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19、激的 (後編)

更新遅くなって誠に申し訳ありません!


~リズ王女引きこもり事件から五ヶ月~


季節は冬。

空気は肌寒くなり、民家の屋根には白粉(おしろい)を施したかのように薄く雪が積もり、町が白一色で塗り尽くされていた。

そんな建物を見下ろすかのようにクロス王国の中心にそびえ立つ城『アインバッハ城』。


そこでは外の静寂とは打って変わって、豪華に、豪快に、豪勢に、色とりどりと飾られていた。

きらびやかに光を放つ大きなシャンデリア。

それに照らされるのは、ズラリと並んだ数多の料理に、それを取り囲むようにドレスで着飾った老若男女の貴族、商人、etc・・・

貴族の中には人だけではなく、獣人族の姿も見える。


猫耳や犬耳などを除けば、目の前の光景は、正に誠一が思い描いていた「貴族のパーティー」その物であった。


今日のこの集いはクロス王国の建国記念日とのことで、毎年この日になるとクロス王国内の貴族を集め、また一年新たな国の歴史を紡げたことを祝うらしい。


そして、俺、沢辺誠一は、フォーマルスーツを着てこの場にいた。

むしろ、スーツに着られた俺がそこにいたと言っても過言ではない。


「あのー、本当に俺はここに居て良いんでしょうか。場違いじゃありません?」


やはり、どうにもこういった畏まった場所は肌に合わないというか、緊張してしまって落ち着かない。


そんなソワソワしている俺に隣から声が掛けられた。


「大丈夫ですよ、セーイチさん。私が渡したビル商会印のフォーマルスーツ似合っていますよ。むしろ堂々としてもらわなければ困ります。何て言ったって、ビル商会の関係者としてこの場にいるのですから」


「す、すみません。ストレさん」


「ですから、ビルゲイで構いませんよ。なんだったら愛着をもってビルで、更にランクアップしてビルちゃんでも構いませんよ、はい」


「いえ、ビルゲイさんの呼び方で結構です」


「因みに、『ビルルン』の愛称は駄目ですよ。これは妻だけの特権なので――――」


「結構です」


はぁとすっかりと慣れたビルゲイさんとのやり取りに溜め息を一つ。

そう、俺はビル商会の商売相手として今ここに立っているのだ。


リズ王女のダイエット関連で訪れたとき、最初はダイエット用に必要な物を揃える話だったのだが、転々と話が展開していき、(しま)いにはビルゲイさんがある料理の情報と作る権利だかを俺から買い取ったのだ。

日本円でなんとその金額、約300万!

その金額を聞いたときは、俺は顎が外れたかのよう口を閉じることが出来ず、マヌケな表顔をしてしまった。一緒にいたアンちゃんは余りの大金に上手くリアクションがとれず、「お肉、何個買えるかな?」と可愛らしい質問をしてきた。


あんな物にそれほどの価値があるのか分からないが、金に目が眩み即OKしてしまった。

何を売ったかは後程分かることだが。


いろいろとお世話になりっぱなしである。

このフォーマルスーツも、先程言っていたようにビルゲイさんが貸してくれたのだ。因みに、着ているこの服の値段については聞いていない。怖いから。


俺は深く深呼吸をして気持ちをリラックスさせる。


すると、小声でビルゲイさんが質問をしてきた


「ところで、セーイチさんは獣人族の方に偏見をもってないのですね」


「?ええ、特には」


俺の要領を得ない反応に、おやとビルゲイは何かに気づいたようで、顔を近づけ話をしてくれた。


「もしかしてご存知ありませんでしたか。余り大声では言いにくいのですが、その昔獣人族の方々は人の奴隷として扱われ、亜人と見下され、差別されていました。ウェルナー陛下のお陰で最近になっては友好的になりましたが、少なからずお互いの間に亀裂が入っていたりするんですよ」


おお・・・思いの外に重い理由だな。

しかし、言われてみればなるほど。この会場にも獣人族の人はおり人族と普通に話をしているが、すこし遠くに目を向けると獣人族にあからさまに嫌そうな顔を浮かべている老いた貴族が目に入る。

そう言えば以前、獣人のメイドのターナさんに敬語を使ったら驚いていた顔をしてたが、おれはそういうことだったのか。


と、そんな内緒話に興じている俺たちに声がかかった。


「しかし、それも今は改善されてきてますよビルゲイ・ストレ殿」


聞いたことの無い声に、後ろを振り向くと若い男性が立っていた。

年は二十代後半だろうか。男性のわりに髪が長く、しかしそれが似合う長身のイケメン。

誰だろうか?


「おお、ツール様。お久しぶりでございます。セーイチさん、この方はクロス王国の王都支部ギルドを治めるギルドマスターであるツール・ヨバセ様です」


ビルゲイさんが崩していた姿勢をすかさず正し、商人モードの顔で挨拶をし、しかも俺に説明するようにツールさんの紹介も忘れない。流石の一言である。


「初めまして、ビルゲイさんの付き添いとして来ましたセーイチ・サワベです」


「これはどうも、私はツール・ヨバセ。本来なら肩書きも言うべきですが、先程全てビルゲイ殿に言われましたからね」


・・・・・・スゲェ。ギルドマスターなのに人間が出来ている。

あんなどっかのふざけたクソジジイと違って、マトモだ。


いや、本来ならこれが普通なのだ。そもそも、ベルナン(あんな)のがギルドマスターなである方がおかしいのだ。人のトップに立つ人間がマトモじゃない筈がない。しかし、俺は今どうしようもなく感動している。


「・・・グスッ」


「ちょッ、どうしたんだい?いきなり涙ぐんで」


思わず一筋の涙が流れてしまった。

そんな俺を見て、ツールさんは慌てながらも心配してくれる。


「す、すみません。俺が知ってるギルドマスターとは180度違って、感動してしまって、つい」


「感動って。そのギルマスは君に何をしてるんだ?」


何を?えーと・・・・・・


「自分の武器破壊された腹いせに百本の斧を投げてきたり、仕事を他人に押し付けて自分は遊んで、人が訓練で失敗したときに盛大にニヤニヤして、他のギルド職員に追いかけられてます」


「それは本当にギルドマスターなのか?」


ツールさんが真顔で聞き返してきた。

うん、俺もそう思う。


本当にベルナンさんは例外の類らしい。


「良ければその者の名を教えてはくれないか。その話が本当ならば、私に頼りなさい。力になるから」


「いやいや!流石にそこまでベルナンさんも悪人ではないので。ただ、面倒臭いだけですから」


大事(おおごと)になりそうな流れだったので慌てて否定した。

しかし、咄嗟のことで「さん」付けで言ってしまったが、腐ってもベルナンさんはギルドマスター、つまりお偉いさん。

このような社交的な場では様付けで呼ばなければまずかったのでは。


少し不安になり、ツールさんの顔を窺うと、


「・・・・・・・・・・・・(ダラダラダラ)」


青ざめた顔をして、大量の汗を額から流していた。


「ど、どうしたんですか?どこか具合でも」


突然のツールさんの不調に慌てて手を伸ばしかけるが、ツールさんは明らかに俺の手から逃れるようにガバリと後ろに下がり、取り繕うように言った。


「だ、大丈夫だ。ところですまないが、この場に足を運んでいる友人にまだ挨拶をしていないのを思い出してね。それじゃ!」


そう言うが早く、俺から早足にそそくさと離れていった。


何なんだ、一体。

俺が言った言葉が原因だよな。しかし、何がツールさんをそうさせたのか分からない。


そんな俺の考えを見透かしたかのように、ビルゲイさんが声を掛けてきた。


「お教えしましょうか?ああ、お金は頂きませんのでご安心を」


「お金とるつもりだったのか・・・・・・俺、何かしましたか?明らかに俺のこと避けられていたんですが」


「いいえ、全く。行動、言葉使い、姿勢、力量、衣装、全てをとっても()()()()()()()()原因がありません。ただ、あなたの知り合いが過去にしました」


ビルゲイさんは含みのある言い方をしてきた。

知り合いって、さっき口にした・・・


「もしかして、ベルナンさんですか」


「そうです、そのベルナン・カヌア様です。彼はベルナン様がトラウマなのですよ。少し昔話をしましょう。実はツール様は以前は恵まれた才能の為か、天狗になり毎日のように喧嘩を吹っ掛けては他の冒険者とイザコザを起こすなど日々の素行が大変悪かったのです」


イザコザって、マジか。今さっきの姿からは想像もできないな。


俺の驚愕を他所に、ビルゲイさんはいつものようにマシンガンの如く喋りを続ける。


「それでツールさんはある日初老の男性にいつものように喧嘩を吹っ掛けました。その初老の男性はツール様がいたギルドに来たのは初めてでしたので、迂闊に酒で酔っていたツール様に接近してしまいました。他の冒険者が初老の男性を心配してツール様との間に立ち、血が出るようなことは起きませんでした。・・・が、初老の男性が購入していた品物を床に叩きつけ、足で踏みつけ壊しました。で、その初老の男性がベルナン様でしてね」


あー・・・なるほど。何となくだが、察しはついた。

ってか、昔からあの人土産品買う癖あったんか。


「その日からでした。ツール様が受けたクエストが誰かに先回りされ解決され横取り、馬車などの移動中の護衛では顔を隠した人物に夜中だろうが気を抜いた時だろうがお構い無くの襲撃と逃走の繰り返し、宿屋にて宿泊したときには体中の全ての毛を切り取られツルツルに、などetc.」


「そこまでやりますか」


「有りとあらゆる嫌がらせをされ、始めは気丈だったツール様も尻尾も掴めぬ相手に次第に憔悴し、『無毛(ツルツル)のツール』と称号がつけられた頃には部屋に籠ってしまいました」


ビルゲイさんの口がよく回ること回ること。バターでも塗ったのかと言いたくなるほど滑らかに止まることなく出てくる衝撃の事実。

おお・・・憐れ、なんと憐れなんだ。

自業自得とはいえ、運悪く絡んだ奴が性格が最悪、しかも能力も不意討ち、強襲にはもってこい。しかも、やり方がネチネチとしつこいほどの粘着質。こんなの誰でも憔悴するわ。

しかし、『無毛(ツルツル)のツール』か。髪は長髪ではあったが、もしかしたらこれが原因で髪型を長髪にしていたのではないかとも思える。


「で、最後がですね」


「まだ、あるんですか・・・」


「はい、勿論。精神的にも身体的にも不安定になったツール様。そんな前に姿を現すベルナン様。今まで1ヶ月分の犯行を自分がやったと明かして、決闘を提案しました。それを聞いたツール様はベルナン様へと全ての怒りをぶつけようと、すぐさま剣を交えましたが結果はツール様のボロ負け。最後の砦であった己の才能も、ベルナン様によって無惨に踏み潰されたのです」


「うわぁー・・・」


「それ以来、ベルナン様の名前を聞くだけで汗と体の震えが止まらず、心を入れ替えて日頃の鍛練を怠らず、人の見本となるような一人前の冒険者となり、今日に至ります」


皮肉なものだ。

そのトラウマがあったからこそツールさんは立派になり、城にギルドマスターとして招待され俺と会ったわけだから。

人生、本当に分からないもんだ。


そんな同情の念をどこかで震えているであろうツールさんに送っていると、ふとある疑問が浮かんだ。


「あの、ツールさんって今はもうベルナンさんより強いんですか?ここの王都のギルドの長を務めてますし、それにベルナンさんより若いのにギルドマスターですし」


「いえいえ、そんなことはありません。セーイチさんは勘違いしていますが、ベルナンさんほど強い人はなかなか居ませんよ、普通は。まあ、何と言いますか、ツール様も勿論のこと強いのですが、余り戦力が偏ってもいけませんしね。なんていっても、王都にはあの『剣聖』がいますから」


剣聖・・・なるほど。


俺はビルゲイさんの言葉で納得した。

ウェルナー陛下に手紙で呼ばれクロス王国を訪れる前に、少し自分が行く場所についてスマホで調べている時、それは目に入った。


クロス王国最強と称される『剣聖』。

クロス王国が建国されてからそれは存在し、代々クロス王国を守護してきた人物。

王が変わるにつれ新しい人物へとその称号は受け継がれていき、今では11代目らしい。

因みに『剣聖』なのに、得物が剣ではなく槍であったりモーニングスターだったりど、必ずしも剣を使う訳ではないそうだ。


そんな剣聖が王を守るべく居るわけで、それならと一ヶ所に集中するより優秀な人員を他に割く方が有効的だ。


「そういうことですか。ところで、今の剣聖はどなたなんですか?」


「なんと、知らなかったのですか?セーイチさん、貴方は既に会って――――」


ビルゲイさんが俺の疑問に答えようとしたが、会場の扉を開く音が聞こえたかと思えば、ざわざわと周りが騒がしくなり、話が中断させられる。


「おや、始まりましたか」


「いよいよか。しかし、ビルゲイさんの考え上手くいきます?」


「勿論、効果絶大ですよ。では、私達の商売繁盛を願って乾杯でもしますか」


そう言って、何処からか取ってきたお酒を空のグラスに注ぎ、こちらに差し出してきた。

俺はそれを受けとり、ビルゲイさんの小さな「乾杯」の声を音頭に、互いに美酒を煽った。



 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



始めは小さなざわめきであった。

多くの人の壁の向こうから起こる小さなざわめき、しかし次第にそれは大きくなり、じわり、じわりと会場全体に伝播していった。



『おい、誰だ、あれ』

『いや、初めて見たよ』『おお、これはなんと・・・』

『誰かしら、あのお方』『ふんっ、きっと初参加の田舎の下級貴族よ。遅れてくるなんて礼儀がなってないわね』『貴族ではなく、どこかの商人か?』『どこかで見たことがあるような・・・』『何、本当か!』『ふむ、あの佇まい。ただ立っているだけなのに絵になる』『父上、あの方はご存知で?』『いや、私も知らない。しかし、あの気品。下級貴族でないのは確かか』『ちょっと!私という者がありながら他の女に見惚れてんじゃないわよ!』『そ、そんなつもりではッ!?』『是非、御近づきになりたいねえ』『まさか!・・・いや、そんな筈は。だが、しかし・・・・・』『伯父様?どうかしたのですか』『おい、誰か声を掛けてこいよ』



人の囁きが辺りからどこかしこと聞こえ、ピアノの演奏の音色を上塗りする。

これには弾き手は堪ったものではない。弾き手は、音楽の世界では名が知れ、こうして王の元で弾いてるという誉れと自負がある。弾き手は不可解に、そして不快そうに、ざわめきの原因であろう人垣の向こうを睨み付ける。


しかし、人垣が割れ「原因」を目にしたとき、そんな気持ちなど何処(いずこ)へと吹っ飛び、余りの衝撃に弾く手が止まってしまった。



そこには、真紅のドレスを着た美女がいた。



男はその美貌に見惚れて、女はその美貌に嫉妬して、誰に聞いても、そらが憎悪からくるものだろうが、美しいと評するほどであった。


ルビーのような輝きを放つ大きな瞳、その下には泣きぼくろが。

身長は170程と女性にしては長身で、ドレスからはほっそりとした美脚が、開いた胸元からは服を押し上げる大きな胸、腰はすっと細い。

肩にかかるほどの黄金色の輝きを放つカールされた髪が、真紅のドレスにより映えている。

年はまだ20も行ってないであろうに艶やかに、しかし決して下品でなく品格があり、近寄りがたいオーラが滲み出ている。


会場を支配するざわめきの渦中の人物から目が放せぬでいると、ふと名も知れぬ女性が足を止めこちらを向き、確かに目が合った。

そして彼女は花が咲いたかのように微笑んだ。

弾き手はバッと顔を逸らし、自分が手を止めていたことを思い出し顔が赤くなっているのが見ずとも分かるほど恥ずかしがりながら、慌てて演奏を再開する。


すると、その女性が足を止めたのを機と見たのか、一人の若い貴族の男が声を掛けた。


「すみません、麗しいお嬢さん。ここで出会ったのも何かの縁。少し貴女の時間を拝借しても宜しいでしょうか」


キザったらしい、セーイチが聞いていたら歯の根本から浮いてしまいそうなセリフを平然とした顔で男は言いながら、手を差し伸べる。

その若い男は、ルックスにはそれなりの自信があった。


その男の動作に、女性は言葉で応えた。


「ふふふ。いやだわ、オジマルド様。貴女とは既に以前に出会ってるではないですか」


「え?そんな筈は、貴女ほどのお方に会っているならば忘れる筈などーーーー」


「オジマルド様。申し訳有りませんが、私、人を待たせているので失礼します」


女性はさらりと男と線引きをし、主導権を与えないまま止めていた歩みを再開する。



そして、行き着いた先は空席の三つの王座の前。

未だに陛下たちは居らず、女性はそれに構わず進む。

これには側で控えていた警備の兵士が女性の行く手を阻もうとするが、


「よい、我が許す」


その声は大きく発せられた訳でもないのに、会場によく響いた。

後ろから掛けられた声に兵士たちが振り向くと、そこには王妃であるアリッサを連れてウェルナー陛下が現れていた。

セーイチに見せた執務用のラフな姿ではなく、豪勢なマントを身につけ王冠を被り、王妃は純白のドレスは身を包み、そこに立っていた。


兵士はウェルナーの姿を確認するやいなや、すぐさまウェルナーたちに

跪く。

そして、陛下の言葉を思い出し、謎の女性をチラリと見ながら持ち場に戻る。


姿を現した陛下と王妃。

本来であれば我先にと二人の前へ足を運び、お招きしていただいた感謝と世辞の話をするのだが、皆その女性のせいで動けずにいる。

そして、そのウェルナー陛下と対面した謎の美女は、陛下に近づき挨拶の言葉を


「よいしょ」


せずに、そのまま左側の王座に座った。

ポスンと音を立て、勝手知ったるように、不遜に、陛下の前で、堂々と。


その光景に、ある者は息を飲み青ざめ、ある者はその女の蛮行を止めようと、そして、またある者は余りの衝撃に思考が追い付かず。

会場がどよめき、喧騒に包まれかけるが――――


「皆のもの、静まれ」


ピタリッと、荒げることなく、しかし誰の耳にも届く声により、会場内の動きが静止する。


(みな)よ。何を驚くことがある」


そう言って王妃は柔らかい微笑を崩さず、国王は深々と残りの王座に座る。

そして、王座に座った女性の隣には執事服の若い男が。そして、その手にはティアラが。

女性がそのティアラを受けとり、頭に被る。


その姿を見て、何人かは何かに気づいたようで怪訝な表情から驚愕の表情を浮かべている。


そして、その女性はニッと口角を上げ言葉を発した。


「挨拶が遅くなったわね。私、王女リズ・クロスは今宵の宴の招待に応じ城に足を運んだことに感謝をするわ」


リズ・・・王女・・・・・

その言葉。始め誰もが上手く理解出来ず、数秒言葉をひとつひとつ咀嚼し、やっと受け入れられた。



ああ!あの女性はリズ王女だから王座に座っているのか。

・・・・・・・・・・


「「「「「「って、はぁ!?」」」」」」



その瞬間、会場にいた全ての者の心と声が一つになり、皆が驚愕に包まれた。


その反応を王妃はあらあらと頬に手を当て、陛下は腹を抱えて、リズ王女はイタズラが成功したかの如く、愉快そうに笑う。


そんな半ば予想していた通りとなった光景を見て誠一は、お酒の入ったグラスをクイッと再び喉へ流し、リズ王女との頑張りを思い出すのであった。


書いていたデータが消えると死にたくなりますよねぇ・・・・・


これからも粉骨砕身で頑張ります!

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