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9、猿でも出来る悪魔召喚

学園内、Fクラス教室。

葉子達の元から戻ってきたが、しかし、そこにはいつもの騒がしさは無かった。


「…………」


誠一は無言で教壇に立っていた。


女子生徒からは冷たい視線を、男子生徒からは羨望の眼差しを。

静寂の中、一身で受けている。


理由はこれだ。


「ねぇ〜、さっきから黙っちゃって。私、つまらないわ〜」


誠一の隣、そこにいたのは妖艶な美女。

しかし、ただの美女ではない。


ふわふわ空中に浮いてるし。

悪魔みたいな角と羽と尻尾が生えてるし。


そして、その美女はこちらへの首へと腕を巻き付けて耳元に囁いてくる。


「ねえ、一体これから何をするのかしら?暇なら宿に戻りましょうよ。……今ならサービスしてあ・げ・る」



ガタガタッ!



その言葉に男子陣が食いつく。

ジーンは興味ないふりして美女をちらちらと見て。

アンディーはガッツリ見て。

セシルはブリッジで股間を天に上げて……最後のはいつも通りの意味不明だな。


対して、女性陣。

ココは少し冷やかな目を向け、アビゲイルは「あらあら」と顔に手を当ていつむの笑顔。

リッツはペンを握って何かを描いているが、想像したくない。

カレンは「はわわ」と顔を赤らめ、顔を隠す指の隙間から見ている…………そういや、カレンは男だった。





あれは……そう、葉子さんとココの話が終わった頃だったか。


「……ん、むぅ」


葉子さんの手刀により気絶していた薊さんがムクリと起き上がった。


……本当に頑丈だな、この戦闘巫女。


「はい。お茶です」


「あ、これはどうも。かたじけない」


俺は薊さんへとお茶を手渡す。

ズズッとお茶を一飲みして、


「────と、そうではなく!あの方が!」


薊さんがガバリと立ち上がり、ココの方へと向かおうとする。


だが、そこに強制的に待ったがかかる。


「へい、ちょっと待ち」


「わっ!?な、何をするこの悪霊憑きが!」


走り出そうとした薊さんを、ハーフエルフであるウォーレスに取り憑いたジョージがひょいと薊さんを拘束する。


……まるで合気みたいにあざやかに転ばせて極めたな。


流石は元勇者。

肉体はウォーレスさんの物の筈なのに、その細腕で鮮やかなお手口で。


「何をするってねえ。あのね、人には隠したいことの一つや二つはあんのよ。それを関係の無い他の人がとやかく言う権利は無いの」


「関係の無いだと!私は葉子様の護衛で」


「その護衛対象の葉子がお前を気絶させたんだ。忠臣なら、不器用ながらも汲み取ってあげろよ」


「……そ、それは」


元勇者であり、そして、元学園長であるからだろうか。

諭すのが上手いのか、ジョージの言葉に薊さんは落ち着いていく。


ジョージが手を出してなかったら、俺による手刀の強制シャットダウンが待っていたので、正直助かる。


「……どけ、悪霊憑き。もうやらぬ」


「あいよ。ただ、その悪霊憑きって言葉よせ。俺は健全な幽霊だ。そう、ちょっと無断で他人の身体借りてるだけの」


「それのどこが健全だ!悪霊そのものではないか」


……まあ、そう言われると確かに悪霊だな。


エクソシスト案件である。

俺も共犯なので、とやかく言えないが。


薊さんの衝動の矛先がジョージに向きそうな雰囲気に、ジョージはこちらを指差し抗議する。


「いやいや。この身体に取り憑けたのは誠一だし」


「ちょっ、お前!」


なすりつけて来やがったコイツ!

まさかのその言葉に、ギロリと薊さんの目が俺に向けられた。


「……誠一殿、よもや本当ではなかろうな」


「いや!?そ、それは……」


真っ直ぐジーと睨まれ、目が泳いでいるのが自分でも分かる。

本当の事なので、否定出来ないし。


「邪な魔を従っているとは分かってはいたが……よもや、誠一殿」


「と、ところで!さっきから気になってたんですが!」


「うぬ?」


このままだと刀に手をかけ尋問されそうだったので、慌てて話を逸らしにかかる。


「その……そう!薊さんが前にも言ってた『邪な魔』って一体何ですか?」


「とぼけている……訳ではないようだな」


そらす為とは言え、本当に気になっていた事でもある。

俺の是非とも聴きたいといった節を感じとってくれたのか、薊さんの警戒心が薄れていく。


「本当に心当たりは無いのですか?」


「ないない全くない。そもそも魔って何です?」


「魔は魔だ」


そらすことに成功したとは言え、要領を得ない回答だ。

しかし、ジョージは違ったようで。


「邪な魔……従わせてる…………あー、もしかして悪魔召喚のことか」


「知ってるのかジョ、じゃない、ウォーレス?」


便利なジョージ。

一家に1人は欲しい高性能。


しかし、


「悪魔って、あの悪魔?魔族のか?」


「そう、その悪魔」


悪魔。

魔族でもあり、精霊のように精神体でもあり、そして時には人間と契約もするという、言葉にすれば何とも曖昧な存在である。


本来、悪魔は精神だけの存在であり、この世界とは別の次元に存在しているらしいが。

中には受肉し、魔族として存在する者もいるらしい。

そして、その血を受け継ぐ者も、一応であるが悪魔と呼べる。


「悪魔召喚。悪魔を呼び出して、交渉・契約を行い従者とする儀式の1つだ。悪魔は強大だからな。味方にすれば心強い助っ人だ」


「でも、その割には授業のカリキュラムに取り組まれてないな」


「下手すれば契約出来ずに殺されるからだ。それに聖王国が当時は煩かったからな、この儀式」


聖王国って、確かベルナンが心底嫌いな宗教大国だったか。

ジョージの話からでも思ったが面倒くさそうだし、行きたくはないな。


触らぬ神に祟りなしってな。


「で、その悪魔召喚だが……本当に心当たり無いのか?」


「いや、今知ったし」


「……本来なら見破れんだが、まだ、そこまで深く馴染んでないしな」


お手上げのばかりに俺たち2人は、薊さんの方を向く。


「そもそも、どうして薊さんは悪魔と俺が契約してるのが分かったんです?」


「どうもこうも、誠一殿の右の手の甲から、魔の臭いが漂っているもので……そうですね。誠一殿、しばし失礼を」


薊さんはそう言うと、こちらの右の手を取り呪布を貼る。


「"隠されたものを曝け出せ"、急急如律令」


その祝詞に、ピリッと静電気が走ったかのよう感覚が右手へ。

そして、手の甲が見れば、じんわりと何かの紋章が浮かび上がって来た。


「何だコレ、タトゥーか?」


「これが悪魔契約の証なんだが……ふむ、仮契約だな。ってことは何処ぞの悪魔が誠一の事を気に入ったから唾つけたんだろ」


「唾つけたってお前……嫌な表現だな」


そして、その事に全く気付いていなかった俺の間抜けさと来たら。

ボケてしまったかと心配になる。


「……それより誠一殿。普通身の覚えの無いものが出たら、まずは驚くものでは?」


「慣れてっからね、こういうの」


まあ、それは置いといて、


「どうするよ、これ。何か害あんの?」


「いや、この紋章から見るにお互いの位置がわかる程度だな。……それに転生者相手だと呪いやら害のある契約は弾かれて無効化させるし(こしょこしょ)」


「え、何それ初耳なんだけど(こしょこしょ)」


最後の方だけ薊さんに聞こえぬように小声で伝えられた情報は、何気に重大知識。


……そういえば、コカトリスの時も。


転生直後、空から落とされたエンカウントした初めての敵。

コカトリス。


あの時、コカトリスの石化光線を受けたが、何の変化も無かった。

まさか、あれにちゃんとした理由があったとは。


「どうしました誠一殿?」


「いやいや、何も。……しかし、害が無いって言っても気になるしな」


「なんなら呼び出すか」


「え?出来るの、そんな事?」


「仮契約だろうが、つまりは互いに魂のパスが通ってるからな。この契約紋からして契約してる悪魔の爵位が高いだろうけど……チョイと半強制的だが出来ない事はない」


「いやいや、そうだとしても。悪魔を此処に呼び出すってことだろ。何かあったら……」


「その時は拙者が叩き斬ります」

「潰せばいいだろ」


「…………」


やだ〜、この2人野蛮的〜。


「というか悪魔より化け物じみたお前が言うなよ、誠一」


「……さいでした」


心配するだけ無駄ってか。


それでも一応念には念をと、周りの生徒達に声をかけながら、俺たち3人を囲む様に障壁魔法を発動。


ココ達へと向いていた生徒達の視線が、距離をこちらから取りつつ誠一達の方を向く。


「ほら、誠一。さっさと悪魔を呼び出す魔法使っちまえよ」


「はいはい。サポートは頼むぞ」


「あいよ」

「任された」


「ふぅ────"汝、我が問い掛けに応えよ"、サモン!」


紋章に魔力を回し教わった通りに呪文を唱えれば、手の甲が輝き出し、


────ぽんっ!


おどろおどろしい音を想像していたら、真逆のポップな音が聞こえた。


そして、皆の視線の中で現れたのが、





「この魅惑ボディの黒ビキニ悪魔とは……」


「悪魔じゃなくてサキュバスよ。サキュバスのイリス・グラッス。失礼しちゃうけど……魅惑って言ってくれたのはちょっと嬉しいわあ」


「「「サキュバス!」」」


「はーい、男子ザワつかないザワつかない。……そして、女子勢はその汚物を見る目止めて。お願いです」


召喚してからずっとこの状態です、はい。


正直、女性の、しかも何回りも歳下の子に蔑まれるのは………芯からダメージが来るな、これ。


「はあ……泣きたい」


「あら、誠一。傷心なの?なら、後で慰めて元気にしてあげるわ。……勿論、下の方もね(ボソリ)」


「「「下の方!!(ガタガタ)」


「男子落ち着いてー!そして、女子。お願いだからその目止めてけろーーーー!」


この中で、セシルとリッツの2人だけが平常運転だ。


「あのー、グラッスさん?」


「やぁね、セーイチ。そうじゃないでしょ?」


「……おほん。イリスさ『さんは無しよ』……イリス」


「はぁい、何かしら?」


名前を呼ぶだけで、何でか疲れる。


「それで、あのー僕たちが知り合ったってか、契約した経緯を教えてくれますか?」


「またそれ〜?まあ、良いけどね」


くそう!

いちいち挙動が艶やかと言うか、悔しくも目が奪われる。

これが男のサガか。


「あの夜は満月だったわ。いつもと同じ夜かと退屈していた私。けど、その日は貴方が私の前に突如として現れたわ」


遠出のクエストの最中に寝てただけだがな。

その時にご飯(※男)を散策中のイリスが睡眠中の俺を見つけた訳だ。


まだベルナンさんとの訓練の山場前の事もあり、油断が残っていたのがあるが。


「夢の中で貴方は私に今まで経験した事のない新しい世界を見せてくれたわ。あれを知ってしまったら、貴方を手放せるはず無いじゃないの」


「「「新世界!(ガタガタ!)」」」


「何回騒げば気が済むんだお前ら!」


もう良いよ、男子!

接着剤で椅子とくっつけるぞ、畜生!


「初対面からも、ちょくちょく夢の中に失礼させて貰ってたわ」


「何回も夢で観てたが、まさか本当の事だったとは」


心当たりのある記憶にガックシきていると、そこまで静観していたジョージ(In ウォーレス)が話に加わる。


「なるほどな。定期的に誠一の夢の中に入りたかっただけね。それで仮契約だったのか」


「そうよ。まさか、呼ばれるとは思わなかったけどね」


ジョージの言葉にイリスがそう答え、しかし、何かが気になるのかイリスがジョージが入ったウォーレスを睨む。


「貴方、もしかして御同輩……と思ったけど、違うわね。精霊でもないし、悪魔でもない……ふふっ、面白いわ」


……イリスさん、まさか気付いてるのか?


対するジョージは臆する事がない。


「さあ、何の事やら。しかし、サキュバスでイリスねぇ。しかも、契約主義の悪魔がフルネームとは……おっと、呼び捨ては無礼だったかな()()()


「────ふふ。貴方、本当に面白いわね」


ジョージの意味深な発言に、イリスは蠱惑な笑みを浮かべるのみ。

しかし、その笑顔の中にある目が笑ってない。

ギラリと鈍く光るナイフの如く、鋭さがあった。


何がなんだか分からないが、このまま放置すると2人が衝突しそうだったので、慌てて間に入る。

これ以上問題起こされても対応し切れない。


「ところで、ウォーレス!イリスさんに協力して欲しいことがあるんだろ!」


こうして女子からの冷たい視線に晒されながらもイリスさんに帰って貰ってないのはジョージの提案だ。


悪魔にしか出来ない事が有るとか無いとか。


誠一の言葉に、しばし間を置き、ふぅと鼻息を漏らすジョージ。


「……まあ、そうだな」


「あら、セーイチ。私にお願いかしらぁ?対価は何をくれるのかしらね。本契約しちゃう?」


「た、対価?」


……まさか魂的なものか!


寿命1000年分だとしても、それは困るぞ。

こういう言い方をすれば失礼に当たるかもしれないが、つまりそれは寿命を縮める行為であり、自傷行為に他ならない。

そうと誠一は考えている。


「命は困るんですけど?」


真剣に考えている誠一に対し、しかし、イリスは誠一の余りの真剣な表情にぷっと吹き出す。


「やだわ、セーイチったら。私はそんな乱暴な真似しないわよ」


「あれ、そうなんですか?」


「契約内容にもよるが、何も命だけってわけじゃねえ。精神体である悪魔は精神エネルギー豊かな魔力を求めたり、それこそ普通に飯も食べるしな」


ジョージが捕捉を加えるが、誠一は"精神エネルギー"という初耳ワードが気になっていた。


「精神エネルギー?」


「まあ、ぶっちゃけ言えば【感情】だな」


そう言うと、ジョージはチョークを手に取り後ろの黒板に文字を書き始める。


「精神体の食事方法は主に3つ。一つは精神の起伏をエネルギーとして変換、つまりは感情によって発生する精神エネルギーを吸収する」


「それが魔力に多く入っているのか。しかし、何でまた?」


「深くは解明されてないが。魔力は感情に呼応するからな。実際に実験を行い、怒りなど不快な感情を抱いてる者に魔法を放たせた結果、操作こそ雑になったが通常よりも威力が上がっていた。一説だが、魔力は人の感情から作り出されているなんて物もある」


ジョージは「まあ、これに関しては早計だと思うけどな」と付け加えながらも、黒板に図解していく。


いつの間にか授業みたいになってるが。


「感情からの精神エネルギーは、私たち悪魔からすれば生の食材。魔力は人の身体を経由して調理された料理みたいなものね」


「なるほど」


「感情と魔法の関係を示す代表例としては、怨みが起源となる呪いなどの呪法なんかが挙げられるが……少し話が逸れたか。2つ目の食事方法は情報体を吸収する」


「情報体……本でも読むのか?」


……先程から自分が質問して、まるで生徒みたいだな。


まだまだ勉強不足だと実感している誠一。

それに対して余り気にした様子もなく、そのままジョージは先生さながら説明を続ける。


「情報と言っても、書物からではない。それだと言語だからな。精神体が食べるのは記憶だ。記憶は感情を生成する元でもあるからな」


例えば、幼い頃犬に噛まれれば苦手意識を持ち、大人しい犬を前にしても怯えなどの悪感情を抱く。

アインシュタイン(いわ)く。

『常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう』


ジョージの解説に、イリスも誠一の首に腕を巻き付けながらも捕捉を入れる。


「私達サキュバスなんかの夢魔は大抵それね。夢は人の情報の整理だし、それを少し頂いてるのよね」


「それ、支障が出ませんか?」


「そこら辺はプロよ、サキュバスだし。障害が出ないよう、丁寧に扱ってるわ」


「なるほど……ところで、その当たってるんですがイリス……」


「ふふっ……当ててるのよ。気持ちいいかしら?」


「「「────!(ガタガタッ)」」」


「お前らはもう良いから、落ち着いてろ!」


しかし、まさか女性の方から『当ててるのよ』台詞を頂戴するとは。

少しだけ、男のサガ的な本音を言おう。


……御馳走様です。


凄く良い匂いもするし、このままだと虜になってしまいそうです!


少しでも意識をそらすべく、再度ジョージに質問をし、話を催促する。


「そ、それで最後の3つ目は?」


「それに関しては、さっき誠一が言っていたのだよ」


というと?


「魂とかの生命エネルギーから頂くのさ。動物だけでなく、植物などからも吸収可能で、だからこそ精霊は自然豊かな場所や霊脈近くに生息するとされている」


「受肉でもして、私みたいに現界している精神体だと、人間と同じ食事で生命エネルギーを摂取できるわね。鮮度が良い程により好ましいわ」


「ああ、だから悪魔って生き血とか好きなのか」


なんか納得。


「まあ……私は真っ赤な血よりも、白いせ『わーーー!』の方が好きだけど」


「何を最後にぶっちゃけてんだ!」


危うくナチュラルな下ネタ案件が発生しかけたので、慌てて大声を上げて打ち消す。


「何よ、セーイチ。ただの補足よ補足」


「どこが補足!?」


「……いや、でもな。あの男の白いあれこそ一億近い生命の塊だからなぁ。話的には繋がってんだわ、それ」


「あー……マジか」


否定し辛くなる情報追加すんなよ。


でも、女子が【※自主規制(ピーーーー)!】なんて言葉言ったらOUTです。

油断も隙も無いぜ。


ていうか、


「そもそも、何故『白いアイツら』の話になったのやら……」


「そういやそうだな」


「確か私にお願いがあって、対価の話になったのよね」


本当に遠回りしたな、おい。

良い勉強になったけど。


……今度生徒達にレポート課題として出そうかな。


「それで、私に何をくれるのかしら?勿論、セーイチの熱いせ───」


「それ以外で!」


又もや危うげワードをぶっ込みそうだったので、早めに潰す。


イリスは【※自主規制】が断られたのが面白くないのか、少し不満げだ。


「ちぇ、ケチねぇ……少し2、3回擦る程度じゃない」


「そんなに俺のは速くないわ!…………じゃなくて!」


「冗談よ。安心して、男は速さじゃなくて回数よ」


「下いネタ禁止!」


「イリス先生!他にはどういった点が女性的にポイント高いでしょうか!」


「セシル、お前は黙ってろ!」


「そうねぇ……そんな質問をしない男性かしら」


「がふッ!」


「「「真っ向から否定された!」」」


イリス……最後の方、真面目トーンだったぞ。

冷ややかな解答に、流石のセシルも血反吐を吐いて机に突っ伏した。


「容赦無いなぁ……」


「そもそもよ。ねぇ、セーイチ」


あまりに哀れなセシルに合掌していると、イリスがこちらを向く。


「そもそも、何を私にお願いしたいの?」


「それは……えーと、ウォーレス?」


ここまで来てなんだが、俺も詳しくは知らない。

なんせジョージの提案だし、何を狙っているのか分からない。


誠一の視線を受け、ジョージは言葉を引き継ぐ。


「話は単純だ。……妖精の園に連れてってくれ」


……妖精の園?

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