悪魔、現る!…いや、これ全部売り物かよ?:弟の『闇の軍勢』を商売道具にする兄貴
皆さん、こんにちは!
弟クルエルが呼び出したのは、恐ろしい闇の軍勢……のはずでした。しかし、私たちのインチキ占い師・バスカラの脳内に浮かんだのは「聖戦」ではなく「金儲け」!
悪魔を袋詰めして売るという、前代未聞の商売が幕を開けます。この世で一番不憫な悪魔たちの運命やいかに!?
コメディ全開の本編、お楽しみください!
ラトナさんからの報酬を手にし、クルエルはバスカラの手伝いをして食材を片付けた。朝の倉庫での怪しい儀式なんてなかったかのように、クルエルは優しく微笑んでいる。
彼は薄く笑い、言われるがままに動き、あろうことか皿洗いまで買って出た。
(わあ、昨夜正直に話してから、こいつ本当に改心したのか?やっぱり俺の魅力には敵わないってことだな)
バスカラは誇らしげに考えた。
(……まあ、その裏にどんな恐ろしい危機が潜んでいるのかも知らずに)
「兄貴、残りの皿はクルエルが片付けるよ。兄貴は休んでて。ラトナさんの相手、大変だったでしょ?」クルエルが甘い声で言う。あまりに優しすぎて、バスカラは昨夜この子が首を切り落とそうとしていたことを忘れそうになる。
バスカラは呆然とした。おい、このガキは憑き物でも落ちたのか?昨夜は処刑人、今朝はシンデレラかよ。
「お、おう、そうか。じゃあ少し昼寝するよ。他人の家庭の愚痴を聞くのは、思ったより疲れるからな」
クルエルは笑みを絶やさず頷く。バスカラには、その笑みがどこか歪んでいるように見えた。
彼がどこで皿を洗っているかといえば、もちろん小屋裏の井戸だ。バスカラが部屋に入って眠りにつくと、クルエルは洗っていた皿を放り出した。柔らかな表情は消え失せ、北極の氷すら溶かすような冷徹な無表情に変わる。
彼はテーブルの下からガラス瓶を取り出し、足早に小屋を出た。目的地はただ一つ。村の端にある「聖なる川」だ。
真っ黒な水が淀む川辺で、クルエルはしゃがみ込んだ。手で、大人の拳ほどの大きさのヒキガエルを軽々と掴み上げる。間違いなくこの辺りのカエルのボスだ。彼は嫌がる様子もなく、そのカエルの目をじっと見つめる。
「俺は、倉庫のあの程度のショボい悪魔じゃ満足できないんだ」クルエルが囁く。
カエルはブルブルと震えている。自分の命が地獄の主を呼ぶための「通話料」にされると悟ったようだ。
クルエルはお構いなしだ。彼が望むのはただ一つ。バスカラがあの忌々しいシステムに引き戻されないこと。たとえこの家を悪魔の巣窟に変えることになろうとも、彼はやり遂げる。今の兄貴の体にある魂は、俺のものだ。それだけだ。
川辺で、クルエルは小刀を取り出した。
正確な手つきで、彼はカエルを解体し始めた。
嫌悪感など微塵もない。ただ冷徹な集中があるだけだ。
不思議なことに、周りにいたカエルたちは逃げ出そうとしない。まるで石像のように固まっている。川の騒がしさが嘘のように静まり返った。
耳を澄ませば、小さな呟きが聞こえる。何千ものカエルが、生贄になったボスの運命を嘆いて泣いているようだ。
「レオット!レオット!レオットレオット!!」
(ボス!あの人間に復讐すると約束してくれ!)
「レオットレオットレオット!!レオット!!」
(他のカエルが苦しむのを、黙って見てはいられない!)
「安心しろ」クルエルは指の血を拭いながら囁く。
「お前らのボスは、俺の兄貴の命のために役立つんだ」
彼はそう言って立ち上がり、川を後にした。当然、何千ものカエルたちがその影を追ってついてくる。
「レオット!!レオットレオット!レオット!」
(デモを起こしてボスの仇を討つぞ!)
クルエルが小屋に戻ると、再び「ソフトボーイ」の顔に戻っていた。
5分後……バスカラは夢の中だ。札束の島で、美女に囲まれている。ここは天国か?しかし、その幸せな夢は、小屋の外から響く異常な騒音によって破壊された。
バスカラは気だるげに外に出た。そして、腰を抜かした。小屋が、常識外れの大きさのカエルたちに包囲されていたのだ。
レ・オッ・ト!レ・オッ・ト!レ・オッ・ト!
「なんだよ!?カエルのコンサートかよ!」バスカラはパニックに陥った。
庭はカエルの海だ。柵の上、屋根の上、すべてがドアの方を向いて……正義を訴えている?
「くそっ!システム!俺がラトナさんを騙した天罰か!?」
[警告!屋敷の前で両生類団体による大規模デモが発生しています!]
「なんでこうなるんだよ!」
[私に聞かないでください。私はCCTV(監視カメラ)じゃないんですから]
カエルの鳴き声がバスカラの耳を塞ぐ。
その時、不意に背後からクルエルが現れた。彼はカエルたちを一瞥し、鋭く言い放つ。
「うるさい」
魔法のように、何千ものカエルがピタリと黙り込んだ。全員が一斉に首を垂れ、死刑を待つ囚人のように静まり返る。
バスカラはただ呆然と見守るしかなかった。
(俺の弟は何者だ?カエル使いかよ!?)
[言っておきますが、リトル・デビルは未来の魔王候補です。カエル使いなどというつまらない仕事、するわけがありませんよ]
バスカラはクルエルの足元で大人しくしているカエルたちを見つめた。普通の人なら恐怖するところだが、彼の「犯罪者の脳」には別のアイデアが閃いた。
(待てよ……これ、選ばれしカエルたちだろ。身はプリプリしてるし、目はクリクリしてる。これを食肉業者か鳥の餌屋に売ったら、クルエルのミルク代くらいにはなるんじゃないか!?)
「エル」バスカラは、まだ怖い顔をしている弟の肩を叩く。
クルエルが振り返る。その目は、儀式のせいでまだ赤い。
「兄貴、何?さっきドアを叩いた奴らを食わせてやろうか?」
「いや、そうじゃない!」バスカラは慌てて首を振る。
「この……カエルの部隊さ。もし使わないなら、兄貴が『活用』してもいいか?ただの影にしとくのはもったいない、金にならないからな」
クルエルは首を傾げた。意味がわからない。
「え……活用?」
20分後、バスカラは小屋の前に段ボールの看板を掲げて座っていた。そこにはこう書かれている。
【高貴なるカエルの販売 ― 悩み事解消・儀式用カエル】
「さあさあ皆さん!聖なる川から来た魔法のカエルですよ!家を守るもよし、餌にするもよし、寂しい時の話し相手にも最適です!」バスカラは声を張り上げた。
[警告!システム権限が、悪魔の尊厳が『魂の守護者』から『市場のコモディティ』へと転落したことを検知しました]
「うるせぇな!腹が減ってるんだ、尊厳なんて食えるか!」とシステムに言い返す。
驚いたことに、ミステリー好きの村人たちが集まってきた。彼らはこのカエルが、かの「キ・カラ・グゲル」の儀式の賜物だと思い込んでいるのだ。
「キ、目が剥き出しのやつを一つくれ!田んぼのネズミを追い払うのに良さそうだ!」タリオさんが5千ルピアを差し出す。
「毎度!これは『対害獣クラスVVIPカエル』ですよ!」バスカラはアイスキャンディーの袋に影のカエルを詰め込んで渡した。
カエルは、バスカラを《助けてくれ…俺は暗黒の戦士なのに、なんでネズミ追い払い用なんだ!?》という目で見ていた。
バスカラはニヤリと笑う。悪いな、インチキ占い師の手に落ちた運命だと思って諦めてくれ。
[お荷物、恥ずかしくないのですか?システムとして、あなたのせいで私の尊厳まで踏みにじられている気がします]
(恥ずかしがる必要なんてあるか?俺は貧乏だ、生きていくには必死なんだよ。今の時代、本当の貧乏人であることよりも、貧乏に見えることの方が怖いんだろ?死んだら、カメラの画素数じゃなくて、行いが見られるんだよ)
[はいはい、ご自由にどうぞ]
バスカラは鼻を鳴らす。このロボットと議論しても無駄だ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
なんと、悪魔を売るという前代未聞の商売を始めたバスカラ。その度胸には、悪魔すらも引いているようです。
弟クルエルと、商売熱心すぎる兄バスカラの異様な共同生活は、一体どこへ向かうのか!?
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