表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

守ってくれてる?⑨幸せ運んでます

コン太はみんなを幸せにしてる。

不思議なコン太。

犬みたいだけど狐…らしい。

そうして、小さな幸せを運んでくる。


信号が青になった。

コン太は、時折立ち止まりながら、真っ直ぐに進む。

スーパーを通り過ぎ、小学校が見えてきた。


小学校を通り過ぎた道を曲がると、私の住むアパートがある。


コン太の散歩コースは、こっちまで広かったんだ。

でも、一度もコン太や宮司さんには出会っていない。

やっぱり気まぐれな散歩コースかな?


小学校まできたコン太。

また座ってじっとしてる。


この小学校、私が通っていた時は、小さくて狭くてボロだったけど、数年前に建て替えて、おしゃれな小学校になった。


コン太が歩き始めた。

私の住むアパートの方へ…と、思ったら、反対側の川の方に進んで行く。

そうして、河川敷の歩道に降りた。


なんだか疲れてきた。

こんなに歩いた事、最近無いから、超運動不足。

『ねえコン太ちゃん、ちょっと休まない?疲れちゃった』


そう言いながら、歩道のベンチに座る。

『ごめんね。お姉さん、体力無くてさ~』


コン太は私をじっと見つめて、静かに座った。

『ねえ、コン太ちゃん、本当に狐なの?』

コン太は空を見ている。


『そうよ。私は狐』

えっ?コン太が話をした?何?こんな事はファンタシーな話の中だけでしょ。

『きゃはは』

後ろから笑い声。振り返ると、高校生くらいの男の子が立っていた。


『おねーさん、バッカじゃないの~?犬が話すわけないじゃん』

ムカツク‼何?この、見ず知らずのガキンチョ!


『バカで悪かったわね。行こう。コン太』

ベンチから立ち上がって、歩き始めた。


しばらく河川敷の歩道を歩き、図書館の近くに来た時には、男の子は見えなかった。


図書館から、駅に行き、社務所に戻った時には、空はきれいなオレンジ色になっていた。


『今日はありがとうございました』

宮司さんにお礼を言って、コン太の紐を渡した。

『コン太は気まぐれだから疲れたでしょう』

『いえ。楽しかったです』

『また、いつでもどうぞ』

『はい』


コン太に手を振って、最初に見たケーキ屋さんに行ってみた。


小さくて可愛らしいケーキ屋さん。

私の好きなチーズケーキがある。

そうだ、聞いてみるんだった!

『あの…コン太が、この店の前で座ったんですけど』

すると、オーナーらしきおじさんが出てきて言った。


『コン太座ったの?やっぱりね~。今日はバースディーケーキの予約が多くてね』


本屋さんも、似たような話をしていた。

コン太は幸せを運んでる。

チーズケーキを買って店を出た。


今日座った場所は、このケーキ屋さん、本屋さん、靴屋さん、小学校、図書館、駅前のガソリンスタンド。


きっと、みんなに幸せを運んでいたんだと思う。

散歩コースが気まぐれなのは、この街全部を幸せにしたいから。


私も幸せになりたい。

仕事見つけて働きたい。


明日もコン太と散歩しようかな。

宮司さんに頼んでみよう。


お風呂の中で半分眠りながら考えていた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ