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閑話 日記

4月13日


私ことブーケにとって、今日はとにかく疲れる一日であった。

かつてないほど疲れた。

唯でさえ初めての受付仕事だったのに、悪評ばかりの人達がたむろしていたのだ。

だが、最大の問題はそれではない、セーイチさんだ。

テンパる私をからかい、喧嘩を吹っ掛け、一日も経たずにBランク昇格など。

とにかく、私の容量をオーバーした夢・・・いや、悪夢のような一日であったのは間違いない。

帰ったら、早く寝よ。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


4月14日


セーイチさんが、また私の前に現れた。

ギルドマスターの伝言を伝えたら、子供のように行きたくないと駄々を捏ねられた。

このままだと、私まで怒られてしまう。

私が泣いたフリをして、なんとか重い腰を上げた。

断じて、本当に泣いた訳ではない。

泣いてないったら、泣いていない!


全くもって、あの人は私の疫病神だ。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


~~~~~~~~~~~~~~


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


4月19日


セーイチさんとギルマスが二階の部屋で何かしている。

何をしているかは分からないけど、絶対に何かしている。

朝早くにマスター室に入ったかと思うと、お昼頃には出てくる。

どこか疲れた表情で服が少しはだけて、依頼を受けて去って行くのが、ここ最近の日常だ。


先輩なら何か知っているのではないかと思いきいてみた。

だが、「どっちが受けで、どっちが責めだろう・・・だが、どっちでもイイ!」と腐った目で自分の世界にトリップしてしまった。

私は先輩を放置して、仕事を続けるのだった。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


~~~~~~~~~~~~~


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


4月23日


もしかしたら、セーイチさんは良い人なのかもしれない。

騒動の一件でBランクになって、報酬の高い依頼をいつも受けている。

だが、何故か一緒に都市の住人の手伝いなどの報酬の少ない依頼も持ってくる。

老人や子供の面倒見、荷物の運搬など、他の人が嫌がるような依頼ばかりをだ。

疑問に思い、セーイチさんに聞いたら、


『こういうのって他人からしたら些細な事でも、依頼者本人からしてみれば、大事(おおごと)だからな』


まあ、自己満足なんだけどな、と苦笑しながら答えた。

私は少しだけセーイチさんを見直すのだった。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


~~~~~~~~~~~~~~


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

5月2日


セーイチさんは良い人です!

最近、有名になっているフレンチトーストを私にくれたんです。

喉から手が出るほど欲しかったのだが、売り切れてしまい手に入らず、一度も食べられなかった。

何だか、ハナミ様にと思っていたがあげる、と言って渡されたが、ほとんど会話は覚えてない。


セーイチさんから貰いすぐに、我慢出来ず一口食べると、あまりの美味しさに声をあげてしまった。

そんな私の様子を見たセーイチさんは嬉しそうな顔をして、また持ってくると約束してくれました。


市民の方からも評判高く、セーイチ様は神様みたいな人です!

疫病神?誰ですか、それ。


私はまた次のフレンチトーストを楽しみに仕事に励むのだった。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆



ギルドマスターのベルナンは受付嬢のブーケの一ヶ月分の活動報告書を見て、


「いや、何故に日記風なんじゃ・・・」


一人、書類にツッコミをいれるのだった。


その後、ブーケはこの事で先輩にコッテリ絞られたそうだ。

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