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超能力者の恋愛模様  作者: くろすく2
3/13

俺は悪くない、悪いのは社会だ





とりあえず省略して説明。


荷物を取りに行ってショッピングモールを出て、適当に歩いて落ち着いた雰囲気のあるカフェを発見、ここでいいかと女の子に尋ねたところ頷かれたので入店。この間会話なし。


窓からは見えない奥のテーブル席に女の子と向かい合って座る。隣には荷物。

とりあえず妹に場所を送っておく。十分かそこらで着きそうだと返信あり。よろしい。


「ご注文はお決まりですか?」


優しげなウェイトレスのお姉さんがやって来て、笑いかけてくるのでこちらもにっこり。


「まだです!」


俺の言葉に動揺することなく、ご注文がお決まりになったらお呼びくださいと去っていくお姉さん。背筋がきれい!


メニューを見るとブレンド、カフェモカ、エトセトラ。カフェなんて来たことがないので書いてあることは読めてもそれがどういったものなのかがよくわからない。


お姉さんにオススメでも聞こうと心に決めた。俺の舌は甘党だけど、俺の心は苦くても耐えられるからね。


「注文は決まりましたか?」


初対面なので女の子には敬語で。基本は苗字にさん付け。けれど俺はこの子の名前を知らない。


俺が声をかけるとビクッとしてわたわたとメニューを見る女の子。


「焦らないでいいですよ?」


「いえ、あの……手持ちが、今、あんまりなくって…」


なるほどお金の心配ですね?そんな気にしないでいいのに。

このままだと話が進みそうにないのでウェイトレスさんを呼ぶ。


「オススメって何かありますか?」


「そうですね……甘い方がお好きならカフェオレはいかがですか?自信を持ってお出ししておりますよ?


「じゃ、とりあえずそれを一つ。あとは……疲れた女の子がホッと落ち着きたいときに飲んで欲しいものとかないですかね?」


「うーん……メニューにはないですけど、マスターの趣味でココアを出していますよ?いかがでしょうか?」


「ちょっと待ってくださいね」


上手に接客をするお姉さんに上機嫌になる俺。これだけ丁寧で柔和だともう最高。


「甘いのって好きな方ですか?」


女の子に聞くと戸惑いながら頷く。


「え、と……はい」


よし決まり。


「それじゃ、ココア一つ。とりあえずは以上でお願いします」


「かしこまりました。少々お待ちください」


お手本のようなお辞儀を披露して、カウンターに立つマスターの元へ注文を告げにいくお姉さん。


さらりと決めてしまった俺に対してなんだか申し訳さなそうにする女の子。


「それで、ですね。お名前伺ってもいいですか?」


「は、はい」


まるでお見合いみたいだな。極度に緊張している女性側。男である俺はお見合いを望んでないのに親にセッティングされたという設定。


名前を聞くならお前から言えという風習に従ってまずは俺から自己紹介。


「俺は、日比野 響っていいます。職業は…明日から高校生かな? 今日は必要なものを買いに妹とショッピングモールに来たところで、まあ、遭遇しました」


何に、とは言わない。言わなくても察してくれるだろうし。


「えっと、私は、橘 優梨奈です…。さっきは、その、ありがとう、ございました」


途中から声が震えて、だんだんと身体も震えて黙り込んでしまう。

まあ女の子からしたら一生の傷になるところだったろうし未遂では済んだものの心に傷を負ってもおかしくはない。


橘さんの容姿を見ると、狙われるのも頷ける。


背は俺より大分低くおそらく150cmかそこらで、胸は結構ありそう(推定D)。髪は肩近くで切り揃えられて、濡れたように光沢があるけれどサラサラしていそうだ。

そして顔。可愛い。これが黄金比だと言わんばかりのパーツの配置に大きさ。冷たい系ではなく温かみのある可愛い系の顔立ちだ。今は俯いてしまっているので顔は見えないが。


どうしたもんかと頬杖をついて注文した品を待っていると、もう一つ待っていた方が到着したようだ。


「お兄ちゃん、女の子は大丈夫なの?!」


お店に着いて、ぺこりとウェイトレスさんに挨拶したかと思うと、素早くこっちへと向かって来た妹。


突然の妹の襲来に驚いたのか、顔をあげて怯える橘さん。目には涙。頰には涙が流れた跡が。


「一応、大丈夫だよ」


俺がそう言ったのも聞かずに荷物を俺の隣にどんと置いたかと思うと、橘さんをぎゅっと抱きしめる妹。


おいおい、初対面でそれはいいのか。異性だったら通報即タイホだぞ?


よく見ると妹は橘さんに小さな声で励ましの言葉をかけているようだ。まあここは女同士だし、任せるとしましょう。


事情を察して近寄ろうとしないウェイトレスさんにジェスチャーで俺と同じものをもう一つ欲しいと伝えると、俺は姉にメールを送る。


内容は

『こいつら誰?怪しない?どういうやつか知りたいな』

画像は先ほどのアレを添付。もちろん女の子の顔はぼかしで。


姉からの返信が秒で来る。


『お前、ちゃんと解決したんだろうな?』


失敬な。いかに俺が省エネ人間だといっても流石に目の前で起こった事件は解決しようとします。


『大丈夫。今は妹が介抱中』


『了解。早めに教える』


姉とのやり取り終了。相変わらず姉はかっこいいなあ。弟は惚れそうです。


俺がスマホをいじっている間で、一通り終わったのか、今度こそ落ち着いた様子の橘さん。


目元は少し赤くなってしまっているけれど、顔色はさっきよりはマシになっている。


「お待たせいたしました」


タイミングよくウェイトレスさんが注文した品を運んで来る。相変わらずいい仕事するなあ。初対面ですけどね?


「そういえばもう昼だけど……ご飯は?」


二人に聞くと、当然二人ともまだだと首を振る。橘さんの分はまあ俺が出すとして…妹はどうするんだろう。どっちでもいいけど。


「じゃ、メニューから選びな?俺はもう決まってるし、時間にも余裕あるからゆっくりでいいよ」


さっきメニューを見たときに見当をつけていたカルボナーラを想像してカフェオレをゴクリと飲む。甘い。美味しい。素晴らしい。


しかし、落ち着いた様子で良い感じなのにどうして人があんまりいないのかね…良い店だと思うんだけど。


「お兄ちゃん」


「どした、決まった?」


「決まったけど、優梨奈さんお金があんまりないって」


「知ってる」


俺がそう言うと妹は俺の思考がわかったのかうんうんと頷いてメニューをさっと見て、橘さんをちらりと見て、メニューをしまった。


「すみません」


俺はそれを見て、ウェイトレスさんを呼ぶ。


「カルボナーラ一つお願いします」


「あと、ハヤシライスとオムライスと……オレンジジュース二つと白玉抹茶パフェとイチゴパフェください」


「デザートは食後ですか?それとも食事の途中でお出ししますか?」


「食後でお願いします」


待ちたまえ妹よ。その注文の仕方だと兄が払うことになるんだよね?兄の財布事情を鑑みて欲しい。英世さんが何枚家出することになるのか……。


橘さんの方を見ると驚いた顔で妹の方を見ている。何かついてるのかな?


「どうしたんですか、橘さん」


「えっと、私、まだ何も言っていないんですけど…」


「あれ、ひょっとして優梨奈さんオムライス嫌でした?」


首を傾げて違ったかなと呟く妹。


「いえ! その…何も言っていないのにどうしてわかったのかなって…オレンジジュースも、イチゴパフェも……」


「だって、優梨奈さん、メニュー見てるときにそこだけ見てる時間が少し長かったし何回も見てたからそうかなって」


たまにお兄ちゃんは妹が探偵か何かなのかと思うことがありますよ。ひょっとしてお前も超能力者なんじゃ?


ピロリーンとメールの着信音。姉上からか。内容を確認する。


『わかったぞ。まずは右手を抑えている男だが……』


と個人情報がズラリ。

姉上、犯罪は犯していらっしゃらないですよね?じわりと汗がにじむ。


「どうしたの、お兄ちゃん」


「いやあ姉ちゃんにちょっとねー…」


ちらりと橘さんを見てから妹に視線を戻す。


「レイプ未遂犯の詳細調査を依頼した結果を確認中」


「……お兄ちゃん、デリカシーって知ってる?」


「言葉の意味なら知ってる。でもまあ、聞かせておいても良いかなって思って」


それからつらつらと詳細を述べていく。


「手下の男四人はここら辺をたむろってる悪ガキ。一応チームとやらに属してるっぽい。万引きは常習。レイプも常習。今回に関しては相手が悪かったので、どんまいってことで」


頭をバールで殴ったやつは多分身体に麻痺が出ると思うし、スタンガンも同様。一人はなんか利き手の指をやっちったから可哀想にって感じ。


俺が淡々と詳細を述べていくと橘さんの目は恐怖で、妹の目は怒りで満ちていった。


「そしてお待ちかね主犯格。こいつぁやべえぜ。ヤの付く怖いお方たちの一員で、まあ小物っぽいけど一応それなりの立ち位置にいるらしい。薬に強姦に傷害……やるなあこいつ、まさに小悪党だぜ」


思わず笑ってしまう。まさにくだらないことのオンパレードだわ。何が楽しいのか全くわからない。刺激的な生活なんて疲れるだけだと俺は思ってるよ?ゲームの中だけで充分。


話を終えると、妹は怒りを抑えるべく目を瞑り、橘さんは……俺を見てる?


「なに?」


「えと、これから、大丈夫なのかな、って…」


「俺が?」


俺を見ている橘さんに問いかけると帰って来るのは頷き。多いな。


「うーん、多分大丈夫だと思うよ?」


「お兄ちゃん、強いもんね」


「いや、そうじゃなくて、ここら辺のヤの付く怖い人たちのトップって……まだ入院してるはずだし」


俺の言葉に沈黙が降りてくる。


「……お兄ちゃん、何したの?」


「いや、俺は悪くないんだよ?」


「……お兄ちゃん、何したの?」


「ええと、僕は何も悪くないんです」


「……お兄ちゃん?」


だんだんと機械じみてくる妹に白旗。

洗いざらい話す。



「この前……一週間くらい前かな?なんか夜コンビニ行こーって思って歩いてたら、まさに強姦現場に出くわしまして。


それが薬も使ってたもんでビックリしてキモチワルッって声出しちゃったら見つかっちゃったから、とりあえず犯人半殺しにするじゃん?


コンビニの近くだったしおんなじことまたあったら嫌だな〜って思ったからそれにボスの場所を聞いて、それのバイクで乗り込んで。


とりあえず中の人を一通り折ってから話し合ったら和解!みたいな?」


俺が適当に話を終えると妹はお兄ちゃん…とため息をついてやれやれと首を振る。


「やられる前にやれってよく言うじゃん」


「…何事にも限度があるの!」


「俺は悪くない、社会が悪いんだ!」



俺がそう告げたところで、食事が運ばれてきた。相変わらずいいタイミングですね。



さ、食べましょ食べましょ。





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