短い夢を見たあとで。
大好きだよ。
優花。
優花は俺と居て幸せだったか?
俺は幸せだったんだぞ。
優花と過ごして。
楽しい日々は一ヵ月で終わったけどね。
俺はあんな事になっても優花を守り続ける決意をしてたのに。
お前ズルイよ。
俺との約束破って。
俺と約束交わした日々さえも忘れたんだろ。優花は忘れやすいからな。
ずっと一緒に居ろよ。俺と。
その為だけに俺は産まれて来て優花と出会ったんだから。
何処で生まれ変わったんだよ。
俺とまた出会ってるのか?
俺と愛し合ってるか?優花は笑っているか?俺多分一生忘れないと思うよ。
人生で一度愛した女を忘れたはずがないだろう。
特にお前は特別なんだから…。
俺にとって。
だからあの時逝くなって言ったのに、お前は俺の言う事を無視して逝ってしまった。
「忘れないでね」
なんて言いやがって…俺の気持ち最後まで言わせないで…ふざけんなってんだよ。
俺はお前に惚れてたんだよ。
ずっとずっと。惚れてたんだよ。
分からず屋…。
鈍すぎなんだよお前。お前みたいに鈍い女初めてだよ。
マジで参ったわ。
今…一回だけなら言ってやってもいいぞ。
…愛してる。
お前を愛してる。
後悔しか出来なかった一か月だったけど、俺は幸せだったよ。
優花が幸せな姿をみる事が出来たんだから。今更だけど逝くなよ…優花の居ない毎日なんて…楽しくないんだよ。だから帰ってこいよ…俺の元に帰ってこいよ。
優花は生まれつき病気を持っていた。
病名は最後まで教えて貰えなかったけど、高校一年生のある日。。
いきなり発病した。
優花には「彼氏」がいた。
もう二人とも冷めていたけれど、親達が仲が良くて、別れたくても別れる事ができない状態だった。
俺と優花が出会ったのは高校に上がった頃。
優花が泣いているところを一目ぼれしていた俺はチャンスだと思い、ハンカチを貸したのが始まりだった。
それからクラスも一緒でときどき一緒に帰った。
優花も俺が見る限り心を開いてくれていっていた。
俺はマジで好きになっていた。
そんな普通なんだけど幸せな日々が何日か続いたある日。
優花の顔に傷がついているのを発見して俺は優花に尋ねた。
「その傷……彼氏に?」
優花は黙っていた。・・・図星だったのだ。
俺は優花の彼氏に会いに行く事にした。
「お前が優花も彼氏?」
「は?お前誰?」
「よく自分の女殴っておいてそんな事いえるよな。」
「女?お前のだろ?優花は…俺もう違うやついるから」
すると優花が来てそいつのホッペをパシンと一回……
俺とそいつはびっくり。
優花は俺の手を握りキス。
「ごめんね。こっっちからお断り。私今この人だから。ばいばい。」
俺は嬉しかった。
「ねぇ………?好き。」
「……あの……ハンカチ貸してくれたときから?」
「うん♪」
「お前と付き合う。」
めでたく両思い♪
「ズット一緒だからな」
「うん♪もちろん。」
そして夏休みが始まったその日。
俺達はデートした。
初めに遊園地へ行って、フィルムをふたつ取り替えるほど写真を撮った。
そして最後は優花のリクエストで公園に行くことにした。
「おい!優花♪あのブランコ乗らないか?」
「乗ろう!」
早く!と叫ぶ優花の声は輝いていた。
何分か乗った。
ブランコから降りたとき……優花が突然倒れた。
呼吸不全。
「ごめん。携帯持ってる?なかったら公衆電話で。救急車よんで。」
優花は優花なりに言葉にしていた。
俺は急いで救急車を呼んで、優花の親にも連絡した。
「すみません。俺、優花さんのクラスメイト……彼氏の桂木勇武と申します。優花さん……呼吸不全になりました。今救急車呼んで第一病院に連れて行く所なので第一病院にきてくれませんか?」
優花の親はあせったような声で返事をした。
第一病院に着いたらすぐ看護婦や医者に取り囲まれた。
後から聞いてみると優花は病院の常連らしい。
すぐに優花の親と会って、今まであったことを全て話した。
「勇武君……お願いがあるの。優花はもう長くないのよ…最後まで一緒に居てあげて?」
「すみません。初めからそのつもりだったので。」
優花の親は泣いていた。
看護婦が一人来た。
「今少しだけ意識があるので、お話を!!」
そして俺達は病室の中へ入った。
優花は目をあけていた。
「優花…大丈夫か?」
「あ……勇武。」
「おい……逝くな。俺を置いて逝くなよ。約束したろ?一生一緒に居るって。ずっと一緒に居るって…」
「そうだ…勇武。忘れないでね。私のこと、忘れないでね。」
「逝くな!!」
ピーーーーーー
心臓停止。
涙は流れなかった。
優花は最期、笑ってたから。
優花が笑っているのに俺は泣けない。
俺なりにそう思ったのかもしれない。
幸せな日々は一ヶ月で終った。だけど、優花とも思い出は永遠だ。
もし俺がブランコに乗ろうと誘っていなかったら幸せな日々は続いていたのかな?
神様はどうして優花を呼んだんだ?
俺が嫌いだったからかな……だったら俺を呼んでほしかったな。
俺と優花がうらやましかったのかな。
いっつも笑っていた俺と優花が……
クラスの皆が葬式に出た。
皆泣いていた。
話し掛けていた。
「何が面白いの?」
「何で笑っているの?」
って………優花にとって面白かった人生なんだろう。
四十九日。
仏壇に置かれていた写真の中にいた優花は笑っていた。
今でもときどき聞こえるんだ。
「勇武!」
って明るい声が。
なんで優花なんだろう。俺じゃ駄目だったのかな…
俺はこのとき「強く生きていく。」……そう決意した。
五年後。
俺は高校を卒業した。
彼女はいない。
なんだか優花と比べてしまいそうで。
……優花が一番輝いていて。
俺は大学へ行こうと思う。
そして小説家になって俺の人生を本にしたいと思う。
優花との思い出を文に封印して俺が本を読んだとき、泣かないで、思い出として笑えるようになるまで強くなりたいと思う。
俺の手帳は厚い。
優花と撮った写真が全てはさまれてあるから……
おい…優花。
優花は今何処に居るんだ?
俺を見ているか?
また会おうな。そして、一緒に笑い会おうよ。
優花と会える日を楽しみにしているんだぞ。優花は違うのか?
俺とあえなくても別にいいのか?優花はあの時忘れないでって言ったよな?
俺は一回も忘れたことなんかないんだよ。
一ヶ月間……素直になれなくてごめんな。不器用で…恥ずかしかったんだ。
本当の気持ちを言うのが。笑われるのが怖かったのかも知れないな。
俺は逃げていたんだよ。優花が逝ってから。
俺の隣にはやっぱり優花しかいないんだよな。今頃になって気づいちゃったよ。
もう一回でいいから会いたい。お前に会いたい。
早く生まれ変わってきて…?
俺の妹でも何でもいいから……
できれば恋人がいいけどな♪
優花……愛してる。