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天才ヤンデレお嬢様の好感度がなぜかカンストしてる件  作者: 夜空 叶ト


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第13話 お嬢様の権力

「いやぁ~久しぶりにこんなに派手に喧嘩したなぁ~」


 背伸びしながらそこら辺に倒れている男子生徒を見下ろす。

 最初はリンチにされるかとおもったけど、こいつら全く喧嘩慣れをしてなかった。

 攻撃なんてあたるはずないし、避けるのも容易かった。

 まあ、玲瓏学園に通っているお坊ちゃん連中なだけあって威勢は良いけど実力はお粗末なものだったな。


「じゃ、俺は帰るんで。みんなは仲良く肩を貸しあって帰ってくれな」


 適当に地面に転がっている男子生徒に声をかけながら小走りで帰ることにする。

 変に遅くなり過ぎたら天城に勉強を教えてもらう時間が減りかねないし、何よりも遅れ過ぎたら怒られそうだ。

 いや、怒られるというかめんどくさい嫌味とかを言われそうだ。


「はぁ、なんでこんなことに巻き込まれるんだ。これで学校側の問題とかになったら本当に溜まったもんじゃないぜ」


 ため息をついて、小走りをしていると校門が見えてくる。

 ここから全力で走って駅まで行って数駅か。

 それなりに時間かかるぞ?


「陸斗様、お待ちください」


「辻? どうしてここに」


「お嬢様が学園内で野暮用があるとのことでここでお待ちしておりました。わたくしは陸斗様が先におかえりにならないようにここで見張っていたわけです」


「そうなのか。天城はどこに?」


「まだ学園内にいらっしゃると思います。もう少ししたら戻ってくると思いますので一緒にお持ちして頂いてもいいですか?」


 まあ、どのみち天城がいないと帰っても勉強を教えてくれる奴いないし。

 急いで帰っても何かが変わるわけでもない。

 おとなしく天城の到着を待つかな。


「わかった。一緒に待つかな」


 辻の隣に立って天城が戻ってくるのを待つ。

 にしても、学園で野暮用ってのはなんなんだろうな。


 ◇


「流石宮野くんですね。惚れ惚れするほどの見事な動きです」


 私は裏で絡まれている宮野くんの行動の一部始終を観察していた。

 流石に本当にリンチされるようなら介入しようと考えていたのですが、その必要性は全く必要なかったみたいですけどね。


「おっと、宮野くんが走って行ってしまいましたね。じゃあ、私も本当の野暮用を済ませて戻るとしましょう。校門にいる菫を待たせすぎるのもあまりよくありませんしね」


 私は自然と口元に笑みが浮かんでいるのを関しながら近藤と名乗っていた男子生徒に近づいていく。


「大丈夫ですか~?」


「あ、天城!? なんでお前がここに」


「いえ、偶然ですよ。それよりも皆さん地面にお倒れになって何をしていらしたんですか?」


 あくまで何も知らない風を装いわたしは彼らに問いを投げる。

 やはり、保険は必要だ。

 この後彼らが学校側に妙な告げ口をして、宮野くんの立場が悪くなるのは避けたい。

 であるならば、私は私が使える力を使って彼らに口止めをしないといけないのだ。


「別に何もしてねぇよ」


「嘘ですね。一つだけ警告します。宮野陸斗に手出しするのはやめなさい。もし、次手出しをするようであれば天城の家の名に懸けてあなた方を排除します」


「なっ!?」


「私はあの方に入れ込んでいます。下手な手出しはご無用に願います」


「い、いくらお前でもそう簡単に俺の家を潰せるなんて……」


「潰せますよ。簡単にね。私はそれだけの権限を父からいただいていますから。ですので最後警告です。次はありませんよ?」


 私は彼らにそれだけ言ってその場を去ります。

 今回は久しぶりにカッコいい宮野くんの姿を見ることができたので許すことにします。

 ですが、次はありません。

 今度宮野くんに手を出すようなら容赦はいたしません。

 家の力を使ってでも潰しましょう。

 私は宮野くんが大好きですからね。

 狂おしいほどに。


「さて、多分校門付近で待ってるでしょうし急ぎましょう。運が良ければ宮野くんがいるかも。だとしたらなおいいですね!」


 自然と早歩きになるのを感じながら私は校門に急ぐのでした。


 ◇


「お待たせしました。菫。宮野くんも」


「おかえりなさいませお嬢様。それではわたくしはお先に屋敷の方に戻っておりますのでお嬢様は陸斗様とお勉強頑張ってください」


「ありがとう。菫も気をつけて帰るのよ?」


「はい。とは言っても迎えの車が来ているので危険なことはありませんけどね」


 にこやかに微笑んでから辻は黒塗りの高級車に乗り込んでいった。

 金持ちはあんな黒塗りの高そうな車で毎日送迎してもらっているのか。

 なんだか、羨ましいな。


「では、行きましょうか。宮野くん」


「ああ。行こうか」


 並んで俺たちは歩き始める。

 久しぶりに全力で人を殴ったからか手の甲がヒリヒリする。

 喧嘩はしないと決めていたんだが、今回に関しては不可抗力だろう。

 やらないとやられてたし。

 仕方がないな。

 自分に様々な言い訳をして俺は帰路に集中する。


「そう言えば放課後何をしていたんですか? 用事だなんて珍しい」


「いや、何でもない。ただ、少し面倒なことに巻き込まれただけだ」


「面倒なことって告白か何かですか!?」


「そんな大層なもんでもない」


 本当に大層なもんでもない。

 何ならろくでもないものだ。

 あんな風に男に囲まれてリンチにされそうになるんだから本当に溜まったもんじゃないし。

 次、あいつらに絡まれたらどうしよ。

 めんどくさいな~


「ええぇ~何ですかそれ。すごく気になるんですけど?」


「どれだけ聞かれても言わないぞ? それよりも早く家に帰って勉強を教えてくれよ。今日の授業でわからないところがあったんだよ」


「良いですよ。何でも聞いてくださいね」


 天城は隣でニコリと笑みを浮かべてくれる。

 そんな彼女に俺は不覚にもときめいてしまうのだった。

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