第27話 天才お嬢様の尾行
「ほ、本日はよろしくお願いいたします。陸斗様」
「……そんなに畏まらなくてもいいんだけどな」
「そう言うわけにはまいりません」
「そうなの?」
俺たちは日曜日、二人で駅前に集合していた。
今日は前に約束していた辻と二人っきりで遊ぶ日だ。
もちろん、天城に家庭教師を休むことは伝えてるし辻も今日は休むと天城に伝えているらしい。
「そうでございます。それよりも、本当にお嬢様は許可をくださったんですか?」
「ああ。たまには宮野くんにも休みは必要ですよねって言って快諾してくれたよ」
「そうなのですか? 珍しいですね」
「珍しいのか?」
割と天城は俺に気を使ってくれている気がするんだが。
いや、気を使ってない所は全く使ってないんだけどさ。
「珍しいですよ。お嬢様が気に入った相手を自分のそばから離れさせるなんて」
「へぇ、初耳だな。まあ、良いじゃないか。許可も取れてるわけだし遊びに行こう」
「はい。どこに行くかは決めていらっしゃるんですか?」
どこに行くかは最初から決めていた。
何でかはわからないんだけど、辻と行くんならここがいいと初めから思っていたんだ。
「動物園とかどうだ? 嫌なら別にいいんだけど」
「いいですよ。動物園行ったことが無いので凄く楽しみです」
「ならよかった。そっそく行こうか」
自然と辻の手をとって歩き出す。
最近は天城とデートをしているからエスコートが上手くなってるのかもしれないな。
「言い忘れてた。辻、その格好凄く似合ってるぞ。なんというか、メイド服と制服以外で初めて見た気がする」
今の辻の恰好は白いワンピースとつばの広い麦わら帽子をかぶっていた。
なんか、天城も着ていたのを見たことがあるような気がするけど。
でも、違う人物が着ると雰囲気がとても変わるみたいで天城は清楚な感じがして辻は活発な太陽みたいな雰囲気を感じさせる。
「そ、そうですか? 初めて褒められた気がします。ありがとうございます」
「本当に可愛い。もっと普段からそう言う服着ればいいのに」
「褒められるのは嬉しいのですが、やっぱりメイド服を着ている方が落ち着きますので」
「そか。俺には無理強いする権利もなければする気もないから、聞き流してくれ」
本当に辻はレベルが高いなと改めて思う。
こうやって歩いてるだけで町中から視線をかなり感じる。
主に、男性から。
いや、一個だけ殺気と言うかそんなものを感じるのは気のせいだろうか?
周りを見渡してみても、変な奴はいない。
俺の気のせいか?
◇
「ぐぬぬぬ、菫がいきなり今日はお休みをいただきたいですって言ったから快諾してみましたが……こうなっているなんて」
二人は楽しそうに手を繋いで歩いていた。
私と居るときはあそこまで楽しそうな顔をしてなかったのに。
しかも、相手が菫って言うのが……
「こんなことなら家庭教師をお願いするんじゃなかったかも」
でも、宮野くんのおかげで菫の成績が格段に上がったのは事実だし。
おかげで宮野くんとデートできてるわけだし。
うむむむむ。
「とりあえず、あの子が彼のことを好きなのかどうか見極めないと」
私は休日に一人で二人のことを尾行するのだった。
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