4、勘違い
なかなか料理にたどり着けない(T_T)
「何故にスマホ?」
疑問に思いつつも、とりあえず電源を入れることにした。
手掛かりもこれといって他にないわけだし。
しばらく電源を押し待っていると、画面が明るくなり文字が表示された。
『Gopple』
「・・・・・・・・」
おい、怒られるぞコレ。
そもそも、リンゴからパクったのか、⚪ーグルからパクったのかわかんねえよ。
声に出して無性にツッコミたくなったが、それだと何か負けなような気がしてならない。
喉のそこまで出かかっていた言葉を飲みこみ、スマホを調べることにした。
見たところアプリが5つしか入っておらず、とても簡素だ。
「なになに・・・【ガルテアの歩き方】に【God先生】、【自宅警備印】と【異次元ポケット】で【メール】?最後のは普通だな」
とりあえず【メール】を見たが、普通の携帯と内容は変わらず、中身は空であった。
気になる他のアプリの内容を確認するべく、アプリを開く。
すると、中には取説があった。
簡単に始めの4つをまとめてみると、こんな感じだ。
・ガルテアの歩き方
ガルテアの世界地図が表示される。
拡大すれば建物の細部まで見え、タッチすると建物 の名前 から歴史まで教えてくれる優れもの。
また、キーワードを入力することで探したい場所を特定出来る。
・God先生
調べたい事を思い浮かべると地球、ガルテア関係なく歴史や知識、偉人に学門、果てにはテーブルマナーからことわざなど何から何まで表示される。
・自宅警備印
土地の広さに相応しい、金・供物を神界に奉納することでその土地の管理者になれる。
管理者はその土地に足を踏み入れる者の出入りを制限できる。
この機能により、泥棒などから自宅警備などに使える。
但し、これは神界との契約のため、ガルテアの政治には適用されていないので、社会から購入した土地の管理者になることを勧める。
・異次元ポケット
物にスマホをかざすことで、異次元に収納出来る。
限りがなく無限に収納でき、中の時間は止まってるため食べ物を入れても腐ることはない。
取り出す際は取り出したい物をイメージすることで、取り出せる。
但し、生きている物は収納出来ない。
「流石は神様が作ったものだな」
凄いとしか言葉が出ない。
こんなに至れり尽くせりで良いのだろうか。
・・・言っておくが、ネーミングについてはツッコまない。
神のフリーダムさ加減に呆れながらも、誠一はアプリについて考える。
「しかし・・・これは今後の料理関連に役立てられるな」
【ガルテアの歩き方】は食べ歩きに、【God先生】は異世界の食べ物の特徴・毒性を調べるのに、【自宅警備印】は店の防犯・食い逃げ防止、【異次元ポケット】は食材の鮮度を保つのになど。
このアプリで料理をより向上できる。
少しだが神様に感謝し、見直すことにした。
その後、更に自分の趣味に活用できないか黙考する。
アプリを使い悪巧みや大金を稼ぐなど考えずに、真っ先に料理について考える誠一。
これはこの男の残念な点であり、愛嬌であろう。
そんなスマホもどきをいじっていると、誠一の耳にある音を拾う。
「うッ・・・・・・」
「―――ッ!?」
何かの音、いや誰かの声が一瞬だが確かに聞こえた。
誠一は慌ててスマホから目を離し、辺りを見渡す。
すると、少し離れたところに少女が倒れているのが目に入った。
「おい、大丈夫か!?」
誠一はすぐさま少女に駆け寄り、安否を確認する。
倒れていたのは麦わらの帽子をかぶった中学生ほどの少女。
帽子からこぼれたボブカットの栗色の髪が見える。
ボーイッシュでどこか活発そうなイメージがあるが、今は全身が土ボコリで汚れて気絶している。
安全を確かめるべく声をかけ続けていると、少女の意識が戻ったのか、まぶたが開いた。
「う、う〜ん?・・・あなたは、誰?」
「気づいたか!俺は誠一。お嬢ちゃん、一体何があったんだ?」
何故、彼女は意識を失ったのか。
もしかしたら、異世界のモンスターに襲われでもしたのか。
心配になりつつ、少女の回答を待った。
少女はまだ完全に意識がはっきりしてないのか、ポツポツと思い出しながら誠一の疑問に応じた。
「た、確か突然、空から何かが落ちてきて・・・それでスゴイ音がした後に飛ばされちゃって・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」
犯人、俺じゃねえかッ!
罪悪感ハンパないよ、マジで!
何がモンスターだよ、穴があったら入って消えてしまいたい。
誠一が罪悪感に苛まれている間に、少女は完全に覚醒したようだ。
「そうだ、私は薬草を取りに来て、それで・・・・・・ッ!」
「ど、どうした?」
少女はいきなり身を起こし、俺の方を青ざめた顔で見た。
突然の少女の反応に誠一は慌てた。
誠一は声をかけたが、少女は誠一の声に反応しない。
まさか、空から落ちてきたのが俺だと分かり、不気味に思ったのか。
いや、それにしては大袈裟すぎる。
尋常ではないほどに恐怖した表情と大量の汗を流し、俺の方を見ている。
グルルルルルル・・・
―――――違う。この子は俺を見ているのではない。
俺の後ろにあるものから目が離せないでいるのだ。
錆び付いたブリキ人形のようにギギギと首を回し、後ろを振くと、
「ゴゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲッ!!!」
巨大な鳥が地面にめり込んでいた体を起こし、怒髪天の形相で俺を睨んでいた。
次回、《化物》