閑話 仕返し?
多くの要望・疑問があり、鳥モデルのバジリスクから、コカトリスに変更しました。
迷惑をおかけして、すみません。
「ヘックシ!・・・今、誰かの叫び声が聞こえたような」
真っ白な空間。
そこには、机と椅子に座るハナミがいた。
ハナミは、何もない空間から、ちり紙を取り出し、チーンと鼻をかむ。
どこらかか声が聞こえた気がするが、気のせいか、と意識を机に戻す。
目の前の机の上には、紙が2枚置かれている。
紙に書かれた内容は、誠一のステータスと転生後に起きた出来事である。
誠一のガルテアでの出来事は、このように自動で紙に記されていく。
あの世、つまり、神界では全ての人間の人生は、こうして保存されるのである。
ハナミは、誠一について記された紙を手に取り、目を通す。
冗談みたいに、高すぎるステータス。
上空4000mに転送。
コカトリスと遭遇。
読み進めば進むほど、ハナミは青ざめ、冷や汗が流れる。
「これ、バレたら上司に怒られるかな・・・・・うん、怒られるな」
設定をミスし、転生初っ端から殺しかけてしまった。
しかも、適当に決めた能力が、あそこまでパワーに傾くとは・・・・
これじゃ料理人より、覇王の方が似合っている。
実質、誠一がその気になれば、1人で世界征服するのだって夢ではない。
それ程までに巨大な力を与えてしまったのだ。
過去の自分を殴りたくなる。
だが、悲しきかな。この能力のおかげで、誠一さんが死んでしまうという大失態を犯さずにすんだ訳だ。
何とも皮肉な話である。
「とりあえず、誠一さんに謝っておこう」
ハナミは気持ちを切り替え、行動に移す。
ハナミが虚空に右手をかざす。
すると、いつの間にか、ハナミの手にはピンク色のスマホが握られていた。
誠一が所持するスマホとは色が違うだけで、全く同じ機種。
謝罪のメールを打ち始めようとし、電源を入れると、
『誠一様から供物が届きました』
無機質な音声が流れた。
供物?と思いつつ中身を取り出すべく、回収ボタンを押すと、
ハナミの真上に、およそ千本ものコカトリスの羽が出現した。
「へ・・・?」
現れた羽はしばらく空中に停滞していたが、重力に従い運動を始める。
鋼鉄の羽の真下には、ハナミがいるわけで、
「にょわああああああああ!?」
ハナミの叫びと破砕音が、白一色の空間に空しく響いた。