表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/119

6、オンユアマーク


本当、女神ハナミ様からのチート能力様々である。

何たって服を金属に、それもドリルに変化出来てしまうのだから。


「やっぱドリルは男の浪漫にして、万能だな。流石ドリル」


そのせいで上着をダメにしたけどな。

あの時、能力の【森羅万生】で腕に巻いた服をドリル状の鉄に変換。

後は、俺が料理で使う得意魔法フードプロセッサーの応用をし、回転させることでドリルと化した服によって地中から脱出。


……ちょっと、後頭部焼けたけどな……。


ホント、ギリギリだった。


いやまあ本音言えば、あの攻撃食らっても死にはしないし、それどころか怪我すらしない。

常に弱体化魔法掛けているが、それは攻撃力の面だけで、防御面なら頑丈のままだからだ。


しかし、身体は無事でも、それ以外は無事ではない。

つまり、服は燃える。

服だけが燃える。


そして、灰の中から産まれた時の状態で俺爆誕。

コレが鳥なら不死鳥だと崇められるが、

コレが人だと露出狂だと蔑まれるのだ。

ただでさえ冤罪なのに、下手すると炎の中から全裸で登場、マッパーイリュージョンからの留置所で変態の汚名を被る所である。


まあ、それは置いといて。

巫女さんの方を向いて本題に入ろう。


「今ので確信出来た。……あんたの魔法の、術の仕組みが」


……なんて、格好つけているがジョージから事前に陰陽術が存在するって教わってたし。

しかも、存外にもこの思想は料理でも馴染みのあるものだ。


「五行思想だな」


五行思想とは、万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという説である。

そして、この5種類の元素は、互いに影響を与え合い、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環するという考えが根底に存在する。


刀に着物で巫女と来て、最後に陰陽術って。

まるっきり日本ファンタジーじゃねえか


「水は木を、木は火を生み出し。だからこそ、金は木を抑え、打ち克つ」


五行の互いの関係には、「相生」「相剋」「比和」「相乗」「相侮」という性質が存在する。

その内の相生と相剋。


相生は順送りに相手を生み出して行く、陽の関係。

相剋は相手を打ち滅ぼして行く、陰の関係。


だからこそ、此方の放った"水"魔法を"木"の檻が吸収、その後強化され、更にそれにより"炎"の斬撃が威力が上昇した。

相生だ。


そして、ドリルは"金"。

金は木を殺す。

故にこそ、女神から貰った能力でドリルを生成。


……なんて偉そうに言ってるが、行き当たりばったり半ば賭け的な選択であったわけである。


あと、今更過ぎるが。

この女性、間違いなく準達人級だ。

俺が泊まる宿アモーレに居るオカマメイドのジョディさんが達人級。

そのジョディさんの息子のガルダナ(全力を見たこと無いが)が準達人級であり、この巫女さんはガルダナと勝らずとも劣らないレベルだ。


先の木の檻も、五行思想で考えれば、こちらが炎の斬撃に対して水魔法を使うのを妨げる為のものだし。

ドリルじゃなく、土魔法で穴掘って逃げようにも、五行思想的には"木"は"土"を抑えるものだ。恐らく土魔法の威力が削がれ、脱出までに間に合わなかっただろう。

良く出来ている。

単純な子かと思っていたが、存外巧みだ。


などと感心していると、居合の構えのまま巫女さんがこちらに声を送る。


「陰陽術を知らぬと言うのに、術を使い。しかも、その螺旋描く円錐の得物……どこから出した」


「それは企業秘密って事で」


答えをはぐらかしながら、俺はそろそろ終わらせる為に手を打つ。


おもむろにドリルを自分の背後へと、突き刺す。

巫女さんは居合の構えを変えず、こちらはそれに構わず構える。

肩幅程に開けた両手を地に着く。

左足を伸ばして後ろ、深く突き刺したドリルに足裏を這わせる。対して、右足は膝を曲げて前に。

それは武術の構えでは無く、俗に言うところの、クラウチングスタートの構えである。


「何のつもりだ」


聞かれたからには答えるのみ。


「もう逃げるのは止めた。────一瞬だ。一瞬の内に其方の懐に入り無力化させて貰う」





男の目線はこちらに向いている。

しかし、それだけだ。

背中をこちらに見せるその姿は余りに無防備であった。


逃げも防御を捨てた、捨て身の構え。

それは自信の表れか、それとも愚者の行動か。


敵の真意は分からないが、狙いは分かる。

一直線。男の言葉通り、此方の懐への飛び込み。

拙者の背後、その延長線上には葉子様が居る屋敷。

先程も屋敷へと駆けていた。

男の突進を避けるのは簡単だ。


……しかし、それでは葉子様へ敵を通してしまう事になる。


つまり、迎え撃たねばならぬ布陣。

奴め、拙者と屋敷が一線上になるのを狙って地中から出てきたわけだ。


だが、それでも愚策と敢えて言う。

こちらには得物があり、あちらは無手。

勿論、奇怪な円錐の武具?のように突如得物を取り出せるのかもしれぬ。


だが、奴が疾駆の構えをとった際、既に拙者の準備は万全のものとしている。

故に、問う。


「その攻めが通ると思っているのか?」


「なんだ?通らないと思ってるのか?」


返ってきた言葉は、一縷(いちる)の疑念など無いものであった。

即答するとは思ってもおらず、そして敵は更に言葉を重ねる。


「今までアンタの刀が当たったか?さっきの焔刀一閃とやらは?俺に致命打を与えられたか?」


挑発とも取れる言葉。

しかし、拙者の心に波は無い。

むしろ、神経が研ぎ澄まされていく。


「確かに。その事実に返す言葉は無く。故に、次の一刀にて返礼致そう」


例え、敵が何を繰り出そうとも、それごと叩き斬る。


此方の覚悟に、敵は不敵に笑う。


「そりゃ結構。俄然、ヤル気が湧いてきた!」


その言葉に呼応するかの如く、男の脚部に魔力が集中していく。


「─────位置について!」


辺りが静まり返り、唯一響くは男の掛け声。


「─────よーい」


……いつでも来い!


地の利はこちらにある。

拙者の周り、その地中には幾枚かの呪符が仕込まれている。

先の木の檻も地に埋まったこれによるものだ。

準備は事前にして万全。


故に、油断はしない。

一挙一動、瞬き1つすら見逃すものかと眼を見張る。


敵の足に魔力が集中していくのを感じ取り、ギギギと大腿筋が張り詰め解き放たんとされる。

そして。


……来る!


「─────どんっ!!」


地を()る一足が、踏み込まれた。





「ベルナンさん、闘いの中でフェイントとかどうやって上手く引っ掛けるんですか?」


「経験と勘」


「……身も蓋もねぇ」


「上手い下手あるが、こればっかりはその2つじゃな。……まあ、お主でも騙すというか、"虚を作る"ことは出来るかの」


「虚を作る?……虚を突く、じゃなくて?」


「虚を突くなぞ、まだお前さんには早いわ。ほれ、コレを見てみぃ。高いから壊すんじゃないぞ」


ひょいと、こちらに野球ボールサイズの黒い玉を山なりに投げられる。

高いから壊すなって、ならぞんざいに扱うなよ。


それでも投球のコントロールは的確で、俺は落とさぬよう注意して慎重に受け取ろうとして、




ドッパアアアッン!!




それはもう見事に目前で爆発した。


「────────ッ?!!」


結構な爆発だったが、ダメージは無い。

だが、玉に注視していた事もあり、予想もしなかった閃光、爆音に、呆然としてしまった。


そして、気付いた時には自分の首にベルナンがナイフを当てている。


「ほれ。まあ、簡単に言えば"ねこだまし"じゃの。シンプルじゃが、存外にも相手が集中してる時には効果絶大なんじゃよなコレ」


なるほど。

聞くと、実際に経験するとじゃ説得力が違うな。


「でも、今回のように爆弾とかだと警戒されるんじゃ」


「それなら音のみや、光だけでよい。集中状態にいきなりの轟音は錯乱させるには充分なんじゃよ」


フラッシュバンみたいなものか。


「ま、一回こっきりしか使えぬ小技じゃし。セーイチの場合、1人じゃと上手く行かぬから、お主がねこだましして、他人に強襲してもらうのが妥当じゃな」


「……なるほど」


話はひと段落着いた。

流石は歴戦のギルマス、とても含蓄のある稽古だ。

ところで、


「……ベルナンさん。このナイフ、新しいですね。それにデザインも良い」


「お、分かるかのぉ。結構、これ値がはったんじゃ────」


「せい」


話の途中だったが、取り敢えず顎でナイフを折る。


「のおおおおおお!?何してくれたんじゃい!!」


「ウルセェ!爆弾投げるよりはマシだろうがよ!」





一歩に全てを掛ける。


二歩目は考えない、それぐらいの気概で行う。

倒れても良いと思うほどの捨て身での踏み込み。

爪先からではなく、足裏全面使ったベタ踏み。


足には身体強化魔法だけでなく、足底に音波拡大の魔法陣を重ね掛け。


地へと叩きつけられた足は、靴が耐えられずまず弾け、一歩は地を割る一撃へとなり、そして拡大された音が、



─────────ッッッ!!!!



一帯を揺らす怒号となり、空間を支配する。


「………?!」


特に誠一へ誰よりも一心に集中をしていた巫女さんには効果が最も的面。

そのうちに危うげになりながらも、何とかバランスを保ち二歩目。


2人の距離はもう先の半分にまで縮まる。

あと一歩。


だが、


「────喝ッ!!」


……一瞬で立て直しやがった!


気合一新。

確かに隙は生まれたが、それは一瞬。

大きめな猫騙しと変わり無いとは言え、少なからずダメージはあった筈。

にも関わらずこんなにも速いとは。


凄まじい胆力。


三歩目は止められない。

バランスの崩れた二歩目。

勢いを殺す事など不可能。


無理に転んで避けるか───不可能だ。

巫女さんは更に俺を凝視し目を離さず、例えこちらが避けようとする前に、この首に一刀が叩き込まれる。

それ程までの執念。



結論、俺は巫女に対し何も出来ない。



止まらない。誠一の三歩目が踏み込まれる。

それ即ち彼女の刀の間合い。

同時に、巫女さんが刀を抜き放とうとし、






故にこそ、突如地面から突き出された無機質な四本の腕に巫女は対応が出来なかった。


『『────確保!』』


「何?!」


想像だにしなかった不意打ちに、巫女さんは為す術も無く腕と足を掴まれる。


「な!しまっ───!?」


拘束を振り解かれる前に、そのまま巫女さんの懐に飛び込み、スマホからコッソリ取り出しておいた拘束具の腕輪をはめる。


腕輪は巫女さんに装着されると同時に展開し膨張、巫女さんの身体をグルグル巻きにして動きを封じる。

猿轡も噛まされ、モゴモゴと何か言いたげに暴れる。


「……はあぁ〜、クッソ疲れた」


『『お疲れ様です』』


そう言葉を掛けるのは、俺が作ったゴーレム。

カクとスケだ。

地面から巫女さんを掴んでいたのもこの2人。


「「わっふー」」


そして、カクとスケが現れた穴から続けて出てきたのは、2匹のコボルト達。


タネは簡単。

木の檻から地面を掘って地上に出る途中に、この2人を置いてきたのだ。


すっかり農夫が定着しつつある人型ゴーレムのカクとスケを召喚。

俺が気を引かせつつ、コボルト達に穴を掘らせ、巫女さん近くまで移動させる。

そして、轟音が聞こえたらそれを合図とし、飛び出るように指示しておいたのだ。


他力本願?卑怯?

そんなもん知らないね。


俺は料理人だ。

勝てば良いのさ。


調理補佐用ゴーレムとは言え、そこそこ頑丈な造りにしたのは正解であった。


「ぐぅうう」


「傷つけないので安心して下さい」


彼女に装着させたのは魔力封じの手枷。

これにより魔法を使おうとしても魔力は霧散し、魔法を行使する事が出来ない。


魔力封じの拘束出来たので、これでひと安心。


……さて、さっさと葉子さんに誤解を解いて貰うか。


刀を回収しつつ、このまま巫女さんを放置するのも気まずいので、直ぐにでも葉子さんの屋敷を向かい足を進める。


「あ、そうだ。カク、スケ。一応、巫女さんを見張ってく────」


振り向こうとした時だ。

後ろから、ガキンッと何かが壊れる音が響く。


は?と後ろを振り向けば、蹴り出された足で視界が埋め尽くされていた。





鼻頭を擦りながらも、海老反りをして何とか避ける。

考えての行動ではなく、訓練による本能行動。

訓練で培われ、避けることに関しては自信がある。


「……よくあの状況から避けられるものだ」


「それはどうも……避ける訓練は死ぬ程したおかげかね」


平然を装っているが、内心動揺しまくりである。


魔力封じた筈なのに、なんで拘束解かれたんだ?

魔法のミス?いや、それはない。


この手枷は変人共で実証済み。

ベルナンさんを衛兵に手渡す時に何度も使って、慣れている技だ。

ベルナンさんも脱走出来ずに凄い顔でコチラ睨む程だし、俄然ぬかりは無い。


そもそも、彼女から魔力の動きは感じない。

にも、関わらず、


……先程とは比べ物にならない程に疾いってどういう事だよ……!


考えても解らない。

なればこそ、思考を一旦放置して行動に移る。


「カク、スケ!」


『『御意!』』


彼女の左右からカクとスケが掴みに掛かり、動きを止めさせる。

ナイスアシストだ!


地面へ魔力を流し、魔法によって形成された土が壁となり彼女の四方を囲むように隆起する。


目的は彼女の拘束。

壁は半球状に覆い包み、しかし、その役割は数秒と持たずに粉砕された。

それも素手でだ。


……結構硬めに作った筈だろ……!


「この姿まで晒す事になるとは……不甲斐ナいばカリだ」


「……角?」


見れば、振り乱した髪を掻き分け、二本の角が生えている。

その角は炎のように燃えさかる紅蓮の色。


それに呼応するかの如く、目は血走り、息が荒い。


そして、手に掴んでいた物をこちらへと投げる。


投擲かと警戒するが、そうでは無かった。

放物線を描いて、自分の横に2つの物体が落ちてくる。


それは、


「……!カク、スケ!」


『『……し……謝罪……』』


頭部だけと化したカクとスケ。


手で引きちぎったとでも言うのか、この巫女!?


角の生えた姿の変化だけでなく、彼女の中で何かが根本的に変化しているのな肌で感じ取れる。


「ぐ、グウゥ……こ、コは通シはしナイ!」


(……どうする、弱体解除するか……?!)


明らかに巫女さんの理性も薄まりつつある。

これは放置すると明らかに不味い。


俺はまだ良いとして、生徒に危害がかかる可能性も無きにしもあらずだ。


一瞬躊躇し、だが、後ろ髪を引かれながらも決意する。


「イくゾッ!!」


「……くっ!弱体解────」


「────そこまでじゃ、御主ら」


フワリと両者の間に遮る者が現れた。

その者は稲穂のように黄金色の尻尾と耳を揺らし、扇をかざしている。


「双方、武器をおさめよ」


「よ、葉子さん!」


この地に来た理由である天照 葉子さんであった。

Q:Qと〜

A:A先生の!


Q & A:教えて、お料理コーナー


Q:遅いですが、皆さん明けまして

A:おめでとうございます!いや、新春一発私達2人!これは目出たいよ!


Q:有りましたね、またこの企画


A:二重の意味で目出たいぞ、本当に!酒だ、女だ!舞妓呼べええい!


Q:煩い


A:げべえッ!?杵が、みぞ……みぞおち入った……


Q:昨今は除夜の鐘ぐらいで騒ぐ暇人もいるんですから。ほら、さっさといつもの行きますよ


A:あ、あんましその話題に触れないの……



Q:料理における五行思想ってどんなの?

A:日本料理は、源に古代中国の「陰陽五行思想」があるんだ。季節の食材を、五つの味(五味)、五つの色(五色)、五つの調理法(五法)によって、彩りよく美味しくなるように上手に組み合わせて作り、それを食べることで「自然に健康が保てる」「元気になれる」というものなんだ。



A:因みに五味は「甘・酸・辛・苦・塩」。五色は「青・赤・黄・白・黒」。五法は「生、煮る、焼く、揚げる、蒸す」

この「五味五色五法」を意識して調理することで、見た目も味も栄養面でもバランスのとれた健康によい料理が出来ると考え実践されてきたわけで。

例を挙げると、五目ご飯とか五目そばがそれだね。


Q:なるほど…………じゃあ、帰ります


A:冷えええええ!便座の電源切ってた時並みに冷えーー!もっと絡んで遊ぼうぜええええ


Q:もう夜の12時ですよ。最近未成年が遅くまで、しかま正月に働き過ぎてると世間が煩いと思うんですが。某コンビニの件もあるし


A:………………それ言われたらコッチお終いだよぉぉ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ