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2、お客は神様・・・ではなかったようだ

~前回までのあらすじ~


ワイバーンがバビオンを襲撃してから、早くも3日が経過していた。

そして、誠一は自分の犯したミスによりギルドに顔が出しずらくなっていたのであった。

色々あり(レヌスに脅されるなど)なんとか誠一は意を決してギルドへと足を運ぶ。

しかし、誠一を待ち構えていたのは天敵ベルナンであった。

気づけばベルナンの術中に嵌まり、拘束されていた誠一。


果たして誠一の運命や、いかに!

突然、俺を取り囲む四つの知らない顔 + ベルナン。


俺は自分の置かれた状況を確認する。


一人は歳は四十ほど、身長は百九十はある、灰色の髪をオールバックにした男性。どこかで会ったような気がする。

男性は何故か俺を見て、僅かに驚いた顔を浮かべている。


一人は全身を純白の鎧を纏い、帯剣している男性。歳は三十後半、唯一見える顔には立派なガイゼル髭が存在を主張している。

その髭に少し憧れたのは心に止めておこう。


残りの二人は豪華な服で身を包んだ夫婦。

例えるなら王様。まるで絵本から飛び出したかのように、ぴったりとその言葉が当てはまる。

立ち振舞いだけでも気品がこっちまで漂ってくる。


この四人に共通しているのは身分が高そうで、


そして、状況確認に一段落ついた俺は、



「俺は、無実だァァァァァ!へるぷみィィィィ!」



そう叫ばずにはいられなかった。


あのジジイ!ギルドに入る前から幻術を俺にかけて()めやがったな!

しかし、いつからだ?

宿を出てから魔力を感じなかったはず。




・・・いや、待てよ。ある。


ギルドに着いた時でも、ギルドへ向けて移動していた時でもない。ずっと前に、この目でしかと見たではないか。


宿を出る時、俺の方を向いて、俺がよく知る人物が魔法を使っていたではないか。

こちらに目を向け、指に火を点けていたではないか。


まさかと思った時、今まさに頭に浮かんでいた人物の声が誠一の耳に届く。



「油断大敵よ、セーイチ」



四人に気を取られていたせいか気づかなかったが、名も知らぬ四人の後ろから姿が現れる。

そして、誠一は自分の考えが間違えでないのを確信する。

俺の目の前に現れた人物とは、


「レヌスさん・・・」


俺のよく知る人物、宿〈小人の楽園〉の店主であるレヌスさんであった。


今回、レヌスとベルナンはグルであったのだろう。

あの時、宿から出る時に指に火を点けていたのも俺を脅すのが目的ではなく、ベルナンの魔力をカモフラージュする為か。

無駄に手が込んでいやがる。



俺は驚愕しつつ、しかし、どうしてもレヌスさんに聞かねばならない事がある。



「どうして・・・どうして、レヌスさん」



聞いていいのか、数瞬躊躇う。

だが、俺はその言葉を出さずにはいられなかった。



「なんでアンタも鎖で縛られているんだ?」



そう、レヌスさんは何故か俺と同様に鎖で拘束されていた。


「ふっ、私もこのざまよ」


「一体、何が?」


もしかして、俺と同じくワイバーン事件についてか?

しかし、この人はこれといって何も無かった筈だが。


「くっ、まさか孤児院前に衛兵たちが見張ってたとは・・・子供たちのあどけない笑顔に気を取られていたとはいえ、一生の不覚!」


「全然関係なかった!」


「でも、協力してセーイチの身柄渡したわけだから。これで無罪放免よね、ベルナンのお爺ちゃん」


「すみません。この人、豚箱にぶちこんどいてください、永久に!」


最低だ!最低すぎるだろコイツ!


「レヌス、あれは嘘じゃ」


「―――――ッ!?卑怯者!貴方にはプライドがないの!」


「お前が言うな!!」


他人からすれば、これ程までの茶番はないだろう。

てか、俺の周りにはゲスな奴しか居なかった。


そんな事実に地味にショックを受ける誠一。

そんな誠一に声をかける者がいた。


「ああ~と、そろそろ話をしてもいいか?」


どうやら名も知らぬ四人は茶番劇を見せられて、どうすれば良いか戸惑っていたようだ。

呆然としていた四人の内のひとり、灰色オールバックの男性が誠一に声をかけてきた。


「あ!はい、大丈夫ですよ。後ろのゴミは気にしないで下さい」


「いや、ゴミって。流石に言い過ぎ・・・でもないか」


俺は慌てて返事をする。

男性は俺の言葉を聞いて否定しようとしたが、後ろで(やかま)しい実物を目にいれ、間違ってないと同意してくれた。

うん、一応はまともな人そうだ。


灰色オールバックの男性はグダグタになった空気を立て直そうと、コホンと咳をし話を始めた。


「改めて、はじめましてBランク冒険者セーイチ。いや、久しぶりかな」


「・・・?」


「おいおい、忘れちまったのか?まあ、ワイバーンとかいろいろあったしな。ほら、祭の時の客だよ、祭初日の」


誠一ははじめ思い出せずにいたが、男性の言葉で気づく。


「あー!お客様第一号の!あの節はどうも」


たしか、祭の時に最初に料理を購入してくれた人だ。

グルメリポーターの如く、料理のコメントしていたのが印象に残っている。

しかし、何故ここに?


誠一は男が再び自分の前に現れたのか疑問を抱くが、その答は男の口から語られた。


「俺は都市バビオンの領主バース・シセだ。よろしくなセーイチ」


領主のバースの発言に誠一は思わず思考停止する。

だが、バースは誠一の反応にお構い無しに、後ろにいる他の三人の説明をする。


「で、こっちの鎧を着ているのは王直属騎士団団長ダンテ・グレトリー。そして、こちらにおわす二人はクロス王国第31代国王ウェルナー・クロス陛下、奥方のアリッサ・クロス王妃である」


どうやら、お客様は神様ではなく、とんでもない御偉いさんであったようだ。


読んで頂きありがとうございます。

更新が大変遅れてしまい申し訳ありませんでした。


しばらく不定期更新が続くと思われます


これからも粉骨砕身で頑張ります!


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