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超能力者の恋愛模様  作者: くろすく2
6/13

周りをよく見る、これ大事な





新入生が退場するというのでやや聞き飽きた感のある音楽が在校生の吹奏楽部(多分)によって演奏される。


俺の頭の中はこれからの予定でいっぱいだ。

まず教室に戻って何かの話を聞いた後に颯爽と誰に関わることもなく帰宅。そしてゲーム。からの妹の作った夕飯を食べてちょっと家事手伝ってゲームして寝る。なんて健康的。


俺の予定に関わってくる予定のない人は無視したいというか俺からも、その人からも関わって欲しくないよね。


だから橘さん、退場する時までじっとこちらを見つめないで……。


俺の周りだけ時が止まったかのように動かなくなってしまっている。メデューサだったのかな?


石化したクラスメイトを壊さないように、触れないようにすすっと避けて席を立つ。本当は順番に並びたかったんだけど、みんなが動かないからっ!


体育館を出ると、橘さんが誰かを待っていた。隣には橘さんより背が高いけど、俺よりは背が低い…大体160cm中盤くらいかなって感じの美人系の女の人がいる。


俺じゃない俺じゃないと黙って通り過ぎようとすると、すれ違いざまにポケットに紙を入れられた。そっちの道のプロですか?


周りを見るとごく一部を除いて今の橘さんの行動に気づいた人間はいない。もちろん人間じゃないものも見えないのでいない。


気づいた人は俺と橘さんとその隣の女の人と、俺の隣をたまたま歩いていた、教室で俺の隣で本を読んでいた女の子。俺以外女子という嬉しい(?)構成だ。


『放課後、一緒に帰りませんか? 校門で待ってます』


違うよね?待ってるんじゃなくて待ち伏せしてるんだよね? 他クラスの俺と時間がズレても大丈夫なようにわざわざ校門でって言ってるんだよね?


けど考えが甘かったな。そもそもこの作戦は俺のクラスの方が終わるのが早かった場合は成立しないし、そもそも校門といえば正門に裏門が存在している。

普通は正門だが、俺からしてみれば当然会いたくないってことで裏門に行く。それで会えなくても校門でと言っている以上俺は糾弾からは逃げられるわけだ。


ちらりと橘さんを見て、メモをもう一回見て、ポケットにしまう。


「なるほどー」


橘さんに見えるように口を動かし、ついでに声も出して俺はひらりと手を振って教室に戻った。



それからは大変だった。訂正された今後の予定表や教科書の配布に加えて、新しい環境に馴染むためだという名目で開催されるスプリングセミナーとやらの説明、最後に、そのスプリングセミナーが始まるまでに終わらせておく課題が出された。


スプリングセミナーは次の水曜日から金曜日まで。今日は水曜日なので…あと一週間ほどしかないじゃないか!

しかも量が異常に多い!めんどくさいからやらないっていうのもアリだけど目立つのは嫌だな。


「まあすぐ終わるからいいんだけどさ…」


今後の学校生活についての話を先生がしている間に英語の課題が終わった。精々数十ページのテキストなんて楽に終わりますよ?


とりあえず英語は終わったから、帰ってから数学やるとして…あ、この程度の難易度ならすぐ終わりそう。誰だよ量が多いなんて言ったやつは!もう!


「……それでは、今日はこれで終わりますね。みなさん、明日も元気に登校してきてくださいね!」


さようなら、と号令がかかり先生が出て行く。するとどうだ、みんなが席を立ち動き回り連絡先を交換し始めた。そのコミュニケーション能力どこで培ったの?


いや、みんなっていうとちょっと違うか。少なくとも、俺と隣の女子は動いていない。というかこの女子は本ばっかり読んで顔も上げていない。


当然俺はみんなと関わるのはめんどくさいので、気づかれないように鞄を持ってさっさと退出。教科書類は全部置いていく。重いからね、必要なものしか持ちたくないんだ。



下駄箱に到着。靴を履き替えて、そろりと正門の方を見る。む?誰もいないな。

まあいい、もともと今用があるのは正門じゃなくて自転車置場だしな。


意気揚々と自転車置場に向かうと、なんだか少し騒がしいな?


「お前ら、新入生だよな?へへ、ちょっと付き合ってくれねえかな?」


「いえ、その、私たち約束が…」


これだからお約束(テンプレ)は嫌なんだよ。

もうわかるだろ?橘さんと女の人が絡まれてんだよ!


俺はもう白目だよね。まだ二回目だとはいえ、こんな場面に遭遇するなんて俺も橘さんも運がない。


黙って通り過ぎてもいいけど…いや、そうしよう。流石に在校生だったら犯罪になるようなことはしないだろうし…ん?既に恐喝まがいのことをしてるって?バレなきゃ大丈夫なんだよ、気にしなきゃ平気。世の中理不尽だよね。


自転車を諦めようと踵を返すと、パチンと小気味の良い音がした。

すすっと壁に張り付いて覗くと、橘さんの頬が赤くなり、女の人は羽交い締めにされ、在校生(男)はあからさまにイライラしていた。


……ふむ。四人か。余裕ですな。


この前の反省を生かして無音カメラでカシャっと撮影。よく撮れてます。

ごそごそとスマホをポケットにしまっていると、ガツンと後ろから頭を殴られた。どこぞの名探偵かな?


「おいおい、お前らまわりに気をつけろよな」


俺を殴った男はそのまま俺を引きずって、橘さんたちがいるところあたりに俺を放った。

歩かなくていいとか思ってたけど良い気はしないな。お前、ギルティ。


「ひ、日比野くん!」


「あ?なに、知り合いなの?」


「結構イケメンじゃね?彼氏かなんかですかー?」


橘さんが声をあげると、男はせせら嗤い、俺の腹に蹴りを入れた。お前、ギルティ(二回目)。


「やめて!」


「どうしようかなあ?お前らが付き合ってくれるっつーんだったら、やめてやっても良いけど?」


引き続き俺の身体中を蹴りまくる男たち。お前ら、ギルティ(三回目)。


「わ、わか…」


「さっきからムカつくんだけど」


俺の顔を蹴ろうとした男の足を掴んで、引き倒す。蹴りが止まったところで起き上がり、制服についた砂埃を払う。


「大体、こんなテンプレに付き合わされるこっちの目にもなってくれよ。もう二回目だぞお前?少しは周りを気にしろってんだよ」


「あああ!!!あ、足が!!俺の足が!!!」


橘さんの方を見て話しつつ、引き倒した男の足を蹴り砕く。大丈夫、ちょっと砕…折れただけだから!すぐ(?)治るから!!


「お前らもガスガス蹴ってくれてんじゃねえよ制服が汚れたら怒られるの俺なんだよ」


ぎゃあぎゃあ喚いてうるさいので鳩尾に踵を入れて気絶させると、周りの男たちを睨む。

あとで俺が妹に怒られんだからな??お前らマジで許さんぞ?母はにこやかに制服を洗ってくれるだろうけど。


橘さんの近くに一人、女の人を羽交い締めにしてるのが一人、俺の近くに二人。プラス足元にゴミが一つ。


「そもそもなんで俺が毎回のように巻き込まれなきゃいけねーんだよ」


「がっ!」


近くにいた男の鼻を折るつもりで殴る。感触からして一発OKですね、NGは出さない。


鼻血を出しながら鼻を抑えるために屈んだ男の顔に膝を入れ、鼻の整形を行う。安心してください、少し変形するだけですから。


仰け反った男に一歩近づいて足を引っ掛け転ばせ、鳩尾に踵を入れる。今回はこれでいこう。


「な、なんだよお前…」


最初に俺を殴ってここまで持ってきたお前が残ってたな?お前は最後にしてやろう。


「いっ!」


「てっ!」


足元に落ちている小石を拾って一球入魂!

見事に橘さんと女の人を掴んでいる男の手にヒット!一球じゃないけど入魂はしておいたから許してほしい。


するするっと男たちに近づいて頭を掴んで引きずってくる。女の人はポカンとした顔で、橘さんは俯いたままだった。


左手にヘッド、右手にヘッド、合わせて?


ガツン!!


おおよそ人が出さないであろう音を出して男たちは崩れ落ちた。気絶してますね?頭は大丈夫?血は出てない。平気。

少しばかりイライラしていたので力加減をミスってしまった。


これで残りはそこのトリプルギルティだけだな。


やられたらやり返す。俺の気がすむまでな!!


「なんだよ、く、来んなよ…!」


人の嫌なことをしたい。好きな子だから?いいえ、嫌いだから。


男の右の親指を掴んで、逆に曲げる。


「あああ!!!!」


「俺を殴った悪い手はどちらか…どっちでもいいか」


次に左の人差し指を掴んでへし折る。


「いっ、ああ!!」


一本一本いくのがめんどくさいので、男をどついて倒してから、右手をぐっと踏む。日本人は右利きが多いからね!

足から伝わってくる骨が折れる感触と、男の叫び声を無視しつつ悩む。


「あー…帰って妹になんて説明したら……」


ため息をついて周りを見ると元凶が一人。

…これだ!


「橘さん、妹の連絡先知ってたよね?」


「…え、うん」


俺と俺の足元を交互に見つつ答える。

君がいないと俺はもうダメなんだ!救われない!


「ちょっと妹に電話してくれない?」


俺から電話したところで妹は許してくれない。だが、橘さんからだったら…?許される可能性が上がるはずだ!


「う、うん」


橘さんはいそいそとスマホを取り出して、少ししてから俺に渡してくる。


『もしもし?優梨奈さん?どうしたの?』


「ハロー妹よ」


『…お兄ちゃん?』


「ぐへへ、橘優梨奈は預かった!返して欲しくば…」


『そういうのいいから。あと、なんかすごい叫び声が聞こえるんだけど』


あ、やべっ、忘れてた。

俺は少しスマホを耳から離して、さっきからずっと踏んでた男の顔面に蹴りを入れた後に鳩尾を踵でぐっとやって気絶させる。


「なんでもないよ?」


「うわっ、ひどっ…」


うるさいよ名も知らない女の人。お前は自分の身の安全と人が来ないか見張ってろ。


『…まあ、その話は帰ってからね? それで、どうしたの?』


「いやー、それがですね…」


かくかくしかじかうまうま。


説明を終えると妹のため息が聞こえてくる。これが肉親じゃなかったらとても官能的。


『お母さんに言っとくから早く帰ってきてね』


「さっすが俺の妹、愛してる!」


『はいはい、それじゃーね』


プツッと電話が切られたので橘さんにスマホを返す。


俺の無賃金の仕事はこれで終了。というわけで俺のチャリは何処かな?


チャリを探すべく周りをキョロキョロ。あ、あれだ。

ポケットから鍵を取り出してカシャンとロック解除。


「それじゃあ俺、こっちだから」


「いや待ちなよ」


俺がにこりと微笑んで出発しようとすると止めに来た女の人がいるのでそれをぶっちぎって俺は逃げた。


だってめんどくさそうだったし不良が不良品になっちゃってたしあれ以上いたら俺も危ないし。


家に帰ると笑顔の妹が俺を待っていた。母親は優しく笑って制服を洗ってくれた。妹は厳しく俺の夕飯はカレーのルー無しだった。


……人助けしたはずなのになあ。


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