01.友人の死
「死んだらさ、やっぱりあの世にいっちゃうのかな? それとも……ずっとこの世界で、あやちゃんと一緒に居られるかな?」
ふとそんな言葉が私の耳に届いた。親しみのある声。だけどそれは、僅かな喧噪でかき消されそうなほど小さな声だった。それこそ本当に――どこかに消えてしまいそうなほど小さかった。
「えっ……?」
あまりに突拍子の無い質問に戸惑い、つられるように声が聞こえた方に視線を向ける。しかし、声の主の姿はどこにも見えなかった。
代わりに、少し距離を隔てた先にぎこちなく笑みを浮かべている声の主――遠藤麻衣の写真が見える。彼女は、私――川嶋彩花――の親友だった。彼女の周りには多くの花が添えられて、その光景はまるでアニメとかでよく見るお約束の天国みたいだった。
そうだったならば、どれだけ幸せなことだろう。当たり前だがここは天国ではない。どこか夢心地な妄想から醒めたとき、私は無理矢理現実に引き戻された。
――それも目を背けたい最悪な現実に。
私の親友が亡くなった。イジメが原因の自殺だった。
その原因を作った張本人は――清水香澄という女。学内でも、素性が悪いことで有名だった。もちろん、今日の葬儀にも参列していない。それどころか、一言も謝罪の言葉がないようだった。
悔しかった。私がちょっと勇気を出して行動を起こしていれば、防げた事態だった。
担任に報告、それがダメなら清水の両親に直訴――最悪、警察に相談なんて手もあったんだ。
打てる手なんて山ほどあった。それを一つずつでもこなしていれば、こんな最悪な事態になっていなかったはず。
――はずだった。しかし現実には出来なかった。だからこんな最悪の結末を迎えてしまった。
取り返しのつかない後悔の念からか、瞳からは自然と涙があふれ出てくる。それを堪えようと、目を力一杯瞑り両手で痛いほどの握り拳を作ったが無駄だった。
「なんで、なんでよ……」
ほんの少しの勇気も無くて助けられなかった自分と、たった十数年で生涯を終えてしまった親友。やりようのない悲しみと怒りが交差して、私の感情はグチャグチャになっていた。




