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17、 襲撃から三日後

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


ワイバーン戦が終わり、やっと料理に入れます

ダメな点がありましたら、どしどし言っちゃって下さい。


これからも粉骨砕身でがんばります!

〈ワイバーン襲撃事件〉


今年のバビオンの収穫祭にて王族が訪問し、近年で稀に見ないほどの盛り上がりを見せた。。

目玉である大道芸に差し掛かり、熱気は最高潮に達した。

そんな時に事件は起きてしまった。

突如、ワイバーンがバビオン襲撃。

一時はどうなることやらと思われたが、奇跡的に死者は出ずなかった。また、今回の事件で負傷者はいたが、これは慌てすぎて転んでしまっただけである。

事件は無事解決したのだった。



しかし、今回の事件にはいくつかの謎が存在する。



ひとつは、何故ワイバーンの接近に気がつかなかったのか。


都市バビオンの城壁では二十四時間体制で周囲を監視している。

それにも関わらず接近を許してしまった。

詳しく調査するべく、当日に監視を担当していた衛兵の話を伺ったが、


「断じて言うが、私は職務を怠慢していた訳でも、ましてや冗談を言っている訳ではない。体験した私でさえ自分の目を疑った。それほどまでに現実味のない話なんだ。あの時、ワイバーンは―――――」



『気づけば、何もない空から現れ、飛んでいた』



衛兵はそう供述した。

我々はその話を疑ったが、他の担当していた衛兵も同じ答えを返してきた。


(中略)


もうひとつは、ワイバーンが1日足らずで討伐されたことである。


これには、王直属の軍がいたという理由もあろう。

バビオン兵士がワイバーンを食い止めている間に、ワイバーン戦闘に参加した。(ワイバーン討伐数:約90体)


また、敵から我が身を呈して都市を守った、元SSランクのレヌス(ワイバーン討伐数:約45体)とギルマスであるベルナン(ワイバーン討伐数:約65)が居たこともあろう。


だが、一番の理由は別にある。



約100体のワイバーンが一瞬で打ち倒されたのだ。



ワイバーンは乱雑に切り刻まれ、無惨な姿となり果てていた。

謎を追求するべく、城壁にいた兵士へのインタビューをした。

だが、


『竜巻が全てを飲み込んだ』

『気づいていたら、終わっていた』

『近くには誰もいなかった』

『あれは神罰だったのでは』


などと、どれも要領を得ない回答しか返って来なかった。

一体、誰がやったのか?そもそも人の仕業なのだろうか?



今回の事件は魔界からの攻撃ではないかと噂が流れるが、確かな事は解らずじまい。

謎を解き明かすどころか、謎は深まる一方である。

今後先、このような事件が起きないことを私たちは心から祈るばかりである。


※バビオン週刊誌より抜粋



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



とある薄暗い部屋。

窓は無く、部屋を照らすのは火が灯された蝋燭のみ。

その閉鎖的な空間には、大きな円を描く円卓と二人が。

だが、座っているのは一人だけ。

椅子に座る人物の顔は暗いせいか、影に覆われ見えない。

もう一人は男。ビシッと背を伸ばして立ち、座る者と向かい合っていた。

そして、(たたず)む一人が事務的に説明を開始する。


「では、報告致します」


「今回、我々がバビオンに差し向けたワイバーンの数、300」


「ワイバーンには、『蜃出奇没(ファントム)』が捕らえている脆弱な魔人により改造を施しました」


「指定したポイントはバビオンから三km離れた草原」


「戦闘に参加していたのは、バビオン兵士約1,500人、王直属部隊2,000人、そして元SSランク〈月狼〉レヌス、バビオン支部ギルドマスターのベルナン」


「クロス王国の懐刀、〈剣聖〉は姫の側で護衛を継続。ワイバーン討伐には参加せず」


「ワイバーンを討伐された数、300。バビオン死亡者、0」


「討伐されたワイバーンはギルド、王直属部隊に回収しました」


男の淡々とした解説。

椅子に座っている人物は一言も喋らず、黙って聞くままだ。

そして、男はまとめに入った。



「以上より、第一作戦は()()という事です」



男は無表情な顔を一切変えず、そう言い切った。


投入したワイバーンが倒され、被害を出せなかった。

それにも構わず、男は『成功』と言った。


男が報告を終え、口を閉ざし、部屋は沈黙が降りる。

だが、


「『蜃出奇没(ファントム)』の方はどうなっている」


今まで口を閉ざしていた影が男に問いかける。

男は目の前の人物からの突然の発言に、眉ひとつ動かさず、対応する。


「反魔王政府派の貴族を順調に動かしている模様。それと、脆弱な魔人を脅迫し、葛藤する様を見て楽しんでいます」


影は『脆弱な魔人』とは誰か解らなかったが、数秒の間黙考し思い出す。

確か、コカトリスを蘇らした魔物に詳しい魔人だったな。

その魔人の損得勘定をし、男に指示を下す。


「アイツの悪い癖だな。・・・あの魔人は、まだ利用価値がある。『蜃出奇没(ファントム)』にはやり過ぎて殺さぬように言っておけ」


「了解しました・・・」


「どうした?」


報告を受けていた影は、男の顔を見て、何か考えているのに気づく。

他人が見れば、男の顔は始終、無表情のまま。

だが、付き合いの長い影にとっては、男のほんの些細な表情の変化があったのが分かる。

しばし、言うべきか悩むが、男はある懸念を打ち明けることにした。


「ワイバーン100体を一瞬で討伐した者が今回現れました。しかし、何故かその者が確認できず、分からずじまいです」


「分からない?」


「はい。魔法は観測できましたが、魔法を行使した者が観測できませんでした。かなりの使い手かと。 ・・・どうしますか?」


「・・・放っておけ。やぶ蛇に成るやも知れないからな。それに、今は計画の方が優先だ」


「了解しました。では」


「ご苦労であった」


男は一礼をし、部屋を退出した。


男は去り、部屋に残るは一人のみ。

影は椅子の背もたれに体を預け、その者について思案する。


出来ることなら引き入れたいが、難しいであろう。

男の目を欺き、一瞬でワイバーンを始末。


己の前に突如現れた異物。


「・・・・・・一体、何者なのだ?」


影は、そう呟いた。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


謎に包まれた人物が思案している頃。


男の目を欺き、ワイバーンを瞬殺した当事者、誠一。

化物すら尻尾を撒いて逃げる程のステータス。

神の手によって生み出されたガルテアのバグ。

現在、影の貢献者である彼は、どうしているかと言うと――――――




「俺は、無実だァァァァァ!へるぷみィィィィ!」




何故か鎖で拘束され、自分の身の潔白を訴えていた。



第弐章 ~完~


『料理人は異世界へ渡る!』も投稿し始め、早3ヶ月。


何と、気づけば10万文字を突破しておりました!


ここまで来れたのも、読者の皆様のお陰です。

本当にありがとうございます!


これからも頑張りますので、よろしくお願いいたします!

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