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天才ヤンデレお嬢様の好感度がなぜかカンストしてる件  作者: 夜空 叶ト


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第25話 帰りましょう……陸斗くん

「いい加減、離れてくれないか? 天城」


「ふん」


 カフェに来てからも天城は俺から離れてくれなかった。

 普通は対面に座るはずだろうけど、今は隣にぴったり座っている。

 しかも、何回声をかけても動いてくれない。


「なあ、頼むって。そろそろ視線がめっちゃ痛いんだよ」


「今日は天城って呼ばないでください」


「わかった、わかったよ。乃々」


「はい。分かりました。そこまで言うなら退いてあげます」


 天城は素直に頷いて対面の席に移動してくれた。

 視線はなおも痛いままだったけど、隣にぴったりくっついていられるよりはマシだ。

 心臓がドキドキして仕方がない。


「ありがとう」


「では、ご説明していただけますか? 先ほど一緒に居た女性が本当はなんなのか」


「さっきも説明したけど、中学の頃の友達だよ。それ以上でもそれ以下でもない」


 理子はどうがんばっても友達どまりだ。

 そもそもあいつには彼氏がいるし。

 今の俺に恋人を作る余裕はないし、作るつもりも今の所はない。


「信じられません。何か証拠を出してください。あの人があなたの恋人でない証拠を」


「ええ」


 証拠って言われてもそんなことを客観的に証明するものはない。

 一体どうやったら納得してくれるんだろうか。


「ないんですか?」


「ないな。そう言うのを客観的に証明するものは」


「じゃあ、私と付き合ってください。そうしたら一番簡単な証明になりますよ?」


「それは無理だな」


 確かに一番簡単な証明方法かもしれないけど、今の天城と付き合う気は俺にはない。

 何度でも言うが、嫌いと言うわけではない。

 だけど、俺にはやらないといけないことがある。

 その目的を果たすまでは恋愛にうつつを抜かしている暇はないのだ。


「どうしてなんですか!?」


「だって、俺にまだまだ目的がある。それを果たすまでは他のことをする余裕はないんだ」


「いっつも思うんですけど、宮野くんの目的ってなんなんですか? 私と付き合うよりも優先するような事なんですか?」


「あれ? 言ってなかったっけ?」


 そう言えば、天城には俺がどうして頑なに告白を断り続けてるのか話したことが無かったかもしれないな。

 隠すことでもないし良いか。


「聞いてないですよ!」


「俺は母さんに恩返しがしたいんだよ。今まで育ててもらった恩をな」


「恩返し……ですか?」


 ポカンとした様子で天城は俺のことを見つめてくる。

 綺麗な紫苑色の瞳に見つめられてドキドキしてしまう。


「ああ。中学の頃に父親が蒸発してな。それ以降母さんは一人で俺のことを育ててくれたんだ。玲瓏学園に入学できたのも母さんのおかげだ。だから、その恩を返したいんだ」


「それが私と付き合えない理由ですか?」


「そうだ。勉強していい企業に入って金を稼いで楽をさせてやりたいんだよ」


「そう言えばそんなことを前に言っていた気がしますね。でも、それだけが理由なのですか?」


 それだけって。

 俺にとっては結構大切な理由なんだけどな。


「うん。俺はひとまず母さんに恩返しがしたいんだよ。そのためにさっき言ったみたいに良い企業に入りたい。そのためには勉強しないといけない。だから、他の事に意識を向ける気は今の所ないんだよ」


「それ、私と結婚すれば解決しますよ? 私の家、お金持ちですし」


「その世界線の陸斗君ヒモになってない? 流石にヒモは嫌なんだけど?」


 完全にヒモになってしまうじゃないか。

 それに俺は結婚するなら好きな人としたい。

 金目的の結婚なんて嫌だ。

 相手にも失礼だし、俺も幸せになれない。


「私は全然良いですよ。私はいつでもウェルカムです」


「流石に遠慮しておく。でも、一つ言っておくなら、一番仲の良い女の子は天城と辻くらいだ。だから、変に不安にならなくていい」


 さっきから取り繕ってはいるけど、天城はずっと不安そうな顔をしている。

 だからなのか、俺は自然と天城の頭を撫でていた。


「あ、ふふ。良いですね。頭撫でられるの」


「今日だけな」


「え~毎日でもしてくれていいんですよ?」


「それはないな」


 軽口を交わして俺たちはカフェで久しぶりにゆっくりした。

 最近、妙に暗かった天城が今日は楽しそうに笑っていたから安心できた。

 何の問題も解決してないけど、こうやって自然に笑えるようになったのだから少しはマシになったのかもしれない。


 ◇


「今日はありがとうございました。おかげで元気になれました!」


「別にいいよ。毎週一回のデートの約束だし。楽しめたのなら何よりだ」


「今日は頭も撫でてもらいましたし、名前も呼んでもらえました。それに、こうやって手を繋いで帰れてるので満足です」


 右手から伝わってくる天城の手の感触は柔らかくてスベスベしていた。

 本当に最近はこいつにドキドキさせられてばっかりだ。


「ならよかったよ。っと、ちょっとごめんな」


 いきなり電話がかかってきたため、天城の手を離して電話に出る。


「もしもし? どうしたんだ辻」


「今、お嬢様と一緒ですか?」


「ああ、一緒だが何かあったのか?」


「今日のお夕飯を何にしようかなと思いまして。恐らく陸斗様もご一緒に食べられると思いましたので何かリクエストがあればお聞きしたいなと思いまして」


 電話相手は辻だった。

 いつもの凛とした声で聞いてくる。

 てか、俺が天城の家で夕飯を食べることはほとんど確定してるのね。

 まあ、辻の作るご飯は凄くおいしいからありがたいんだけど。


「なるほど。隣に天城がいるから代わるな」


「もしもし? 菫」


 スマホを天城に渡すと、すぐに夕飯のメニューをリクエストしていた。

 こういう時に何が食べたいかをパッと言えるのはすごいと思う。

 俺だったら何でもいいって答えてしまいそうだし。


「ええ。じゃあ、お願いね」


 どうやら話は終わったみたいでスマホを俺に返してくれた。


「菫が夕飯を用意して待ってくれているから、一緒に帰りましょ。……陸斗くん」


「なっ」


 天城は少し早歩きをして俺の前に立って、振り返りながら名前を呼んできた。

 いきなりの事で俺は一瞬頭が真っ白になってしまった。

 名前を呼ばれるのってこんなにもドキドキするのだと今日初めて知った。

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