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6話・おおかみのお話
おおかみのお話をしましょう。
あるところにおおかみがいました。
おおかみにはお母さんとお父さんがいません。ともだちもいません。
でも、おおかみにはそれがふつうでした。
そんなとき。
おおかみは1人の少女にであいました。
おおかみは、一目でその少女を好きになりました。
ただ、彼女には大好きな人がいました。
彼女はあの人に会いたい、と毎日泣くようになりました。
おおかみは彼女の笑顔を見たいと思うようになります。
月日がたって、
少女は大きくなりました。
おおかみはまた一人になりました。
でも、おおかみは少女を忘れられませんでした。
なにがあっても、自分のいのちがなくなろうとも。
彼女の笑顔を取り戻すためならば。