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35、覆水盆に返らず

誠一に拳骨を落とされ、シルフィの頭にはたんこぶが膨らんでいる。


あの後、コボルト達にお願いして無理矢理女風呂へと連行し、中に居たアビゲイルに頼んで服を着させて貰った。


「……痛い」


「所構わず裸で出ちゃダメでしょう!ここに男が2人も居たっていうのに」


「先生、何で2人なんですか?僕は女じゃなく男です」


どっちでも良いじゃないか、別に。

カレンに睨まれているが、スルーで行こう。


シルフィさんは不満そうにプクーと頬を膨らます。


「まあまあ。セーイチ先生も、その辺りで許してあげて下さい。シルフィちゃんを止められなかった私のせいでもありますし」


「……私は悪くない」


「アビゲイルの後ろに隠れて便乗しないで下さいシルフィさん。アビゲイルも甘やかすな」


シルフィさんは、性格も相まって見た目がジーン達と年齢近いように見えるけど、それはハーフエルフだからである。

実際は倍以上の年齢いってる筈なのに、年下に擁護されるなよ。


「けどなあ……こういう時にこそちゃんと叱らないと覚えてくれないだろうし」


「大丈夫です。そんな事ないわよね、シルフィちゃん」


「……その通り」


そんなセーイチ達のやり取りを見ていたジーン達は、ふと思う。


「あの3人のやり取りを見てっとよ。アビゲイル……姉ポジションかと言うよりは」


「うん。怒るお父さんを宥めるお母さんって感じが────」



スコッッン!!



話し合う2人の間に何がか飛来し、快音をたてて壁に刺さる。

恐る恐ると見れば、アビゲイルが持っていた(くし)だ。


アビゲイルは、とてもとても、それはとても良い笑顔でジーン達を見ていた。


「2人共、私がお母さ……んーと、何かしら?聞き取り辛かったのだけれど」


「「いいえ!何でもございません!」」


「……実は1番怖い?」


「目が笑ってないのが、またなあ」


美人だし、そんなに気にしなくても良いと思うのだが。

年上に見えるってのは男からしたら大人っぽいと受け取られ好印象だが、女性からすれば下手すると「老けて見える」とも捉えられるからな。


誠一はアビゲイルの笑みにビビる2人に、助け舟を兼ねて有耶無耶になっていた話題を戻す。


「カレン、ちょっと良いかい?さっきの渡したい物なんだが」


「え?あ、ああ。先生が言っていた珍しい物ですか」


ちょいちょいとカレンを手招きしながら、バックを探るフリして、スマホを操作し、キンキンに冷えた瓶を取り出す。


瓶の中身である液体は薄く黄金色であり、コルクで栓がされている。


好奇心によりこっそりと伸ばしてくるシルフィさんの手をペチリと軽く叩きながら、その瓶をカレンに手渡す。


「……ケチ」


「カレンが最初って約束しましたからね。……そう拗ねないで下さい。ほら、もう一本ありますから。ただ、あんまし振らないで下さいね」


恨みがましい目で見られたので、渡しておく。

この人は飲む前に対象を観察をするので、時間がかかる筈だ。


「先生、コレは?」


「まあ、普通の飲み物だ。あとは飲んでのお楽しみ、ってな」


飲み物。

そう言われて、カレンは何が珍しいのか分からなかった。


受け取った時、瓶がとても冷やされているのには驚いたが、瓶入りの飲み物はさして珍しいものではない。

その上、瓶の中身も紫色の液体だとか、さして普通のジュースなや見える。


カレンは(しば)し訝しみながら、コルクを抜く。

瓶の口からはキュポンと音が鳴り、



……しゅわわあ〜〜〜



瓶の中の液体が急に泡立ち、吹き出して溢れそうになる。


「え!と、とっと、わわ!」


突然の事に驚きながらも、(こぼ)すまいと瓶に慌てて口を付け、飲み込む。


すると、パチパチと口の中で弾ける刺激が生まれ、喉へと爽快感が走る。


「〜〜〜〜ッ、美味しい!甘いのに、シュワシュワでパチパチって!」


スゴいスゴいと初の体験を表現したいのか、可愛らしく空いてる方の手をぶんぶんと振って子供みたいに伝えようとしている。


カレンの反応に気になったのか、ジーンとアビゲイルの2人もカレンにお願いし、少し分けて貰う。


「かぁ〜ッ、旨いなコレ!キンキンに冷えてるってのもあるが、この爽快感が風呂上がりに何とも合うな」


「本当ね。レモンと……あとは香りからしてハーブかしら?甘い味付けの筈なのに、とてもスッキリするわ」


どうやら異世界でもこれは好評のようである。

しかし、3人で回し飲みしているが、そんなに飲みすぎると、


「ん……ケプ。ご、ごめん///」


カレンは小さくゲップをしてしまい、照れて伏し目になる。


「ははは。そんなに恥ずかしがることないさ。コレは一気に飲むと、ゲップが出るからな」


先に言えば良かったかなと、少し反省。

見ればアビゲイルも口に手を押さえ、少し顔を赤らめ我慢をしている。


「出てしまう……?先生、一体この飲み物は何なんですか?」


カレンに聞かれたので、特に勿体ぶることもなく誠一は答える。


「それはレモンスカッシュ。炭酸飲料って飲み物さ」


「「「タンサン?」」」


誠一の言葉に3人は首を傾ける。


「正確に言えば、炭酸水にレモンの果汁と蜂蜜、ミントを加えて混ぜたものだ」


「……炭酸水。……エールのような発泡酒?」


「え、これお酒なんですか!?」


シルフィさんの言葉に、カレンが慌てたようにこちらは聞いてくる。


「安心しな、これは酒じゃない。エールは発酵などで発生した炭酸ガス、つまり気体の二酸化炭素が、容器が密閉されていることで溶け込んだもので」


「「「???」」」


「あー……今度授業で教えるな。つまりは炭酸水ってのは、空気が水に溶け込んだ物なんだ」


3人とも一様に頭に?を浮かべているので、詳細は次の機会にしよう。


鉄砲水と呼ばれ天然の炭酸水もあるが、世に出回っているのは人工のものだ。

炭酸水を作る時は重曹を水に溶かしても出来るが、専用の機械などで圧力をかけて水に二酸化炭素を溶け込ます方法もある。

このファンタジー世界では、機械なくとも魔法で代用できるから便利だ。


「このレモンスカッシュ。次の週から購買で売るから。飲みたくなったら是非買ってなあ」


「まさかの宣伝かよ」


「商魂逞しいわね、先生」


「でも、1つ1つ瓶に入れて売るんですか?それだと、値段が高くなりそうな」


そこは心配するところだよな。

しかし、カレンよ。良い着眼点だ。


「いや、購買では数量限定かつ期間限定商品として、樽からコップに入れて店頭で受け渡す形になるな。で、飲み終わったらコップを回収して再利用する」


これなら容器代はあまりかからない。

それに空になった容器のポイ捨てなど、ゴミの問題も軽減される。


「なので、レモンスカッシュの値段は一杯で鉄貨1枚(約100円)。まあ、稼ぎ目的というよりは、客寄せだな」


「安いのはいいけどよ。俺は水筒とかに入れて持ち帰りたいな」


ジーンはカレンが持つ瓶入りのレモンスカッシュを見てそう言うが、残念なことにそれは難しいのだ。


「それがな、この炭酸飲料のデメリットでもあるんだが。刺激を与えたり、時間が経過するとガスが抜けてただのジュースに戻るんだ」


だからこそ、購買でも数量限定で販売する。

それに、


「ジーン達とかが持ってる水筒だとな、ガスが抜けた所為で膨らんで……」



ポンッ!



突然、後ろから音がしたので振り向くと、


「……冷たい」


見ればシルフィさんが半分まで空になってしまった瓶を片手にし、顔が噴き出したレモンスカッシュでずぶ濡れになっていた。


恐らく、観察過程で上下にと良く振ってしまったのだろう。


「……ぺろっ、美味しい」


濡れてしまったというのに、シルフィさん本人はあまり意に介していないのか、頰を濡らしているレモンスカッシュをペロリペロリ舐めて、そう呟く。


「……こんな感じで破裂するんだよ」


「あー……納得。それはそれとして、もう一回風呂に入れさせないと」


「もうアビゲイルがココを呼びに向かってます、先生」


今日は帰るのがもう少し遅くなりそうだ。





「良いですか?今日は湯冷めしないように服を着て寝てくださいね」


「……分かってる」


うーむ、心配だ。


アビゲイルが連れて来てくれたココにお願いし、もう一度風呂に入り、汚れは綺麗に無くなった。

濡れた服も、シルフィさんが風呂に入っている隙に魔法で洗濯・乾燥済みである。


しかし、早く帰らなくては。

宿でアンちゃんを待たしてしまっていることであるし。

遅くなるとはコボルト経由で連絡してあるし、その辺はジョディさんが面倒を見てくれるとは言ってはいるが。


研究棟に入り、部屋の前にもうすぐ着くので、そろそろ帰宅しなくてはと考えていたが、


「────あれ?あそこに居るのは……ウォーレスさん?」


何故かシルフィさんの部屋の前で図書館司書のウォーレスさんが本を持ち、部屋をノックしている。


……どうしてここに?


「おーい、フィー!寝てるのかー?変だな、いつもならすぐに出て来るのに……ん?」


部屋へと呼び掛けるが返事がない事に訝しんでいたウォーレスさんが、こちらに気付いた。


「フィー、そこに居た……こ、コホンッ、何でセーイチさんがシルフィと一緒に?」


ぶっきらぼうな口調が、俺がいる事にも気付いた瞬間、図書館でのように慎んだ口調へと変化する。


「いや、それはですね」


「……ウォーレス。……私の前ではいつもの口調で」


ウォーレスさんに事の顛末を話そうとしたが、横槍が入る。

シルフィさんがウォーレスさんの口調の変化に、ムッとしたのか眉をやや寄せて、訂正を指示する。


「い、いや、これはだなフィー、じゃなくてシルフィ。教員同士での礼節がだね」


「……私は、その喋り方は嫌い」


正直、俺は驚いている。

シルフィさんが研究以外のことで頑固になる事は無いと思っていたからだ。


対するウォーレスさんは、シルフィさんから無言の圧力をかけられ、


「…………………はぁぁぁ。分かったよ、フィー」


深く、長い溜め息を吐き、片手で乱暴に自分の髪をガシガシと掻く。


「ったく、しゃあねえなあ。そっちも俺の素を見せたことあったし。なあ、セーイチも敬語じゃなくて構わないか?」


「良いですけど、ウォーレスさんは」


「さんは要らねえ。俺も呼び捨ててんだ、敬語も要らねえし、呼び捨てでいい。その代わり、そっちの事情を聞かせてくれよな」


丁寧な口調は普段無理をしてるんだろうな、と思いながら、こちらも砕けた話し方にする。


「話すくらいは構わないさ、ウォーレス」


アンちゃん、ごめん。

あともう少しだけ帰るのが遅くなりそうだ。





「なるほどな。ミゲルの奴に頼まれてか」


粗方の説明を終えると、ウォーレスは納得したような、ちょっぴり同情しているような。

シルフィさんのことをフィーと愛称で呼ぶ程だ。

研究に随一が為のズボラさに、天然さは、ウォーレスも知る所だろう。


「そういうウォーレスさ、じゃなかった、ウォーレスは、どうしてここに?」


「本を届けにな。フィーが研究で使うのに適した本を渡しに来たんだ」


「……ウォーレスは凄い。……全ての蔵書を記憶している」


ふんすっ、とドヤ顔のシルフィさんから聞かされた情報に、耳を疑う。


「全てって。あの図書館にある本を!?」


驚きつつも問いただすと、ウォーレスは苦笑しながら手を横に振る。


「そんな訳ねえだろ。一から十まで覚えてねえし、知識は自分が読んだ範囲の中だけ。自信を持って分かると言えば、どの場所にどの系統の本があるかだけだ」


「……謙遜」


「そうですよ。それでも充分凄いですよ」


俺も素直にそう言うが、ウォーレスは一瞬卑屈な顔を見せ、一笑する。


「俺は人より時間があるだけだ。本当に凄いってのはミゲルの奴や、そうだな……この前、学園に居たビル商会のビルゲイ・ストレのような奴の事だ」


羨望の眼差しなのは

しかし、何故ここでビルゲイさんの名が?


「ビルゲイさんを知っているんですか?」


「いや、知ってるもなにも……お前がビルゲイと親しい間柄なのは、学園中で噂だぞ。貴族ですら脅やかす程の力を持つ神に愛された商人の、あのビルゲイと」


……だから、何で俺の知らぬ所で噂が錯綜しているんだよ。

ただの商人とお客の関係、よく言えば、俺はビルゲイさんのお得意さんってだけだよ。


というか、


「"神に愛された"って何?そんなに凄いの、あの人?」


「……本当に何も知らないんだな」


そんな呆れた目で見んでくれ。

世間知らずだってのは知ってるよ。


「ビルゲイは商人の子供ですら無く、辺境の寂れた村で生まれた。にも関わらず、並々ならぬ商才を見せ、始めは小さかった店が一代で世界に名を轟かす大商人にまで上り詰めやがった」


「それはまた……」


講演会をお願いされる程のサクセスストーリーだな。

本とか出したら増刷間違いなしである。

印税生活ウッハウッハ。


「勿論、出る杭は打たれるもんだが、金銭面だけでなく、王家ともコネを持っているから、目の敵にはしても手は出し難い。そんなビルゲイをやっかむ連中が、運だけに助けられた神に愛された男、と嫌味を込めて呼んでんのさ」


王家と言われ、クロス王国を思い起こす。

確かに、ビルゲイさんと知り合ったキッカケは

、リズ王女専属執事のガスパーの紹介だった。


「別に、努力をしてないと考えてるわけじゃないが、ああいう天才を見ると自分が嫌になるぜ」


自嘲するようにそう呟くウォーレス。

そして、その視線の先には、話に飽きたのか運ばれてきた本を読むシルフィさんの姿が。


「ウォーレス?」


「……いや、すまん。でまあ、そんな奴と親しいからセーイチは他の教師に嫌われてても、手を出さないのさ」


「俺、ただパン売ってるだけなんだけどなあ……」


購買の嫌がらせが失敗したのが、そんなにいけ好かんのかい。

ジョージも言ってたが、粘質的で面倒くさいな。


それに、知らぬ内にビルゲイさんには救われているとは。

今度会ったら、菓子折り持ってお礼しよ。


「ただ、このまま何もしない筈が無い。気をつけんだな」


「えー。明日は2年の合同授業があるんだけど」


「どこのクラスと?」


「……Aクラス」


「あの糞アレサンドロかよ……確定だ。その組み合わせも、絶対仕組まれてんな」


うわぁ、気が重い。


「ミゲル学園長も言ってたけど、Aクラスの担任って、そんなにタチが悪いのか?」


「あれはもう、災害の類だ。この学園内の病巣をまとめる、親玉。とにかく、階級や獣人差別が激しい男だな」


ザ・典型的高圧貴族様ね。

そして、俺への嫌がらせの主導者か。


そいつに、アンちゃんは会わせられないな。

念の為、コボルト達でも護衛に付けておくか?


「────って、そうだ。時間は……まあまあ経ってる」


ついつい長話に興じてしまったが、アンちゃんを宿で1人にしてしまっていることを思い出す。


「すみません。待たせてしまっている人が居るので、そろそろ失礼します。シルフィさん、夕飯ここに置くので、食べて下さいね」


「……分かった」


「それじゃ、俺も。図書館に戻るとするか」


誠一が帰宅の準備を始めたのを機に、ウォーレスも立ち上がる。


「それじゃあな、フィー。早く寝ろよ」


「……善処する」


「しろって言ってんだ。ったく、この研究バカ達は」


……なんだか、シルフィの親戚みたいだなウォーレス。


ぶっきらぼうだが、優しい感じがそう思わせる。

本当に親戚だとか?

同じハーフエルフだし。


シルフィさんの部屋を出た後、気になったのでエレベーターを待っている間に聞いてみる。


「あのさ。失礼だけど、ウォーレスってシルフィさんの親戚だったりする?」


「はぁ?違えよ。ただの俺の友達の子だよ。それだけだ」


「でも、その割には面倒見が良いっていうか」


「…………」


何故か、黙ってしまった。

一瞬不味いことを聞いたかと不安になるが、ウォーレスは口を開く。


「……ミゲルと学友だったが、あいつの、フィーの母親とも友達でよ。学園時代は3人でよく(つる)んでた」


シルフィさんの母親。

ミゲルさんが人類ということは、エルフ族。


「……ただな、フィーの母親は病弱でな。フィーを産んですぐに死んじまった」


「それは……」


突然教えられた情報に何と言うべきか分からず、言葉が詰まってしまう。


何とか出せた言葉は、


「────何故、その事を俺に?」


「ミゲルから世話を頼まれる男だし、俺も実際に話してみて悪い奴には見えなかったからな。……それに、フィーと話してる最中に、知らないでその話題を踏み抜いて気まずくなるよりはマシだろ?」


確かに、一理ある。

しかし、俺に話す理由はそれだけだろうか?


「ミゲルはフィーと親子ってのが分かるくらい、研究熱心で、そして不器用なんだよ。そのせいで放任主義でな。たまに見てやらないと、どこかに消えてしまうんじゃないかってくらい不安でな……」


ウォーレスの続く言葉は無かった。

だが、言わなかった言葉は分かる。


あいつのように、な。


ウォーレスの今は亡き過去へと向ける目が、そう語っていた。


「こうして話したのは、これぐらいはフィーと居る上で知っておいて欲しくてな。それに、フィーの奴。お前に懐いてるしな」


「懐いてる?……いやー、気のせいでしょ」


未だに笑った顔を見たこと無いんだが。


「そうか?俺からすると、そう見えたんだが」


ウォーレスがそう言ったタイミングで、チーンとエレベーターがこの階に着いたことを知らせる。


話はそれだけだ、と言わんばかりにエレベーターに乗り込む。

俺も乗り込み、扉が閉まる。


なるほど。

ウォーレスがシルフィさんの面倒目が良いことは分かった。


しかし、


「……でも、本くらいなら図書館へ取りに来て貰えば良いんじゃ」


『優しくする』と『甘やかす』は似ているようで非なるものだ。

人の行動にケチ付ける訳ではないが、図書館までそう遠くはないし、足を運んで本人が取りに行く方がいいのでは?


そう指摘されたウォーレスは、途端に渋い顔をする。


「あー……それはな。フィーの奴が取りに来るのは、大抵夜なんだが」


「時間的に都合が合わないとか?」


「いや……フィーのアホは全裸の上に白衣一枚だけで図書館来たりするんだよ」


「…………」


共通の悩みを持つ2人はお互いに無言になり、誠一はウォーレスの肩をポンと叩く。






その後、帰り道の途中。

もしかして、七不思議の1つ【薄明の少女】ってシルフィさんのことではないだろうかと、気づいた誠一だった。


Q:………Qと

A:A先生のおおおおおお!


Q & A:教えて、お料理コーナー!


A:はい、どうも!誰だっけコイツって視線確実でも流れに負けないA先生とおおおおお!

Q:…………Qです。


A:はーい、それじゃあ質問行って見よおおおお!


Q:……ちょっと待て。おい、無理やり行こうとしてるけど、ちょっと待て。


A:何かなぁ、質問コーナーの助手担当のQ君ー?


Q:……いや、久しぶり過ぎるだろう。絶対読者『あー、こんなんあったな』って思い出すというより、『あれ?新コーナー始まった?』ってなるって。それどころか、作者自身も忘れて───


A:シィィヤァラアアアアッッップ、ユウウゥゥゥゥゥゥ!それ以上言ってはいけない。いいか、Q君。私達の命運は作者の手に掛かっているんだぞ。失礼働いて機嫌を損ねたら、私達は終わりだ!


Q:いや、あんたの方が失礼働いてるだろ


A:もしも、それ以上黙らないならば……


Q:何ですか、武力にて強硬手段ですか?いつも僕にタコ殴りされてる人がですか?


A:いいや。駄々こねて泣きまくりながら土下座して君の靴を舐めて懇願する!どうだ、情けなくて目も当てられないだろう!私はするぞお!


Q:…………


Q:はい、質問コーナー行きまーす。



Q:炭酸水が日本に出回ったのはいつ?

A:諸説はあるけど、1889年に日本に定住していたイギリス人のクリフォード・ウィルキンソンが狩猟を楽しんでいる際に、兵庫県の有馬温泉付近で湧き出る天然の炭酸鉱泉を発見したのが始まりさ。後の、ウィルキンソンのタンサンとして、国内外で販売されたね。

ちなみに、炭酸水のことを鉄砲水とも昔の人は言っていたんだ。これは炭酸水を一升瓶に入れて持ち帰るとき、鉄砲のようにコルクの栓が飛ぶ事から、そう呼ばれたんだ。



A:次回もお楽しみに〜!


Q:……次があると良いですね


A:シィィヤァラアアアアッッップ!

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