサー!!」」

『チリンチリン』

まただ、脱落者が出た。

出口の近くに鐘があるんですが、そこを鳴らすと脱落出来るようになっています。

私と友達のカフはここで脱落するわけにはいきません。なぜなら、二人仲良く海兵隊に入ると約束したからです。


そんなこんなで、基礎勉強後の楽しい楽しい水浴びしながらの寝そべった状態でのばた足も終わり、軽くランニングをして消灯時間前に

「今日のドナウ教官はキツかったなぁ……」

「あはは…でも我慢だ」

「そうだなぁ……親父達みたいに軍に入って、親父を見返すんだ!」

「そうそう、その意気だよ」

彼の父親は陸軍将校なのだが頑固者だったため、彼とはいつも対立していた。

「とりあえず、明日に備えて寝ないと…」

「だな、明日も早いし……」

「おやすみ」

「あぁ、おやすみ」


その日夢を見たんだ。

とても綺麗でどこか気品のある美しい女性が僕に話しかけてきた。

「あなたはなぜスナイパーになろうと思ったの?」

突然そんな事言われて驚いたけど、僕は答えた。

「私は一人でも多くの子が笑って過ごせる日常を守りたいからです」

僕は嘘をついた。

すると彼女は、

「そうなのね、わかったわ。天から見守ることにしましょう」

「えっ?」

驚きのあまり、自分でもパッとしない声をあげてしまった。しかし彼女は気にして無いかのように、

「じゃ~ねぇ♪」

っと、満面の笑みで言われた。


そして、朝が来た。


今日もいつもの軍隊名物のフルマラソン。

けど、15m先に梯子があった。

「どいつもこいつも間抜けな顔しやがって!''お父さん 今日は一体何をするの''ってトコか!?」

っと、ドナウ教官が言った。

「今日もいつものフルマラソンだがいい加減オムツからパンツに変える時が来たらしく、趣向を凝らしてやった」

「「イェッサー!!」」

「そこでだ、まずはウジ虫らしく手足をバタつかせて障害物をよじ登れ。飛び降りたらその先に置いてあるバッグパックを背負って走り出せ!ゴールはいつもの丘の向こうだ!わかったらさっさと行け!!」

ドナウ教官はそう言うと、手元のストップウォッチのスタートボタンを押した。

「サー!!」

僕達は走り出した。

15m走った所に巨人が使いそうな大きな高さ5mの梯子があった。

僕は必死に登って、飛び降りた。

『ダン』

足の裏がジンジン痺れたけど気にしない。僕は降りた先のバッグパックを背負ってまた走り出した。

後で聞いた話ですが、この後に何名かは着地時に足を折ったりしていた。僕はちょっと怖かった。

そんな事を知らない僕は必死に走っていたけどバッグパックは走る度に肩に食い込んで来た。

その度につりそうになったけど、僕の肩は耐えた。

ゴールが近くなってきた時は嬉しかった。そして僕はトップでゴールした。


そして全員がゴールした時はもう夕方だった。


「貴様らの中からコース・レコード者が出た。今から呼ぶため、呼ばれたら前に出ろ。」

「「イェッサー」」

……、……………

そして僕とカフが呼ばれた。

景品とかは無かったけど、僕達の評価は上がった。

「え~……マジかよ」

「そうだよ、僕が君より早かったんだ」

「まぁ、俺も新記録を出せたからいいけどよ」

僕達は夕食を取っていた。

そしてそれぞれのホットラック、つまり仮眠ベッドに横になった。

皆いつもより早く寝付けた。

今日も夢にあの女の方が出ると思っていたが、出てこなかった。


この後はギリースーツを作り、隠れたり、見つけたりしたんだ。僕は狙撃訓練が楽しみだった。


・狙撃訓練・


今までフルマラソンや体幹トレーニング等をしてきた僕達ですが、遂に狙撃訓練が始まった。

「あそこに並んでいる的の距離は?」

っと、ドナウ教官が問題を出してきた。

「550mです!」

誰かが答えた。

「何で計った?」

「サー!テニスコートをイメージしました!」

スナイパーは距離が正確に計算しないといけないんですが、自分の50~100mをイメージして計ってもいいんです。

「いい考え方だが違う。他は答えないのか?」

「サー!!500mです!」

僕は答えた。

「いい筋だ当たりだ。これから実弾狙撃訓練を行うが、自分達で風の観測をして撃ってみろ。」

そして僕達が二人一組になってから訓練が始まった。

「おぅ!今日からもよろしくな!」

「カフがスポッターなんだ。よろしくね」

「そんじゃま、まずは風の観測だな……」

「簡単だよ。あそこの旗を見て」

「旗?あっ!そう言うことか!」

「そうだよ」

なんで旗だと思っている方がいると思いますが、旗とポールの角度を定数4で割ると風速を求める事が出来るんです。凄いですよねぇ。

この場合、風速15です。

ですが、早く撃ちたかったのでズルをして自然現象で観測しました。

「今の風速は3くらいかなぁ……」

「風速は3だから、距離を掛けて10で割ると1.5MAOでミルに換えると0.4ミルだな」

「だとすると、右に少しずらして撃つよ」

僕はM40A5を構え直して的の右に少しずらした。

彼は望遠鏡で覗きながらこう言った。

「撃て、撃て、撃て」

僕は引き金を引いた。

『ドン』

僕は撃った。

的のど真ん中に当たった。

「やったな!そんな感じで撃て…」

カフが『よ』か何かを言う前に僕を見ていたドナウ教官が先に口を開いた。

「見事だ。もう一発撃ってみろ」

僕とカフは一度向き合ったが僕達は頷いた。

「さっきと同じ条件だ。そのままでいい」

「了解」

僕はボルトを引いて次弾装填し、さっきみたいに少しずらして構えていた。

「撃て、撃て、撃て」

僕は撃った。

『ドン』

さっきの着弾点の少し右上に当たった。

「いい感じだ。だがスコープだけを見ろ」

そう、僕は両目を開けて撃ったんだ。

「すみません、しかし何かいる気がして…」

「何かだと?」

「はい……」

「よし、撃ってみろ。何も仕留められなかったら腕立て100回だ」

「了解しました」

僕は草むらからこっちを見ている何かを撃った。

『ドン』

「キュイーーーン!!!」

悲鳴を上げて血を流したのは、茶色の可愛らしい野ウサギだった……

「これはまた……驚いたな……………」

ドナウ教官がびっくりしていたいら、

「やったな、おい!」

「あ、あぁ、うん……」

この時、僕自身もびっくりしていたんだ。

まさか本当にいたなんて…

ドナウ教官が帰った後に僕は残りの弾も的に撃った。

……、……………


そして僕が食堂に入ったら、僕の噂で賑やかだった。僕は部屋に引き返したくなったが、腹ペコだから引き返せなかった……

思った通り、称賛されたりした…

今日の夕食は僕の好きなハンバーグだったが、食べた気がしなかった。


ふらふらしながら自分のホットラックに倒れ込んだ。今日は初めて狙撃訓練をして疲れたからそのまま寝てしまったんだ…

そしたら、夢の中にあの女の人が現れた。

「今日はおめでとう」

「あ、ありがとうございます……」

「後は明日の匍匐前進の際に頭を上げないで」

「えっ!?」

「忠告はしたけど明日で卒業おめでとう」

彼女はそう言うとまた消えた。

しかし、明日の匍匐前進とは一体どう言うことなんだろう……………

そんな事を考えていると新しい朝が来た。


「おはよう……」

「おはよう、カフ」

朝のあいさつをしていたら突然ドナウ教官が入ってきた。

「今からフル装備で官舎から出てこい!以上!解散!!」

僕達は何をするかわかっていなかったが、急いで着替えて、官舎外に出ると驚いたがドナウ教官の後ろに軍用大型トラック2台と武器を入れる為の車両1台が止まっていた。

「明日で卒業なのは知っているが、今日は汚い匍匐前進訓練だ。たが、ただの匍匐前進訓練ではない。その為、今日は射撃訓練場に行く」

「「サーイェッサー!」」

僕とカフは気付いた。これは身を引き締めてしないと『死ぬ』と。

僕達はトラックに乗ってカフと話した。

「今日の匍匐前進はあれだよな……」

「多分そう……………」

そう、今日の匍匐前進中は頭の上を弾が行き交うのだ。頭をあげると、ヘルメットをしていても頭に穴が開く。

そんな話をしていると僕達は射撃訓練場に着いた。


「いいか貴様ら!この有刺鉄線から頭をあげるな!!頭の上を弾が行き交っているから死ぬぞ!!」

「「サーイェッサー!」」

僕達は緊張しながらも銃弾の行き交う有刺鉄線の下を25m匍匐前進した。

僕の前の人が止まった。

「トカナ行け!!早く進め!」

重機関銃の発砲音に負けないようにドナウ教官が叫んだ。

「もう無理だ!」

僕の前のトカナさんは突然頭を上げた。すると僕の顔に液体が飛んできた。

そう、血だ。どす黒いが赤く、鉄の味がする血が飛んできたんだ。

「クソ!なんで言うこと聞かなかったんだ!!そしたら死なずにすんだのに!!!」

ドナウ教官が叫んだ。元気の良かった重機関銃の発砲音がしない静寂な時がしばらく続いて、その日は訓練中止になった……

ドナウ教官は死んだトカナさんに凄く怒っていたが、多分自分を一番責めているかもしれない……


僕達は卒業した。

そして、それぞれの部隊に配属された。


・小隊配属・


僕とカフは『第92偵察小隊』に配属された。小隊長に挨拶しに行き、それから小隊長に連れられて先輩隊員に挨拶した。

先輩達は3人だった。

僕達の家庭を知っていたらしく、

「代々軍人なんて凄いな」

っと、ショートカットの黒髪で25歳前後の若い女性隊員が近寄ってきた。

僕が少し離れようとしていたら、カフがいかにも「離れるな」と言わんばかりに肘で突っついて来た。

僕は離れなれなかった。

「それくらいにしときな、アリス軍曹」

40歳後半のダンディーな男性隊員が助け船をくれた。凄くありがたかったけど、

「えーー……せっかくのイケメンエネルギーを補充してたのに……………」

「あはは!ナタ大佐に怒られてやんの!!くっ、ははは!!ぐっは!」

笑っていた30歳初めのがたいのいい男性隊員がいつの間にかアリス軍曹に殴られていた……

怖……………

そして、笑っていた30歳初めの男性隊員を殴りながら笑顔でアリス軍曹がこっちを向いて、

「ちょっと待っててね♪今からこのクタ三等准尉をシバくから♪ねぇ~、三等准尉殿♪」

「うっ!!ちょっ!上官にそれはないから!ぐっは!」

僕達がどうしようかとしていたら、小隊長のサター・カイル大佐が、

「そう言うのはいいから任務について話すぞ…」

「はいはいわかりましたよ……」

「ふぅ~……助かった……………」

「あんたはねぇ……」

っと、アリス軍曹とクタ三等准尉はまた関係無い話をしていた。

「それで任務とは?」

ナタ大佐はそんな二人を無視して質問した。

僕達も任務について聞いた。

「あっ、そうだったね……君達は今日入隊してきたんだった。とりあえず聞いてね」

っと、穏やかな軽い口調で任務について話された。この人は大丈夫なのかなぁ~……

任務の内容はこうでした。

まず、イラクがクウェートに侵攻して来たためアメリカは多国籍軍を組織した。その為、僕達はクウェートに行くことになっていたこと。

次に、彼らの獲物は『ザハ・ハキムーン』と言う人物だと言うこと。僕達も一応その人を撃てと言われた。

そして説明後に僕達は軍用航空機にすぐに乗ってサウジアラビアに向かった。機内ではクタ三等准尉が客室乗務員を口説いていた。

僕とカフは苦笑いした…

僕は暇だったから、いい感じに揺れる機内で寝ていた。

……、……………


僕が起きたのはサウジアラビアに到着するちょっと前だった。いいタイミングで起きれたのは良かった。

「おはよう、寝坊助さん♪」

「カフだね、ごめんごめん」

「まぁっいいけど♪」

「あはは……」

とりあえずは着いた。

僕達はこれから殺すんだ。『人』を……

そう思いながらも飛行機を降りると、飛行機から沢山の兵士が出てくるのを見て、

「まるでグンタイアリみたいだな……」

っと、誰にも聞こえないように小さな小さな声でぼやいた。

そして小隊は飛行機から降りたら将軍がいるテントまで行った。

将軍の名前は『H・ノーマン・シュワルツコフ・ジュニア』と言う。疑問に思われる方がいると思いますが『H』は『ハーバート』の略です。

とりあえずこの方は凄い方で、ベトナム戦争では南ベトナム陸軍の空挺団の軍事顧問になり2度の負傷によりパープルハート章を授与され、グレナダ侵攻作戦では地上軍部隊を指揮されていた。その後に『アメリカ中央軍司令官』になった人でした。

その人は大胆な作戦をなさるみたいで、なんとクウェート防衛ではなくイラク攻撃でした。

僕とカフは驚きました。まさか侵攻作戦に僕達は参加することになるとは……

驚いていた僕達にノーマン将軍はこう言われました。

「この戦争は1週間以内に終わらせる。そのためには重要な役割に就いている敵将校を減らさないといけない。この意味わかるな?」

僕達は緊張していたけど敬礼し、「サーイェッサー!」っと答えた。

「よろしい。ならば任務を説明する」

っと、将軍は任務書と地図、標的の写真をそれぞれ数枚をカイル小隊長に渡し、大きな机の上の地図を指し棒で指しながら細かく説明された。

「君達が行くところはここだ。ここから30km離れてる」

「了解しました。しかし私達の標的は一体?」

カイル小隊長は不思議そうな顔で聞いた。

「この男達はイラク軍将校だ」

「あっ!はい!了解しました」

僕達は気付いた。今回の任務はそいつらの抹殺だと……

そしてカイル小隊長から地図と標的の写真を一枚ずつ貰った。それを僕は震える手で受け取った。

僕は覚悟していたはずだ。でも人を殺すのが近くなると怖くて堪らない……

しかし命令通り、僕とカフは地図に書かれた目的地に侵攻した。


・狙撃任務・


僕達は途中イラク軍の中隊規模の侵攻軍を目撃し、まず小隊長に連絡してから本部にも連絡を入れた。すると本部からは、

「了解、ただちに砲撃する。アウト」

っと、事務的な答えたが帰って来た。

連絡を入れて約50秒後に中隊規模の敵侵攻軍がいるところに砲撃され、中隊の3/2が吹き飛んだ。 僕達は砲撃着弾点を確認し、もう一度砲撃してもらった。

「こちらサナギ。修正、左に6度。繰り返す。修正左に6度。オーバー」

「こちらワーナー。修正完了、もう一度砲撃する。繰り返す。修正完了。もう一度砲撃する。オーバー」

「こちらサナギ。了解。アウト」

そして残りわずかになっていた敵中隊兵士は逃げ惑っていたが、砲撃によりパタリと動けなくなった。僕達は本部に敵が消滅したことを連絡した。

「こちらサナギ。敵消滅。繰り返す。敵消滅。オーバー」

「こちらワーナー。了解。アウト」

とりあえず終わったが僕達は死んだ敵兵士に紛れて生きている敵兵士がいるか調べるため見に行ったがそこは地獄だった。砂が真っ黒に焦げ、人間が焼ける匂いと硝煙の匂いがする鼻がもげそうなところだった。

僕とカフは吐いた。僕は狂いそうだった……

「お、おい…これで生きてる奴なんて……」

「さすがにいない……」

「おっ、おえ!!」

カフはまた吐いた…

僕もカフに連れられて吐いた。

そして吐き終わると、しばらく黙ったままジッとしていた。するとカフが話しかけてきた。

「俺は死にたくない。どんなことになっても死にたくない」

「僕も死にたくない。でもこれが戦争なんだ。きっとおじいちゃんもこんな経験をしたんだ…」

「そっ、そうだな………」

「僕達は死なないために、今出来ることをしよう…」

「あぁ………」

カフは弱々しくふらふらしながら確認していった。僕も近くの人だった『物』が死んでるか確認していった。

確認した結果、予想通り誰も生きてなかった。

それから僕達は目的地に歩き絶好の狙撃位置に到着した。すると900m先の航空管制塔にターゲットの男性が現れ、カフは本部に連絡した。

カフは興奮気味で早口になったが、確認が取れた。

僕達はこれから狙撃して殺すが、多くの人の命を助けることが出来る。そうだ。助けることが出来るだ。僕は殺すんじゃない。寝かせるんだと自分自身に言い訳をした。

「本部から許可が出た」

「了解」

僕は焦る心を抑えながら答えた。

僕が構えているライフルのスコープにターゲットの頭が映った。

こちらの工作員の情報によるとターゲットは顔が45cm位らしいが身長や体重不明らしい、情報があやふやなので新人なんだと思った……

「目標11時。位置、黄色の車のバンパー裏」

「確認」

「ミル確認」

「0.5だ」

「ポイント0.5確認。距離……900m」

僕とカフはミルを確認し合い、距離を見積もった。

「アップ11.5。ライト2.1……」

「撃て、撃て、撃て」

僕は人を殺す事に緊張する心を落ち着けて、トリガーを引いた。

大丈夫、訓練通りにすれば問題ない……


『バシッ』


「ヘッドショット、いい腕だ」

「あはは、終わった…」

「よし、帰るぞ」

「だねぇ…」


そして僕達はキャンプ地に戻った。すると小隊長が待っていてくれた。

「お疲れさん。今日はよく寝ろ」

っと言われたから、その日はすぐに寝た。

初めて人を殺した…

僕は布団の中で震えた。これが戦争なんだ。これが………



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