第46話 天城っていったい誰だ?
目が覚めると白い天井が目に入った。
鼻を刺すツンとした臭い。
これは消毒液の匂いだろうか?
「……ここは」
見た感じ、病院だな。
体中に何かしらの管が繋がってるし。
服は病院の患者が着るようなものに変わっている。
腹部には何かを巻き付けられているような感触がある。
「包帯か。痛てぇ」
あの状況で死ななかっただけラッキーか。
手足は動くし、これと言った違和感もない。
後遺症らしい後遺症はないっぽいな。
自分の体を一通り動かしてみて、異常がないかを確認する。
そんな作業をしていると、病室の扉が開かれた。
「失礼しま……す」
そこには花を持った菫がいた。
怪我もないようで元気そうだ。
「よっ」
「陸斗……様」
「ああ、今さっき起きたんだけどあれからどうなったか教えてもらっても良いか?」
「そ、それより先にお医者さんに診てもらわないと! 後遺症とか残ってるといけないですし」
菫が慌ててナースコールをして医者を呼んでくれた。
その後は様々な検査を受けたが、どこにも異常は見られなかった。
奇跡とすら言われたのは流石にびっくりしたけどな。
「良かったです。陸斗様に何もなくて」
「俺も流石にあの時は終わったかと思ったけど。何とかなったみたいでよかった」
完全な油断だったな。
しっかりと近藤を拘束してから話すべきだった。
「陸斗様、一週間も意識が無かったんですよ」
「一週間か。意外と長いな」
「はい。心臓も数分間停まっていたらしくって目が覚めても何らかの後遺症が残るかもしれないと言われていたんですよ」
「そうなのか?」
だとしたら、奇跡とまで言われるのも納得かもしれない。
まさか、自分の心臓が数分間も止まっているなんて思ってもいなかった。
「はい。なので体が動かないとかがなくて本当に良かったです」
ニッコリと微笑んで菫は近くの丸椅子に腰かけた。
なんだか、とても大切なことを忘れているような気がするけど。
頭にもやがかかってるみたいで思い出せない。
「おかげさまでな。応急処置とかしてくれたらしいな」
「いえ、わたくしにはあれくらいしかできなかったので。本当に良かったです。わたくしたちを助けていただいて本当にありがとうございました」
「頭あげてくれよ。俺は当然の事をしただけだしな」
そこまでかしこまった礼をして貰う必要は無い。
俺のやったことなんてはっきり言って自己満足みたいなものだからな。
「近藤たちはちゃんと捕まったんだよな?」
「はい。しっかりと警察の方々が捕まえてくれましたのでもう報復される心配はございません」
「ならよかった」
今襲われたらひとたまりもないしな。
ゆっくり寝てられることが分かって嬉しい。
「お嬢様もお見舞いに来たがっていたのですが、あの事件以降天城本家に軟禁状態になってしまいまして」
菫は何か深刻そうにそう言っているけど、今の俺には彼女が何を言いたいのか全く分からなかった。
何故ならば……
「なあ、お嬢様っていったい誰だ?」
「……え?」




